ネズミモチとトウネズミモチとコミノネズミモチ
秋に紫黒色に熟す果実がネズミの糞に似ていて、全体がモチノキに似ていることから「ネズミモチ」とのこと。イメージが良くない名前で、別名の「タマツバキ(玉椿)」の方がはるかに良いなあ。材は「タマツバキ」の名で家具や工芸品に使われるのだそう。
問題の、ネズミの糞に例えられた果実は写真が撮れていないのでまた秋に確認したい。
この果実、乾燥させたものは「和女貞子(わにょていし)」という生薬で、滋養強壮や動脈硬化の予防に効果があると考えられ、漢方薬で使われるのだそう。「和」のつかない「女貞子(じょていし)」は、近縁で中国原産で大型「トウ(唐)ネズミモチ」の果実で同様に使われる。
ネズミモチ(鼠糯、鼠黐、学名:Ligustrum japonicum)
モクセイ科イボタノキ属の常緑低木。花期は5~6月頃。
関東地方から沖縄に分布。
低地や低山の林内や林縁に生える。
下が、近縁の「トウネズミモチ」
「トウネズミモチ」は「トウ(唐)」とつく通り中国原産の帰化種で、「ネズミモチ」とよく似ているけれど大型で、花期は「ネズミモチ」より1カ月近く遅く、うちの近所では6月下旬頃から花が咲き始める。
大気汚染などに強く成長も早いことから公園樹や緑化樹に利用され、庭木としてもけっこう植えられている。
果実も「ネズミモチ」より大きくて、数も多く、ヒヨドリなどに好まれて散布され、実生や挿し木で増えやすいので急速に広がっていて外来生物法で「要注意外来生物」に指定されたのだそう。これは知らなかった!!
現在は「ネズミモチ」よりも目にする機会が多い。
生け垣への利用は「ネズミモチ」がほとんどだそう。
トウネズミモチ(唐鼠黐、学名: Ligustrum lucidum)
モクセイ科イボタノキ属の常緑高木。花期は6 ~7月頃。
中国原産で、日本では明治時代初期に渡来した帰化植物。
下は、6月初め頃に花が咲いていた「コミノネズミモチ」。
中国、台湾、ベトナムの原産の木で、シナイボタ、トウイボタ、英名のチャイニーズ・プリベット(Chinese privet)などの名前で呼ばれることも多いよう。
庭木や公園樹、生け垣などで見かけ、住宅地近辺だと藪や植込みの中で自生していたりもする。
真っ白な花がたくさん咲いて、「ネズミモチ」「トウネズミモチ」より香りがいいと私は思うけれども、人によるよう。
この木はもともと「プリベット/プリペット」(イボタノキ属という意味で)の名前で流通していた経緯があるようで、数年前は標準和名が「コミノネズミモチ」とわかっても「コミノネズミモチ」の名前では情報がほとんどなかったのが、今は検索すると出てくるようになったので、徐々に「コミノネズミモチ」で認識されてきたみたいだ。
でも今も「プリベット/プリペット」「セイヨウイボタノキ」の名前で流通しているという話もあるし、これらの名前で紹介されているサイトもあるのでわかりにくい。
「プリベット(privet)」は英語圏では「ヨウシュイボタノキ/セイヨウイボタノキ(コモンプリベット:Ligustrum vulgare)」を指すそうで、「チャイニーズ・プリベット(Chinese privet)」の英名を持つ「コミノネズミモチ」とは別種。
「シルバープリベット/シルバープリペット(正しくはシルバープリベット)」という園芸品種は、この「コミノネズミモチ」の斑入りの品種とのこと。
コミノネズミモチ(小実鼠黐、学名:Ligustrum sinense)
モクセイ科イボタノキ属の半落葉低木。
暖地・温暖地では通常常緑だけど、冬場の気温によっては落葉する。
中国、タイワン、ベトナムの原産。
別名はシナイボタ、トウイボタ、チャイニーズ・プリベット。
イボタノキはこちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?