彼女の手牌は慈愛で染まる~第2期Σリーグ『ANC PURPLE BATS』第10節第1試合日菜むい選手視点
控室配信
日菜選手の視点配信
配信開始~試合前
卓組
東家 『Emperor Peng Inc. Σbranch』椎凰いと選手🐧
南家 『縁』みるるん選手🍼
西家 『ANC PURPLE BATS』日菜むい選手🍵
北家 『LogicArt』ダイゴ選手🔺
🍵「ダイゴさんと(椎凰)いとさんはVPL1期生の先輩で、チームリーダーされている方。別リーグで交流のあるみるるんとも同卓ということで、すごい緊張する卓なんですが今日こそ初トップ持って帰れるように頑張りたいなって思います」
🐳「がんばれぃ」
🦇「(むいちゃんは)厳しい展開で頑張って、ってのが多いので、ちょっとねー、頑張りと展開が嚙み合って、ってのを控室では期待したいですね」
リーダーの言う通り、与えられた手材料で精一杯戦うことはできている。足りていないのは結果だけだ。
🐳「(10節開始時点で)LogicArt9位、縁10位、えんぺん社が……」
🐖「厳しい」
🖋「たしか前期のえんぺんは開幕節の奈落さんトップから10節くらいずっとトップなくて、そこから巻き返して(プレーオフ)」
🐳「その粘りがえんぺん社の伝統として息づいているかもしれない」
そもそも経営が傾かない方がいいと思います。
🦇「今日のサムネSSRですよ。たまたま前回Lusyabaさんが『茶柱ソード』って口走ったのと、ひげくじらさんが『どらうじ』とか『〇〇うじ』って言ったから出ただけで」
🐖「そこで宇治茶をかけるの相当うまい」
🐳「いいあがり※、ってのもなかなか出てこない」
※あがり=寿司屋でお茶のことを指す。元は遊郭(花柳界)で使われた。
🦇「実は拡大すると湯呑みの文字が役になってます」
🐳「まっじっで?全然気づかなかった」
🦇「お寿司屋さんだと魚の名前とか書いてるけどね、一気通貫とか立直一発とか書いてる」
🐖「ほんとだ書いてあるwww」
🐳「うわすっげ、細かっ、ちょっと鳥肌立った」
こういったアイデアを思いついたとしても、ここまでの行動にできる人はそうそういない。リーダーとしてチームを愛しているからこそできることだ。
🦇「商品化したら売れそうじゃない?麻雀好きな人に」
🐖「今は麻雀のルービックキューブとかもあるからね」
🐳「(湯呑みは)日菜さんが公式で自分のグッズにしちゃえばいい」
🐖「それだわ」
🦇「たしかに」
是非ご一考ください。買います。
前回の日菜むい選手
前回は同卓したいと公言していたメカZ選手をはじめ強者3名に囲まれるシビアな卓だったが、果敢な攻めの姿勢を貫いて3着フィニッシュ。
ここまでの展開はそこまで良いとは言えないが、そんな中でも挫けずに上を見続ける姿勢は見ていて心打たれるものがある。
今度こそ、力闘は報われるのか。
対局ハイライト
東1局~対子と立直と時々ヨプさん
これまでは苦しい配牌を渡されることも多かった日菜選手、今回はどうか。
🐖「悪くない」
🐳「いいですね」
🦇「タンヤオ寄りかな~」
対子が増えてきてなかなか悩ましい格好に。
🐖「4pだけ鳴くかなあ」
🐳「鳴かなくてもいいけど鳴いてもいい。2m8mのところがなかなか面前だとね、面子になりにく……」
🍵「あ~オッケーです」
🐳「あ~嘘ぉ」
暗刻なら立派な面子。かなり景色も良くなってきた。
その後1pツモで立直。
🍵「これは、シャボでいきます!」
実は2mも5pもこの時点で山にはなかったのだが……
🐳「これ出るルート……あるねえ」
5pが危ない格好だったのはえんぺん社の椎凰いと社長。
🐖「いとさんが1p持ってきたら5p余りそう」
一方でコメ欄ではこの人が今日も元気だった。
ヽ(゚∀゚ )ノ「リーチ最強!リーチ最強!」
🦇「なんか連呼してます」
🐳「もう僕は騙されないからな」
🐖「不安しかないのよ」
(´・ω・`)「そんなぁ…」
そしてこの扱いである。ところで全く話を聞かなくなった「鉄チーむいさん計画」とやらはどうなったのか。
片やこちらはダイゴ選手の手牌。
🐳「七対子だねえ」
🖋「四暗刻もある」
🐖「でも(四暗刻いくと)2m出るよこれ」
ほどなくして2mが打ち出されて日菜選手のロン和了。
🖋「ウラサンウラサンウラサンウラサンウラサンウラサン」
裏は乗らなかったが2600点の和了で局を進めることに成功した。
🐳「これはラッキーだね」
🦇「いい先制」
🖋「なんかはじめてむいさんが先手を」
🍵「最初にあがれたの初めて、かもしれない」
後手を踏んでからの苦しい展開が多かった今までの対局。
少しだけ、いい風が日菜選手に吹いているようにも思える。
東2局~好事魔多し
幸先よく加点して迎えた東2局。
打点も形も申し分なし。超ド級の配牌がきた。
🍵「わっ、手がいい!よし!」
🐖「いいよぉ!?」
🦇「良い良い良い良い」
🐳「約束された勝利の配牌だ🚩」
雀頭探しに困りそうなところだったが、それもあっさりと解決。
🐖「◎△$♪×¥●&%#?!」
🦇「早くも1シャンテン」
さらにここでツモ3p。形がますますよくなる。
🐖「これいったん8m打って、2p6pのポンできる形」
ここは控室の解説通り8mを選択。
あとは鳴くなり面前なりで聴牌を待つだけだったのだが、ここからしばらく有効牌を引けない時間が続いてしまう。
🍵「う~んじれったい」
🦇「ジレッタイヨ~」
そしてまさかの先手を取られる展開に。ダイゴ選手から147m待ちの立直。
🍵「う~ん立直がくる~」
🦇「わ~」
そしてとことんツモ山が意地悪だった。1mを一発キャッチ。
🦇「……」
🐳「や~これいっちゃうかなあ」
打点も形も申し分ない1シャンテン。切ってしまっても何らおかしくはないが……
ここは現物の7pを選択。
🍵「いったん、一発は外して」
🐳「うおお我慢した!」
🐖「偉い」
🦇「すごい」
🐳「2600(和了)からスタートできたのがブレーキになったかもしれないっすね。僕はいっちゃうな」
🦇「私も出しちゃう」
🐖「けっこういきますよこれ」
🦇「偉いな~」
控室も感心していた忍耐。
ところが、耐えていたところにドラを引いて聴牌してしまった。1mさえ通れば現物待ちでダマでも満貫。
🍵「……」
🐖「あ~出てく」
🐳「いや~これ無理や」
これはさすがに切らない方が難しい。一度は止めた1mだったが、最終的には放銃となってしまった。
🍵「あぁ~ダメかあ~」
🐳「いい放銃いい放銃」
自分の手に価値があったからこその攻め。結果だけ見れば失点だが、その過程は決して責められるものではなかった。
🍵「う~ん高い。お見事」
🖋「いや~裏……」
🐳「まあでも満貫でしょ?」
🐖「これはもう致し方ないかな」
🐳「これはしょうがない」
🦇「親番で取り返そう!」
失点を取り返したい東3局親番。
……だったがここではダイゴ選手の手があまりにも速すぎた。
300-500ツモであっという間に親番が落ちる。
🐳「あ~あっさり。しょうがないなこれは」
🐖「まあまだ、まだ慌てるところじゃない」
🦇「大丈夫」
東4局~退く勇気、進む勇気
ラス目で迎えた東4局、配牌は……
1面子に両面2つ。雀頭にも困らない良形だ。
🐳「親番の時に~」
🐖「くださいよ~」
🦇「ダブ東で、ねえ」
🐳「たぶん(東)鳴かない方がいいですね、かなり面前で聴牌しそう。東鳴いた後ヘッドがないのもでかい」
🦇「安く上がって南入してもねえ」
聴牌一番乗りは椎凰いと社長。七対子にとれば3s単騎。
人によっては待ちが良くなるまでダマにする手もありそうだが、いと社長は即リーを選択した。
🐳「あ~いくんだ。積極的」
さらにみるるん選手も立直。待ちは3p8sのシャンポン。
🐳「これ厳しいなあ」
🐖「お祈り東東っぽいなあ」
🐳「萬子も切れそう」
そして日菜選手も追いついた、のだが……
🍵「勝負していいのこれ……?」
3pを切れば14p待ち。2pを切れば3p東のシャンポン。しかしどちらも立直に対して通る保証がない。
ここは東対子落としを選択。
🍵「いや~ちょっと……微妙だなぁ~」
🐖「(直前に出た)東ポンスルーしたしそういうところを考慮してたんでしょう」
この7sもツモ切り。2pを切ればカン8s聴牌だったが取らず。
🐖「いっ……かない」
🐳「いける牌がない」
🐳「まあ2p相当怖いかこれ」
そして次巡、危険だった2pを自分で重ねて聴牌。
🐳「まさかのwこれはいっていいかも」
🐖「これはいい。9sは(単騎以外当たらない)」
残り巡目は少ないが果敢に立直まで。
🍵「これで、いきますか」
🐖「おーいったいったいった」
🦇「お~立直判断すごい」
結果は流局となったが、周囲を見渡してリスクをしっかりと考えたうえでの決断が光った。
🍵「3p危ない危ない、よしよし落ち着いてる落ち着いてる」
🦇「も~すごいよ~」
🐖「偉いよこの聴牌は」
🐳「うん」
🦇「偉い」
🐳「我慢してる」
🦇「ラス目になったら慌てて反撃しそうだけど」
🐖「ナイスファイト」
南1局~凛として咲く
辛抱が実を結んでほしい南場。
供託3本が転がっていた1本場では……
いと社長がみるるん選手からロン和了。日菜選手の手の中でも当たり牌の2mは浮いていたが、ここでの失点は0で抑えた。
🦇「むいさん耐えてる耐えてる」
🐳「いや~頑張ってますね」
🐖「まだチャンスある」
続く2本場、ここで勝負手が入る。
索子のホンイツにすれば満貫が見える。これは是が非でも仕留めたい。
🍵「攻めていきます、全部鳴く。全部鳴きます」
🐖「おおいい、これはいけますよ。なんたって茶柱暗刻」
🐳「約束された勝利の……🚩」
🦇「染める染める」
そのままサクサクっと白と5sが鳴けて14s3sの聴牌。3sならトイトイもつく。
🍵「おしっ、聴牌。これでお願いします」
🦇「待ちつよ~い」
🐳「最高のところ鳴けた。これは勝利約束されてる🚩」
しかし、ここからしばらくツモ切りが続く。
🐖「そろそろいいんじゃないか」
🖋「もうそろそろ、監督、脚本の人」
🍵「ツモれ~!みんな固い……」
そしてあがれないまま終盤へ、ここでひげうじがあることに気づく。
🐳「待てよ……?白も南もまだ(枯れて)ないねえ」
といっている矢先に4枚目の南。
「「「あ~きたきたきたきたきた!!!!」」」
🦇「カーン!カーン!」
宝の1枚は王牌にいた。嶺上開花、成就。
🍵「ツモった……ツモった~!やったー!ナイスー!」
🦇「ナイスゥ~!」
🐳🖋「くぁwせdrftgyふじこlp」
🐖「ハッハッハッハッハwwww」
🐳「ナイスゥ!」
🐖「ナイッスゥ!」
🐳「いや~やっぱ勝利約束されてたわ」
ヽ(゚∀゚ )ノ「これこれこれこれ!」
🐖「ヨプさんも喜んでるよ」
このツモで一気にトップ目に躍り出る。幸運を呼ぶ茶柱に相応しい、満開の花が咲いた瞬間だった。
南2局~丸く収まれ
トップ目に立って南2局は、流局を挟んで1本場。
今度は筒子のホンイツ模様の配牌が来た。
🍵「(筒子と字牌で)1,2,3,4(ブロック候補)……あーどうだろうこれ」
🐳「これは全然ホンイツいけますね」
🐖「いけますねえ」
オタ風の東を1枚目から仕掛ける。
🍵「ホンイツいこう」
🐳「うん」
🐖「おおポンした」
🐳「これだけ揃ってればホンイツいきたいですね」
🦇「さっき(もホンイツ)あがったもんね~」
🐳「3色制覇しちゃいます?索子やったから今度は筒子で」
🦇「次筒子?」
🐳「最後萬子で」
🐖「で、字一色」
🐳「しまいには字で〆る」
🐖「ハハハハwww」
🖋「染めるといったら九蓮宝燈でしょ」
🐳「やりたい放題過ぎる」
そんな話をしている間に聴牌。發は場に2枚見えていたこともあり白単騎にとる。
🍵「地獄単騎…ありだったかなあ」
🐳「(白は)山には1枚しかない」
🐖「いったんとって8pとかもってきて」
🐳「そうすね、4pか8pとか」
🐖「ノベタンとか亜両面の形に」
手替わりを待つよりもこっちの方が速い。1300-2600のツモ和了。
🍵「ツモった!ナイスツモ!よーし!」
🦇「おおツモったー!」
🐳「1枚いりゃあ十分なんだよ!!!」
🐖「あんたたち何言ってんのよ1枚あれば十分なのよ!!!」
🦇「ホンイツあがりまくり~!」
ひげうじとコータうじ、音速の手のひら返しである。
🍵「トップ見えるよトップ。頑張って」
夢にまで見た景色まで、あと2局。
南3局~株価暴騰
索子と筒子のホンイツを決めて迎えた2度目の親番、配牌は……
萬子が多め。
🦇「ホントに!?ホントに!?」
🐳「ほんとにコンプリートするぞ!?」
🐖「チンイツドラ1、18000!」
🖋「まあ七対子を見つつ」
🐖「いいっすね、チートイとホンイツの両天秤」
🐳「ホンイツあがると気持ちいいんですけど、この点数状況、トップ目の親番で手牌短くしたくないな。七対子やったほうがいいわ」
ひげうじ、不意に正気に戻る。
7巡目、ダイゴ選手から2mが出るがこれはスルー。
🍵「チートイルートですね」
🐳「チートイに決めてるかも」
🦇「冷静冷静」
🐳「茶柱立ってるからね」
🐖「守り神を(捨てない方がいい)」
發ツモで1シャンテン。
🐳「打点いらないで6mってのもあるけどさすがにね」
🖋「それ僕がやって、すぐに6m引いたら控室帰れなくなる」5p……トイトイ……ウッアタマガ
一方で、この局では日菜選手以上に手が入っている選手がいた。
えんぺん社の経営立て直しのため自ら出陣した椎凰いと社長。跳満が十分に見える超大物手。
さらに赤5mを引き入れて立直で跳満確定。
🍵「おっ立直がきた。ここはオリましょうか」
🐳「これ躱したら耐え!これ躱したら耐えよ!」
🖋「流局してほしい」
しかし控室の願いも虚しく、いと社長のツモ和了。
🍵「あ~高いのツモだ」
🦇「あ~」
🐖「あーだだだだだ」
裏こそ乗らなかったがここで社長の剛腕が炸裂、いったん捲られる形に。
🍵「ヒャーハネマンダー。あーオーラス勝負だ」
🐳「うぉ~う」
🐖「まああれか、ちょっと捲られてほぼ着順勝負」
オーラス~急転直下
オーラス、トップ目の椎凰いと社長とは2700点差。
🍵「役牌重なり見つつタンヤオルート探る形かな?3900にしよう3900」
トップを見たかったところだったが、ここでみるるん選手から爆速の立直。
🐳「うお、まじか」
🍵「おっ、みるるんの立直がくる……いとさんが放銃するぶんにはいいけど」
🐳「いと社長が放銃してトップ転がり込むはあるけど、(みるるん選手への)満直だめかあ」
🍵「攻める……いやでも満貫直撃だとラスになるんだよなあ」
こうなってしまってはどうにも動きにくい。
結局この局では最終的にみるるん選手がそのままツモ和了を決めて……
終局。日菜選手は惜しくも2着となった。
🐳「いとさんの跳満が強力過ぎましたね~惜しかった惜しかった」
🦇「うむぅ~約束されたトップではなかったか~惜しかった」
🖋「でもナイスファイト」
🐖「嶺上のホンイツお見事でした」
🦇「あと当たり牌かなり止めてた」
🐖「我慢してましたね」
試合後
🍵「いや~すみません!あとちょっとが届かなかった」
🐳「いや謝ることはないすよ、謝ることはない」
🦇「ナイスファイト」
🐖「よく耐えた耐えた耐えた」
🍵「ありがとうございます」
🐖「ナイスファイトだし、ホンイツ素晴らしかった」
🍵「前節思い切って仕掛けられなかったところを今節思い切って仕掛けようって思って、ホンイツは思いっきり行ってました」
🖋「よかったです、めちゃくちゃよかった」
謝るところなど何もない、気迫満点の闘牌だった。
それでも、チームに対して、麻雀に対して真剣に向き合っているからこそ、最初に口から出てきてしまうのはどうしても「すみません」の一言だった。
しかし、戦うたびに控室の心をつかんで離さない日菜選手の姿は、間違いなくこの日も光り輝いていた。
その手に握られた剣で、切り開かれる未来がきっとある。
ANC PURPLE BATS +65.6pt
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