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原田マハ「旅屋おかえり」で心あたたまる

先日旅のお供にひょいっと読んだ「ハグとナガラ」が心にじわっとあたたかさを運んでくれ心に響いたので、お次は、「旅」がタイトルになっているこの本を手に取ってみた。作者のマハさんは、ただただアートに造形の深い印象があったが、年間150日は国内外に旅に出ているらしい。1年の約半分も!!!
そんな旅好きのマハさんが、主人公に化けたように、旅することに魅せられた主人公「丘えりか・・・略して「おかえり」が旅をすることの魅力を伝えてくれるのが本書である。

私がこの本が好きなのは、「人が人を大切に思い、行動する」という一貫した想いが根底に流れているからだと思う。両親、職場の人たち、旅番組を作る仲間、旅の依頼人、旅先で出会った警備員の優しさまでもがじんわり出てきて、やっぱり、随所に泣き所がちりばめられている。

どんなに経済的に困っていようとも、お金じゃなく、どうあるべきか、どうしたいのかという心の声に従って、道を選んでいく主人公や周りの人々の生き方もすがすがしい。

心の機微に触れるという言葉があるが、まさに、マハさんらしい、人間讃歌そして旅讃歌のようなこの本。表紙の枝垂れ桜のかわいらしさと相まって、どこかに行きたいというよりは、旅先で人と交流したいって思わせてくれるような本。また原田マハさんが好きになってしまった。

「いってらっしゃいー」「おかえりー」
そういって出かける旅。
いや、旅だけじゃない。そんな元気なやりとりを毎日して繰り返すだけでも幸福感に貢献するのかもしれない。

本はこちらです。↓


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