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ヴィジョンクエスト

まだ今より若かったとき。
まだ結婚していなくて、
まだ娘も授かっていなかったとき。

求めるがままに、
ネイティブアメリカンの儀式のひとつ、
自分のヴィジョン、生きる目的、ミッションを求める儀式、
ヴィジョンクエストに参加した。

日本の山奥で。

ラコタ語で「ハンブレチア」というその儀式は、
泣いて乞う、という意味がある。

泣くことは魂とつながること。

昼間から、自分とつながるワークをいろいろやって、
すでに意識が半分以上あっちな夢見なかんじで、
日が暮れて、
身を清める儀式をして、
サポーターの人たちに、山まで連れて行ってもらう。

結界が張られた空間に入り、
木々の緑生い茂る真っ暗の中、
ひとりになる。
少し傾斜の地面に座る。

気を張っていたせいか、それほど怖さはなかった。
でも、スピリットたちは、わたしが本気かどうかまず試す、という話は聞いていたから、
何かは来るだろうと思っていたし、わかっていた。
来る、と。

そのときのわたしは、
感情がいっぱいまひしてしまっていて、
泣いてまで何かを乞うというものが自分の中に湧いてこなかった。
自分で自分のことがわからなさすぎて。

でも、来るものは来た。
時間の感覚も何もない暗闇の中。
がさり、がさりと後ろから。
耳をふさぎたくなる怖さを飲み込んで、
聖なるパイプを持たないわたしが代わりに持っていたフープ(あちらとこちらを繋ぐ木の輪っか)を、
音がするほうにかざす。

すると、ネイティブアメリカンの男性の姿がその中に見えた。
その男性から伝えられたこと。
「知恵と勇気と輝く生命のものがたりの学びを先々まで継承していくのだ」
「赤い光の剣を使い、おまえ自身がつくり出していく力、
   それを伝えていく力がある」

あれから14年。
まだまだ途上。
すでに歩んでいるのか、まだ探しているのか。
いまわたしはここにいる、ということだけは実感できる。

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