めでた尽くし 吉祥づくし
「雪松図と吉祥づくし」三井記念美術館の特別展へ。
母が年末に「雪松図見たい見たーい。」というので、ではお連れしましょうと約束していたのだ。
年明け二週目、日本橋へ。
「吉祥づくし」と題しているように、めでたい、よいとされる意匠がついているもの、絵画、工芸品を集めての展示。雪松図屏風も松だからおめでたい柄といえるもの。
なんとなく、蝙蝠だとか、牡丹と獅子だとか、猿、猫なんかはおめでたい(中国語の良い意味の言葉、出世に関する漢字の読み方と音が似ている)だとか、実がなるものは多く実をつけているので子孫繁栄だとかといったことは知っているのだけれど、そのほかにも潮(波)や鹿など、そうなの?というやはり音が同じだからということで「めでたい絵柄」とされるものもあって、脇に添えられている説明が面白い。
潮は「チョウ」なので「朝廷」につながって「出世」なのだそうです。うーん。なるほど。なので、波に鶴(中国朝廷で鶴の柄の服を着ている人は出世できてる役職の人・・・らしいです。)は家が栄えるというようなそんなニュアンスがあるそうな。鶴というと夫婦円満だとか長寿といった雰囲気ですが、それ以外にもあるようです。
コーナーは展示室ごとに「富貴の花」として牡丹といった花と鳥や獅子、孔雀などとともに描かれている花入れや皿、棗や図刷り箱、名物裂などが展示されているコーナーから始まり、「瑞鳥のすがた」として天目茶碗の内側部分に尾の長い優雅な鳥が描かれているものがありました。玳皮盞 鸞天目と表示があって。ほんとだ、ほんとにべっ甲みたいな表側の模様がついている天目茶碗です。とっても不思議な茶碗。母は「お茶を飲むときどうするのかなあ。」と言ってました。どうするんでしょうね。飲み終わった後の見ごたえがあるってことかなあ。次のコーナーは「長寿と多子」として、長寿を現すもの、子孫繁栄を会わらずものが描かれた図や香合などが並ぶコーナー。ここでも「ここがめでたい」というポイントが説明文に書かれていて「へー、ほー」と言いながら見ます。
一番びっくりしたのが、巨大香合、蓬莱山の船形香合。ものすごく大きくて、母と「いったいどのぐらいの大きさの部屋に合わせたのだろう」と話し合うほど。飾る場所の釣り合いとしてどんな風に飾られたんでしょうねえ。とにかくとっても大きいけれど、蓬莱山のそばにいる三人の人物もきちんときれいに作られていて、立派なもの。
そして箱がとってもきれい。うっとりするような素敵な箱です。
茶室展示は掛け物は高砂を描いた古い絵。楽茶碗はとーってもかわいい兎柄の茶碗。兎年だからだと思いますが、初めて見るかわいい絵の描かれた楽茶碗でした。
このコーナーで、目的の「雪松図」屏風があって、母はものすごく喜んでいました。ずーっとこの絵を眺めていて、しばらく近くのソファーに座ることがができたので、思う存分、雪のつもった松の姿を眺めることができました。
いくら見ても見飽きないようで、「来てよかった」とものすごく喜んでいました。
私が楽しい!と思ったのは「瑞鳥のすがた」コーナー。瑞鳥柄、そして瑞鳥ではないけれど、鳥一杯の百鳥図額だとか、鳥いっぱい。みんなかわいい。鳥の柄がとっても好きなので、ものすごくうれしくなって、じろじろ見ました。
「縁起もの香合」のコーナーでは一つ黒丸寿老人香合については母も私も「あんまり・・・」といい気の合うところを発揮。立派な物でしょうに。すみません。
「福神来臨」コーナーでは大黒様や寿老人、福禄寿など福福な神様たちが登場。翁のおもてもあって、興味深く見ました。お正月の月ですもんね。
1月らしいめでた尽くしの意匠があつまった展覧会。明るい気持ちになって帰りました。