フジ
先週末の暴風と大雨と傷んでしまったけれど、今年はどうしたんだろう??と思うほどあちこちでフジの花が咲いていた。
山に自生するフジをヤマフジと言うのかとなんとなく思っていたら、「フジ(ノダフジ)」とは別に「ヤマフジ」という種類があるのだそう。
日本に自生するフジはこの「フジ(ノダフジ)」と「ヤマフジ」の2種類で、どちらも日本固有種で、一番の違いはつるの巻き付き方が反対なこと。そして「ヤマフジ」は花穂が短くずんぐりした感じで、花はほぼ一斉に咲くとのこと。
山の方で遠目に見えたフジの中にはヤマフジもあったのかもしれない。
「フジ」には「ノダフジ」という別名があって、これは、摂津国野田村(現在の大阪市)が「吉野の桜、高尾(高雄)のもみじ、野田の藤」と言われるほどフジの名所だったことからついた名前で、今ホットな牧野富太郎氏の命名だそう。
栽培品種も多く作られていて、「ノダナガフジ」(紫長藤、九尺藤)は花穂が2mにもなるとか!
ヤマフジは京都や奈良県、滋賀県には見られないので、古代にフジとされるものにはヤマフジはほぼ含まれないそう。
【フジ(ノダフジ)】
・ツルは右巻き(上/伸びていく方向から見た時に時計回り)
・花穂はフジ属の中で最も長く、20~90 cm
・葉は奇数羽状複葉で小葉は5〜9対
【ヤマフジ(ノフジ)】
・ツルは左巻き(上/伸びていく方向から見た時に反時計回り)
・近畿地方以西の低山に見られる
・ひとつの花が大きいけれど、花穂は短く(10〜20 cm)、全ての小花がほぼ一斉に開く
・葉もフジより短め(奇数羽状複葉で小葉は4〜6対)
フジ(藤、学名:Wisteria floribunda、別名: ノダフジ)
マメ科フジ属のつる性落葉大木。
花期は4~6月ごろ。果期は10~12月。
本州から九州に分布。
藪、山野の林縁、崖などに生えるほか、藤棚にされる。
毒があるけど食べられるとはびっくり!
Wikipedeiaには、
「若芽ややわらかい若葉と、6分咲きぐらいの花は食べることができる。」
「ただし他のマメ科植物同様にレクチンを中心とした配糖体の毒性が含まれており、多量に摂取すると吐き気、嘔吐、眩暈、下痢、胃痛などを起こすおそれもあるため、あまり食用には適していない。加熱されていない種子は食中毒の可能性がより高くなる。」とある。
下記のBOTANICAのサイトには、
「藤の毒のある部位は、「花」「豆」「さや」の部分です。
~ しかし、強い毒性のある藤は、十分に加熱を加えれば、花や豆は食べることが可能です。」とある。
フジのツルは繊維が長く強いので、椅子や籠、布、紐や綱の材料にされてきた。
「藤織り」の話は全然知らなかったので面白い。
フジのツルをはいで糸として織りあげる紡織技術を「藤織り」、その製品を「藤布」と言い、北海道と沖縄をのぞくほぼ全国の山村で織られて衣服にされ、江戸時代までは庶民の仕事着にされた。
「江戸時代中期に木綿が伝播するまで、庶民の衣料の中心はアサ(麻)で、麻以前にはフジ(藤)やクズ(葛)など山野に自生する草木から採集できる植物繊維が利用された。」(Wikipedeia)
ただし平安時代の貴族では喪服の時のみ藤衣を着用したという。
「藤織り」は昭和に入って途絶えたものと考えられていたところ、京都府宮津市下世屋地区で存続していることが分かって、現在は各地の保存会や伝承会で技術の継承が行われている、とのこと。
薬用にもされたそう。
民間では、藤こぶという樹皮にできるこぶの部分と、種子を日干しにしたものが薬用にされてきた、という話もある。
夏に藪などで白い花が咲く「ナツフジ」は、属はナツフジ属ともされるようだけど、フジと近縁。
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