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娘ももこの挑戦 ①遊具

娘は怖がり。良く言えば慎重。

ももこが幼い頃、遊具がたくさんある大きな公園によく連れて行った。普段は砂場で遊んだり、家の中で縫いぐるみ相手に一人で何役もやりながら飽きもせず遊んでいる子だった。

大人しいかといえばそうでもなく、アスレチックには興味を示していた。興味はあるけれどちょっと怖い。

ある時、横浜にあるフィールドアスレチックに連れて行った時の事。滑車のついたロープで滑っていく遊具を見て、ももこはやりたいと言った。ターザンみたいなあれ?フィールドアスレチック初心者である4歳のももこには難易度が高すぎやしない?

ももこはどうしてもやりたいと言うので、順番の列に並んだ。ももこの番が来ると、いきなり「怖いからやめる」と言い出した。ほらね、と思う私。

でも、楽しそうに遊んでいる子どもたちを見て、ももこはまたやりたいと言い出す。再び順番待ちをする。今度はロープにつかまって滑り出すところまでできた。突然飛び降りて、やっぱり怖いと言う。でも、またやりたいと言い出す。

その時「何度挑戦しても良いけれど、危ないので滑り出した後に飛び降りるのだけはやめること」と、約束させた。にもかかわらず、その後とんでもない飛び降りを2回ほど繰り返し、そのたびに怪我はしていないかハラハラする親の心配をよそに、ももこはようやく向こう側までたどり着くことができた。

「できたよ~!」と言って駆け寄ってくるももこの顔には満面の笑み。何度もチャレンジして、できなかった事をできるようにする。それはこの後何度も何度も場面を変えてももこに訪れることになる。

幼稚園の滑り台のてっぺんさえも怖くて上れなくて、階段の途中で何度も引き返してきたももこ。怖いからやらないかといえば、幼稚園がある日は必ず滑り台に向かう。

滑り台の階段を上ったり下りたりの繰り返しの毎日。そうしているうちに、滑り台のてっぺんまで上れるようになる。でも、怖いからまだ滑り台は滑ることが出来ない。てっぺんまで行って降りてくる毎日。

幼稚園に行くたびに、ももこが滑り台に挑戦する様子を見ていた。娘より小さい子たちが次々と滑り台を滑って行くのを見て、ももこは小さいのに凄いね、と褒める。滑り台ができないももこをバカにする子もいたが、彼女は聞こえていないのか何も答えない。

黙々と滑り台に挑戦する毎日。ある日滑り台の方を見ると、ももこが緊張した顔で滑り台を滑っているではないか。おやまあ、いつの間に!晩御飯は彼女の好きなおかずを作ろうかな。さりげなく褒めてあげよう。

何も言わずに滑り台に挑戦し続けた毎日。何だか凄いな、うちの娘。そう思いながら私は一人でふふふと笑っていた。

後日ももこの話から、幼稚園の同級生が滑り台を怖がる自分をバカにしていたことを知っている事が分かった。

「悔しかったけど、できないんだからしょうがないよね。でも、できるようになったから、もうバカにしないでしょ」とももこが言った。

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