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不運から生まれた大ベストセラー

『風と共に去りぬ』は不運から生まれた!


 
ロバート・シェクリーといえばSFの鬼才として有名ですが、その彼の作品に「ヒル」という小説があります。
概略を説明してみましょう。
 
――― ある年地球に、○△星から巨大な怪物がやってきた。
 
名前を「ヒル」という。
ヒルを発見すると、すぐさま地球防衛軍が緊急出動した。
そしてヒルを退治すべく、次々とミサイルが発射された。
 
ところがヒルはまったく動じない。それどころか、攻撃を受ければ受けるほど、ヒルの身体は大きく強靭になっていくのだった。
 なんと怪物ヒルは、地球防衛軍の発射するミサイルを栄養源として肥大化していたのだ―――。
 
 いかがですか。
ミサイル攻撃(逆境)、栄養源…、なんとなく聞き覚えのある言葉ですね。
 
そう、まさにヒルはAQレベル5の能力を備えた怪物だったのです。
したがって、ヒルへの攻撃はまったくの逆効果だったわけです。
 
実はまさか?と思うかも知れませんが、私たち人間もヒルのように逆境を栄養源にして成長することができるのです。
 
もちろんそのためには、逆境を直視して立ち向かっていかなければなりませんが、変則的な方法として「ピンチ」を無視する、という方法もあります。
 
ここで言う無視するとは、ピンチをピンチと考えないで、逆にチャンスと考えることをいいます。
 
たとえばあなたがある日、交通事故に遭って足を骨折したとします。
そんな場合、「ああ、なんて自分は不運なんだろう……!」
 なんて嘆いてはいけません。ちょっと難しいかも知れませんが、逆に、
「足を骨折したけど、命まで奪われることはなかった。不幸中の幸いだ」
 
といいほうに考えて感謝してしまうことです。
起こったことを悔やんだところで、嘆いたところでどうしようもないからです。さらに続けて、

「これまで忙しくてろくに本も読めなかったが、ちょうどいい機会だ。ゆっくり本でも読んで勉強しよう……」
 
と思えれば上出来です。こうした前向きな姿勢が、いずれ幸運の女神を呼び寄せることになるのです。
 
アメリカのジャーナリスト、マーガレット・ミッチェルは、25歳の時に交通事故で足を骨折してしまいました。
 
数カ月間寝たきりの生活を送り、その後も復職できずに家でぶらぶらしていました。しかし彼女は自分を不運だなんて思いませんでした。
 
逆にいい機会だと捉えて、前から温めていた構想を小説にしてみようと思い立ちました。そして出来上がったのが、あの世界的大ベストセラー『風と共に去りぬ』だったのです。
 
この本は出版と同時に話題になり、その後映画化されたことでさらに拍車がかかり、映画の著作権と印税で彼女は一生かかっても使いきれないほどの莫大な財産を築いたといいます。
 
考えてみれば、彼女が事故に遭って骨折するという不運がなかったら、『風と共に去りぬ』はおそらく生まれなかったに違いありません。
 
なにしろこの本は、普通の本の10倍もの量がありますから、書き上げるには相当な時間が必要だったはずです。超多忙なジャーナリストをやっていたら、とてもそんな時間はなかったでしょう。
 
もうひとつここで着目すべきは、たとえ骨折してたっぷり時間があったとしても、彼女が不運を呪って何もしなかったら、これまた『風と共に去りぬ』は生まれていなかっただろうということです。
 
こうして考えてみると、彼女は単に運がよかっただけでなく、彼女の前向きな姿勢が幸運を呼び込んだことが分かります。
 
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