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弥勒菩薩像

大学生のころ、寺巡りが好きで、京都や奈良のお寺を巡っていたことがある。

最初はあまり興味がわかなかったけど、だんだんと好きになっていった。

そこでは主に仏像を鑑賞するのだけど
そのご尊顔を拝する時間が好きだ。

特に京都の広隆寺にある弥勒菩薩像が好きだ。
全てが美しいと思う。装飾があまりなく、洗練されているところも好きで
「ああ、美しい。理想だ…」といつも思う。

ゆっくり鑑賞できるのは
中宮寺(法隆寺のお隣、八角堂)の弥勒菩薩像だ。

私はここで不思議な心持ちになった。

中宮寺の弥勒菩薩像は、像の前に畳が敷いてあって、そこに座ることができる。

ゆっくり弥勒菩薩像を鑑賞できるようになっている。

私が行ったとき、
背筋をすっと伸ばして、弥勒菩薩像の前に正座している女性がいた。私はその後ろでまた、じーっとその場面を眺めた。

すると「あー、なるほど〜」と思いが巡った。

昔からずーっと、人の想いがあったから
こうして美しい状態で仏像が維持されているんだ。
この女性のように仏像をじっと眺めて思いを巡らせる人たちがいただろうし
この仏像に価値を感じ、残そうとして来た人たちがいる。
過去のその人たちは未来を見ていた。
過去の人たちの考える未来。つまり、それはわたしがこの仏像を見ている「今」も含む。

そして、私は今後、ここに何度か訪れるだろうから
その度に、そう考えた過去(そのときの「今」)を思い出すに違いない。ああ、変わらないものが残っているって素晴らしいな!

今まで古いものに価値を感じたことは無かったけど、こういう場所があるって、とても素敵だ…

ということを考えた。
私にこんな気持ちを起こさせるのも
弥勒菩薩像のパワーかもしれない。

あれからまた月日が経った。
前に奈良に行ったときから8年も経っている!

そろそろまた奈良に行きたいなー!

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