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「ちなみに何で?」と言わないで

以前、こんな記事を書いた。

嫁からの「それはおじさん構文だよ」という言葉に怯えているというもの。

「OJISAN!」とツッコミを受けたときの落胆たるや、ドーハの悲劇のときに膝から崩れ落ちたゴン中山の落胆ぶりである。


この「おじさん構文」の指摘とはまた別に、嫁の言葉で僕が恐れているものがあり、今日はそれを紹介したい。

それは、「ちなみに何で?」である。

この質問が使われるのは決まって、僕の答えに対して「一応聞いておきたいんだけど、そう答えたのはどうして?」と嫁が問いたいときだ。

例を挙げよう。


例①

嫁「夕飯、何がいい?」
僕「(なんでもいいなぁ…まあでも答えないと押し問答が続くし、適当に答えとくか、よし、)…えっとね、うどん」
嫁「うどんね。ちなみに何で?」
僕「えっ?」


例②

嫁「どっちの服がいいと思う?」
僕「(マジでどっちでもいい二択だなぁ…う〜ん…ここは思い切って…)この緑のやつめっちゃいいじゃん!緑にしなよ」
嫁「緑かぁ。ちなみに何で?」
僕「えっ?」


例③

僕「今日帰り遅くなる」
嫁「了解。ちなみに何で?」
僕「●●さんと飲むことになった、断れないわ」
嫁「え、●●さんってあの変な人?ちなみになんで飲みに行くの?」
僕「えっ?」


この3つの例で、「ちなみに何で?」に困らされている僕の様子をわかってもらえただろうか。

例③に至っては、二段階右折ならぬ、二段階「ちなみに何で?」である。

「ちなみに何で?」と聞かれるたびに、僕は肝を冷やす。

ここで挙げたようなテーマには適当に答えており、理由などないからだ。
僕は、一部のことにはこだわりがあるが、それ以外の大半のことはどうでもよく、日々迫られる選択なんて、大体なんとなくで決めているのだ。

例③だと、●●さんに誘われて断れなかったこと以外に理由はなく、そもそも男2人で連れ立って飲みに行くことにたいした理由なんてない。

でも、理由をつけて嫁を納得させないと、前に進めない。
だから、この「ちなみに何で?」の質問は非常に厄介である。

適当に答えるときでも、それっぽい理由をつけなければいけない。
後付けでも構わない。
考えた過程をそれっぽく見せれば、それでいいのだ。

例えば、例②のように、服の二択のアドバイスを迫られて、緑を選んだときは、「こっちの方が明るい気分になれるかなと思って」とか「こっちはまだ持ってない色だから良いんじゃない?」とか言っておけば乗り切れる。

本気で思ってなくていい。
ロジカルに考えて導き出した結論の体を装うのである。

こちらが緑の服を推したのに、そのあとに嫁が「うーん、緑よりもこっちの白の方がかわいいからやっぱり白にしよっと」と言ったとしても、それはそれでいい。

耐性のない並の人間であれば「おいおい、俺にアドバイス求めておいて逆を選ぶなら最初から聞くなよ」と思うかもしれないが、僕クラスのプロフェッショナルになると、自分が勧めたものと逆の方を嫁が選んだとしても、なんら心を乱されることなく、むしろ「嫁の決断を別の角度からサポートできた」と自分を褒めてあげるのである。

そして自分を褒めてあげると同時に、嫁からの「どう思う?」「それはちなみに何で?」という質問攻撃が止んだことに心底安心するのである。


そんな、文句一つ言わずにいつでも嫁を優先するつつましい僕にも、一つだけ願いがあります。

この記事だけは、どうか嫁に読まれませんように。



おわり

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