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BLセレクション

 BL(ボーイズラブ)を知ったのは中学生の頃だった。
 とある少年漫画の二次創作を知り、そこでBLカップリングに開眼し、そこから派生してオリジナルにも手を出していった。
 それからというもの、漫画を中心に、小説やドラマCD、アニメ、ドラマと、様々な媒体のBLを楽しんだ。
 ハマりたての平成時代は、BL漫画は少女漫画の延長戦上にあるような気がしていた。攻めは粗野で暴力的、受けは可愛らしく弱弱しい……私の視野が狭かったからなのかもしれないが、そういう記号的作品が多かったように思う。受けの女性性が強めの作品が多かった。少なくとも「強い受けはいいぞ」と主張している人に出会ったことはなかった。

 BLと一口に言えど、その時代により、気分により、好みのジャンルは異なる。ほのぼの、コメディ、シリアス、幼馴染、兄弟、獣、オメガバース……とまあ、結構何でも好きだ。
 これ以降は、購入履歴を振り返りつつ、紹介できる範囲で好きな作品を紹介していこうと思う。紹介と言うには語彙が呼吸をしていないけれど。


【2008~2009年】
 オリジナルBL作品に触れ始めて間もない頃に出会い、何度も読み返した作品といえばこちら。

同細胞生物/夢花李
 ポエマーだった私にとって、このポエミーな作品は堪らなかった。繊細な絵柄も良かった。劇的なことは何も起こらず、淡々と高校生同士が恋をしていく、その様が良かった。同じ作者の『チョウになる日』も良かった。


【2010~2011年】
 高校生になり、アルバイトを始め、自分で漫画やドラマCDを買えるようになった頃。色々読んだと思うが、印象に残っている作品といえばこちら。

くいもの処 明楽/ヤマシタトモコ
 年下×年上の魅力に気づいた作品。それまでは温かく切ない物語を好んでいたが、ラブコメとは程遠い、やや乱暴な雰囲気のこちらの作品には心惹かれるものがあった。ドラマCDではメインを野島裕史さんと中井和哉さんが演じており、色気のなさがとても良かった。同じ作者の『恋の心に黒い羽』も良かった。

言ノ葉ノ花/砂原糖子
 こちらは小説。滅多に読まない、というか、これ以降は商業BL小説を全く読んでいない気がする。他者の声が聞こえるようになった主人公が、同僚の声を聞き、自分に好意を寄せていることを知る……という話。

 余談だが、同時期に男の娘にハマり、『ドラマCD「ボクたちオトコの娘」~アイドルデビュー編~』も購入した。メインのオトコの娘アイドルを、下野紘さん、石田彰さん、代永翼さんが演じていらっしゃった。このときは“可愛い”が好きだった。


【2012年】
 高校を卒業し、晴れて就職した年。つまり箍が外れた年でもある。それまでは中古漫画を買い漁ることが多かったが、自由に使えるお金が増えたことで、新品の漫画のみならず、ドラマCDも積極的に買えるようになった。

世界一初恋/中村春菊
 こちらはアニメから入り、漫画を読むようになった。少女漫画編集部が舞台の話で、2008年に連載が開始され、現在も連載中の作品。俺様攻め×可愛い受けという、とても平成らしいカップリングだ。

どうしても触れたくない/ヨネダコウ
 ヨネダコウ先生を知った作品。ぐいぐい来るけれど実は優しい上司×臆病でゲイな部下。二人とも辛い過去を持っている。ドラマCDではメインを石川英郎さんと野島健児さんが演じており、これまた最高。
 スピンオフ作品の『それでも、やさしい恋をする』もタイトル通り優しくて染みる。


【2013年】
 ハロプロのコンサートに行ったり黒子のバスケにハマったりと忙しなかった時代だ。

囀る鳥は羽ばたかない/ヨネダコウ
 ヨネダコウ先生のヤクザ物!表紙から既に狂気が溢れていて最高。
 現在も連載中のこの作品は、果たしてどうなっていくのか、まるで分からない。幸せな結末は迎えないんじゃないだろうかと個人的には思っている。
 メインは用心棒×若頭だが、これをBL作品とカテゴライズしてしまうには、任侠色が強い気もする。ヤクザの世界はこの作品で学んだと言っても過言ではない。ドラマCDもアニメ映画も良かった。新垣樽助さんの魅力を思い知ったのはこの作品。

NightS/ヨネダコウ
 振り幅の広い短編集。運び屋×ヤクザ、営業マン×メカニック、高校生同士……全部最高だ。ヨネダ先生の描き過ぎない描写が好き。こちらの作品も他のヨネダ作品同様、ドラマCDも良かった。この時代は小野友樹さんにハマっていた気がする。


【2014年】
 転職した年だ。注文履歴を見ると、2013年よりも更に色々なものを買っていた。宮本佳林ちゃんのファースト写真集やアニメの円盤、ハロプロの円盤、Aimerさんの音源……色々だ。

宇田川町で待っててよ。/秀良子
 高校生同士の話。女装男子の思春期特有の揺らぎが良かった。
 ドラマCDの小野友樹さんがまた良くて、この作品は何度反芻したか知れない。なのにちゃんと紹介文を書くことができない。


【2015年】
 心が死に絶えていた年だ。そんな時代もBL作品は傍らにいてくれた。

起きて最初にすることは/志村貴子
 伝説の百合作品『青い花』が最高な志村貴子先生の初BLコミックス。しかも義兄弟ものだ。毎回感謝の念でいっぱいになりながら読み返している。


【2018年】
 2016~2017年は紹介できそうなBLをあまり読んでいなかった模様。
 2018年はヒプノシスマイクやヒロアカに出会った年だ。かなり充実していた。

そんな目で見てくれ/毛魂一直線
 とにかく笑いたいときに読む漫画。BLに萌えたいというよりはギャグを浴びたいときに読むと良い。

三上と里はまだやましくない/鶴亀まよ
 高校生、寮のルームメイトの可愛い恋愛。スピンオフの『あかりと彼はなやましい』も可愛くて好き。


【2019年】
 この年は色々手を出していたが、紹介できそうなものは例によって少ない。

ポルノグラファー/丸木戸マキ
 大学生×ポルノ小説家。小説家の腕を骨折させてしまった大学生が、口述筆記で代筆を始めることになり、物語が展開されていく。続編の『續・ポルノグラファー プレイバック』やスピンオフの『インディゴの気分』も良い。丸木戸先生の描かれる仄暗さと濃密な人間ドラマが堪らない。

初恋が牙をむく/英数字
 初恋の相手と十年以上の時を経て再会する、最高な話だ!絵が好み。


【2020年】
 この年も成人向けな話を多めに読んでいたため、それ以外のものを紹介。

アケミちゃん/丸木戸マキ
 丸木戸先生のお話はヘビーな部分もあるのであまり気軽には読めないのだけれど、やっぱり好き。前科持ちクズ×男運のない受けという構図で、光が見えなさそうで見えるところが好き。同じ丸木戸先生の作品で『目を閉じても光は見えるよ』にも通ずるところがある。

ブルーム・ブラザーズ/志村貴子
 兄弟がテーマの短編集。全二巻。全部好き。

めんどくさいけど愛してる/英数字
 リーマンものと兄弟ものの二作が収録されている。pixivで読んだときから好きだったのでコミックス化はとても嬉しかった。特に兄弟ものが好き、最高。


【2021年】
 この年辺りから獣人にハマり始めたらしい。色々読んでいたので厳選する。

YOUNG BAD EDUCATION/ダヨオ
 生徒×担任教師。相互ストーカー最高。青々しかった二人が、続編の『YOUNG GOOD BOYFRIEND』ではかなりハッピーな関係になっていて良かった。

その恋、自販機で買えますか?/吉井ハルアキ
 自販機補充員×リーマンの淡々としたラブストーリー。重たくなくて可愛いので気軽に何度も読める。

ほしの動物園恋物語/小山
 動物世界の多種多様な恋が楽しめる、癒しの作品。

モノトーン・ブルー/ながべ
 猫と蜥蜴の種を超えた交わり。キャラデザが良い。

STAYGOLD/秀良子
 甥×叔父。子どもだった駿人が最終巻ではすっかり大人に成長し、ハッピーに終わって良かった。家族周りの描写も良かった。スピンオフの『STAYGOLD それから。』は連載中で、こちらもまた静かで良い。

僕等に名前をつけるなら/あがた愛
 幼い頃に両親の離婚によって別れた兄弟が再会して恋する話。しかも同じ寮のルームメイト同士だ。好き。

嫌われものと太陽/悠
 陽キャと嫌われ者(と勘違いしている)イケメンのピュアで可愛いラブストーリー。


【2022年】
 この年はTWICEにハマり始めたらしい。

なんかもうあーあって感じ。/宮田トヲル
 罰ゲームから始まる高校生のピュアな物語。もう高校生の話は散々読んだなあと思い始めたところだったけれど、良かった。宮田先生の絵が好き。

犬系の彼氏/カヂロ
 リーマンと獣人のモフモフラブ。可愛い。

めぐってひらいて/笹田さな
 一途なショタおに可愛い。


【2023年】
 この年はふりかけるザクザクわかめを大量に買っていた。

青と碧/ろじ
 バブと世話焼きのほんわかラブ。pixivで知り、ここからろじ先生にハマることに。絵と台詞とエロが皆無なところが良い。

親友の「同棲して」に「うん」て言うまで/ろじ
 大学時代に同居していた親友同士が就職して離れ離れになり、また同棲する話。ろじ先生は絵はもちろんのこと会話がお上手。あと社会人を描かれるから好き。

ぼくのパパとパパの話/ろじ
 同性婚が認められた世界で、子育てするパパ二人。恋愛要素は薄いかもしれないけど、だからいい。

中野家のはなし/会川フゥ
 兄弟ものメリバだ!やった!ハピエンが多いこの世の中で、バッドエンドやメリバを読みたいときもある。この作品は兄が優しいが故にメリバに陥っていく。ので、この二人が将来どうなっていくかとても楽しみ。

転生アイドルとドルオタの騎士/佐久本あゆ
 転生BLはほぼ読んだことがなかったので新鮮だった。元騎士と元王子のお話。


【2024年】
 今年は残り三ヶ月あるが、現時点で良かった作品をまとめようと思う。

PUNKS△TRIANGLE/沖田有帆
 沖田有帆先生の作品は全て読んでいるが、紹介できる中ではこちらが一番好きかもしれない。服飾とパンクと夜遊びの要素がぎゅっと詰まった、お洒落で可愛いラブ。

キューピッドに落雷/鈴丸みんた
 後輩×先輩。高校生の恋愛はもういいやと思っていた矢先に可愛い作品を読んでしまい、考えを改めた。可愛すぎるのでこのカップルは別れてほしい。BLは読後に「別れてほしい」と思うことが度々ある。それは刹那的な感情も尊いと思っているから。

オレと恋愛してみませんか/吉井ハルアキ
 喫茶店店員×アラフォーリーマン。年下×年上だ。二人ともいい大人なのに初々しくて可愛い。

最終電車の恋人たち/ダヨオ
 アラフォー同士の愛しいラブストーリー。これは今まで読んだBLの中の好きランキング五位以内に入る。大好き。

30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい
 こちらはアニメで楽しんでいた作品。30歳まで童貞だった主人公が、触れた相手の心を読めるようになった……という話。リーマン同士の恋。多分アニメで観たからだと思うけど、笑いどころが沢山あって面白かった。


 と、こんな感じだ。タイトルがあからさまに成人向けと思しき作品を外したため、少なくなってしまったが、仕方ない。どれも好きなのだけど、一巻で完結している作品は気軽に読めるから好き。
 そんなわけで、今後も楽しくBLライフを送っていこうと思う。

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