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ブルーか、オレンジか。どちらを選ぶ? -担当スタッフが語るWSDの2コース

2021年度からWSDは、対面&オンラインのオレンジコースと、オンラインオンリーで完結するブルーコースの2コース制での募集を開始しました。2021年9月、新コースでの1期生(通期35期)修了を迎えたタイミングで、それぞれの担当スタッフにコースの特徴や受講生の雰囲気などについて振り返ってもらいました。

オレンジコース主任講師:井上愉可里 Inoue Yukari 
ブルーコース主任講師:齋藤 美雪 Saito Miyuki  
(聞き手)WSD育成プログラム事務局長:中尾根 美沙子 Nakaone Misako 

■ライフスタイルに合わせて選べる、オレンジ or ブルー

中尾根:35期、無事に修了しましたね! 振り返ると、やっぱりコースの違いが出てきたなあと思っています。まずは、それぞれのコースの特徴からお話してもらいましょうか。

井上:オレンジコースの場合、オンデマンド以外のリアルタイム授業が13日間。そのうち9日間が通学対面、残りの4日間がオンラインで、すべて週末開催になります。WSDの大きな特徴として、2回のワークショップ実習がありますが、1回目が対面で、2回目はオンラインというのもオレンジならではですね。

中尾根:対面が多いけれどオンラインもある、いわゆるハイブリッドコースですよね。ブルーはどうですか。

齋藤:リアルタイム型授業のすべてがオンラインというのが、ブルーコースです。週末の授業もありますが、どちらかというと平日夜の方が回数としては多く、日数としては全部で20日間。地方在住や、土日にお休みがとりづらいなど、今まで学びたかったけど学べなかったという方に参加していただけるのが、ブルーコースならではと思います。

中尾根:それぞれ、自分のライフスタイルに合わせて選んでいただいている実感はありますね。ちなみにコース名のオレンジは、朝から対面というなんとなく日が当たるイメージで、ブルーは…

齋藤:まさかのブルーライト(笑)。夜のイメージでもありますけどね。

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■全国津々浦々のブルー受講生と、キャンパスライフ重視のオレンジ受講生

中尾根:コースごとの受講生の雰囲気というか、特徴みたいなものもありましたね。

齋藤:ブルーコースはオンラインオンリーなので、地方在住の方がかなりの割合をしめていました。北海道から九州まで、本当に全国津々浦々。35期では国境すら超えてしまって、ドイツやチェコからも! それから目立ったのが、子育て中のお母さんですね。

中尾根:確かに、多かったですね。

齋藤:「今までWSDを受けたくても受けられなかったのでうれしいです!」と言ってくださる方が本当に多くて。そういうことも関係しているのか、学びに対するモチベーションの高さをすごく感じました。もともとWSDに集まる方はみんなモチベーションが高いんですけれど、より色濃く感じた気がします。オンラインということに対しても、すごくポジティブな方が多くて、スタッフとして助けられた部分も多かったです。

中尾根:オレンジはどうですか? 

井上:そうですね。ずっと対面でやってきたWSDの受講生の雰囲気そのままですね。人に興味があるとか、新しいことに積極的、学ぶ意欲があるとか。ただ、オンラインが選択肢としてあるなかで、対面であることを明確に重視する方が少なからずいらしたんじゃないかなと思います。

中尾根:大学のキャンパスというのも、大人ならではの喜びがありますよね。

井上:それはありますね! 学食に行ったり、キャンパス内のベンチでお昼を食べたり。その様子なんて、まさにキャンパスライフ、青春謳歌! そのものでした(笑)

■どちらも実習は2回。その中身には、コースごとに明確な違いが

中尾根:ワークショップ実習を2回繰り返すのがWSDの大きな特徴ですが、オレンジは1回目が対面、2回目はオンライン。ブルーは2回ともオンラインというところで、同じ2回繰り返すのでも違う学びが起きていたのかなと感じたんですけれど、どうでしたか?

井上:オレンジはやはり、対面とオンラインそれぞれの特徴を生かした企画になっていました。例えば対面実習であれば、有効的に場所を使うとか、一緒に何か物を使って作品をつくり上げるとか。オンラインでは、Googleスプレッドシートなどのツールを利用してみたり。

中尾根:やっぱり両方を学べるっていうのは価値ですね。これからのワークショップデザイナーには、そういったハイブリッドの場づくりのスキルが求められてくると思うので。両方をつくるハードさはあるけれど、学びも大きかったのではないかなと感じますね。

齋藤:ブルーは2回ともオンライン実習だったので、その分、より1回目の実習の振り返りを丁寧にしていきました。もちろんオレンジも丁寧に振り返りますけれど、より経験学習モデルでいう抽象的概念化に時間をかけたり、次にどう活かすかという視点を大切にしたり。そのせいか、「2回目のほうが大変でした」という方が多くて。でも、それって私がみている限りだと、全員が1回目よりいい意味でのこだわりが強くなって、グループでの話し合いが白熱したからだと思うんですよね。

中尾根:確かにグループワークでの話し合いの質が高いなあと思った記憶があります。ちゃんとお互いの意見をぶつけ合える環境が、オンライン上で整っていたというか。ただ、オンラインワークショップがまだそこまで広がっていないなかで、2回も新しく企画するって結構大変だったと思いますけれど……

齋藤:大変だったとは思いますが、私たちも全く想像もしてなかったようなワークショップが、続々と生まれていました。印象に残っているひとつが、Googleマップ上でゆかりのある場所にピンをさして、ストリートビューや写真などを使いながら対話をするワークショップ。これはいいなと私も思いましたし、参加者からも講師からも好評でしたね。

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■同期コミュニティのできあがり方も、それぞれに

中尾根:受講生同士のつながりという面ではどうでしょう?

井上:コロナ以前でしたら、授業終わりに一緒にご飯を食べたり、飲みに行ったりみたいなことがありましたけど、それができないので。でも、すぐにSlackを自主的に立ち上げたり、上手にSNSのツールなんかも使ったりしながらコミュニティをつくっていましたね。それは修了後の今も、続いているみたいです。

中尾根:対面には、雑談の時間があるというのも大きいですよね。

井上:そうですね。授業前後や休憩時間が貴重なコミュニケーションの場になっていたと思います。違うグループのメンバーにちょっと声をかけるとか、興味を持った本を紹介しあうとか。受講生のつながりは、そんなところでも生まれていたように思います。

中尾根:最終日の盛り上がりはすごかったですよね! ブルーはどうですか?

齋藤:ブルーも割と初期の頃に、受講生がFacebookのグループを立ち上げて、同じように修了後も続いているようです。Facebookだと誕生日をプロフィール登録している人も多いので、授業当日に誕生日の人がいると、ブレイクアウトルームでお祝いをするみたいな文化が自然発生したり。雑談は難しいんですけれど、オンラインってある意味気軽に立ち上げられるので、グループで話す機会は自主的につくっていたように思います。「別のZOOMで話してきました!」と、ハイテンションで授業に登場するなんてこともあったので。今も、丁寧にお互いの状況を思いやりながら、いろいろなオンラインの場を持っているみたいです。

中尾根:オンラインだと、ブルーのほうがより早い段階で顔と名前が覚えられたような気もします。

齋藤:はい、画面に顔と名前が常に表示されているので(笑)。広い教室だとなかなか話す機会がないまま、顔と名前が一致するまもなく終わっちゃったというケースもありますけど、それはなかったんじゃないかな。物理的な距離は遠いけれど、距離感は近いというか。広く浅くじゃなくて、なんていうか広くて深めみたいな、そんなコミュニティができあがっていたような気がします。

■五感で感じるオレンジコース、心理的距離の近いブルーコース

中尾根:では最後に、スタッフとして感じた、それぞれのコースのいいところをまとめてください。

井上:35期はコロナで久しぶりの対面授業だったんですが、思わず出ちゃう笑い声、感嘆の声って言うんですかね。何か熱量が高まっていく、エネルギーを共有している感じが、やっぱりいいなあと思いました。大学という日常から切り離された空間だからこそ、集中して学べるというところもありますね。受講生からは、対面とオンラインの両方を体験できたのが良かったという声が多かったです。あとは通学対面ならではの、身体的な心地よい疲労感も(笑)。体で感じる達成感は、やっぱり大きいです。

齋藤:ブルーはさっきも話が出たように、早い段階から全員の顔と名前が一致する距離感が良さかなと。オレンジとは逆に、日常が画面ににじみ出るというところもあって、例えば家族が乱入するとか(笑)。そんなことも、近い距離感につながっていたのかなと思います。あとはやっぱり、いままで学びを届けられていなかったところに届けられたっていうことが、何にも代えがたい大きなメリットだと思います。ブルーコースは特に「新しい学びをつくる」という強い思いがスタッフにはありましたけど、受講生にも同じくらいの熱量があったんですね。もともとWSDはそんな講座ではありますけれど、より一緒につくっている感が出ていたのが、スタッフとしても楽しいし、やりがいを感じたところかなと思っています。

中尾根:本当にそうですね! ありがとうございました。