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「勝手にふるえてろ」私怨にまみれた感想文

「勝手にふるえてろ」見ました。最高でした。

とにかく松岡茉優演じるヨシカが最高中の最高で、ある種の人間の致命的に自分勝手なところとキュートなところを全力で出していて、2時間ずっと振り回されっぱなしでした。
ヨシカは中学生のときからずっとイチに片思いをしていて、脳内で日々イチとの思い出を再生する女(現在のイチとは交流全くなし)。
そんな折に会社の営業男子・ニに告白され、脳内の「思い」と現実の「思われ」に振り回されることになります。
イチとは在学中に3回ほどしか言葉を交わしたことがなく、それゆえ反芻するエピソードは限られています。脳内のイチはヨシカにとって王子様で、ミステリアスで特別な人。
一方ニはガンガンヨシカにアタックしてはくるものの、趣味も好みもなんか違くて、憎めなくて安心して過ごせる男なんだけど、「一番好きな人」にはならない…
というところで、現実のイチに(ヤバイ力技で)再会し、物語のエンジンがすごい勢いで回り出し、激ヤバな言動が発生します。

この映画を見て真っ先に思ったのは「こういうやついる〜〜!!!」でした。
自己愛が強くて自尊感情が高いのに、自己肯定感と自信がないので、ちぐはぐになっている人。
こういう人たちは「自分が傷つきたくない」ばかりに、人をガンガン傷つけていくのですが、自分しか見えていないので傷つけていることがわからない。一方で自分の傷はよく見えるので、傷つけられたときの被害者意識がすごい。何度も何度も傷つけられたときのエピソードを反芻して、自分の物語にしてしまう。
私はヨシカのような人たちが本当〜〜に嫌いで、本当〜〜〜〜〜〜に大好き!!!!!
彼ら彼女たちはあまりにも欠点が大きいのですが、その欠点がものすごく愛おしくなってしまうんですよね。ニがヨシカを好きになったように、アンバランスさが人を惹きつける。それに(他人に興味がないゆえに)なんだか無防備なので、フラーっと近寄りたくなってしまう。特別に見えるこの人たちの特別になりたいと思ってしまうんです。
とはいえヨシカーズは人を簡単に傷つけてくるので、一緒にいると心が折れる。でも好きだから心が癒えたタイミングでまたフラーっと側に行きたくなってしまう…

途中までニは痛々しくて見ていられなかったけど、最後も「ここから先は地獄だぞ!!!」と思いました。たぶん二ヶ月おきに別れ話を繰り返して、いつかお互いを嫌いになって恋が終わると思う(意地悪な見方)。そしてツイッター(ヨシカーズは面白いのでたぶんけっこうフォロワーが伸びる)に過去の恋話としてわりと盛って書かれる。それでもニにとってヨシカとの恋愛は「なんかすごかったなあ、最後までよくわかんなくてかわいかった。でももう二度と会いたくない」と振り返れるものになるのでしょう。

恋愛関係で落ち着くならまだ「別れた別れない」「やったやらない」で終わるからいいんですけど、複雑なのは友人関係で、石橋杏奈演じるくるみのように、散々振り回されて「なんで私が謝らなきゃいけないの」と思いつつ、好きだから折れてコミュニケーションをとってしまうところ、ああ〜〜!ってなりました。
くるみは「恋愛ばっかしてるってバカにしてるんでしょ?」とちょいちょいヨシカに聞くけど、実際そうなんですよね!!!ヨシカってそういうところある!「量産型ビッチ〜!」とか思ってるとこある!でもそのひねたとこも好きなんですよね!!!
たぶんくるみは今後もヨシカに「あなたには関係ない」とか言われたり「友達いないんで〜〜!」とか言ってるのを聞いたりしてイラッとすると思うんだけど頑張って欲しい。彼氏もたぶん地雷男だけど強く生きて。お前はちょっと地雷を踏みやすいけどいいやつだよ。

結論として「勝手にふるえてろ」最高の映画でした!まだやってるところあるのでぜひ見てください。
あと知人オタク男が「私絶滅した動物が好きなんですよねとか言われたら即オチしてしまう…」と萌えてたのでこれから絶滅した動物や深海生物について学びモテていこうと思います。全員死ね!!!

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