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嫌いな、数字。


コンタクトレンズの処方箋を出してもらうために、眼科を訪れた時のこと。

「空いているロッカーに荷物を預けてください」
と言われ、背後のロッカーを見ると上の段、1番と3番が空いていた。

立っている位置からすぐ近い3番に手が伸びたけれど、途中で手が止まる。
わざわざ一歩左へ動き、1番のロッカーに荷物を預けた。

わたしは、未だに3番を避けている。



中学生の時、初めてバレーボールに触れた。
本当は、陸上部に入るつもりだった。
身長がみんなより頭ひとつ高かった私は、
顧問の目に留まりやすかったのだと思う。

毎日辞めたいと思っていたし、
記憶の底に葬った過去が沢山あるけど、
彼女の記憶は不意に私を襲う。
背番号、3番。
わたしは、2番。
3番は、エースナンバーだった。

彼女は、恥じらいなく全国出場をチームの目標にした。
部員は11人しかいない
7割初心者の弱小チームだった。
楽しくバレーがしたいなんて、言えなかった。

練習は厳しく、バレーを楽しむ余裕はなかった。
加えて彼女は、毎日のように私を馬鹿にして笑った。
内容は、殆ど容姿についてだった。
嫌で嫌で仕方なかった。
本気で嫌だと伝えても、相手にしてもらえなかった。

彼女は、人に愛されるのが得意だった。
愛嬌のよさと元気のよさで多くの人に好かれていた。
本当に嫌だと、やめてほしいと何度伝えても
いつも宥められるのは私の方だった。


そんなに怒らないで。しょうがないじゃん。
あいつ、そういう奴だし。冗談で言ってるんだよ。




10年近く経った今でも、私は囚われている。
今でも年に数回、当時の夢を見る。
夢はあまりに現実で、覚めたことにいつも安心する。
きっと彼女は、思い出すこともない。

もしあの頃に戻れるのなら
骨が折れるほど強い力で
当時の私を思いっきり、抱きしめてやりたい。
私が生きていてくれたおかげで、
臆病な私が死を選ばずにいてくれたおかげで、
今私が生きている。


こんばんは、朽木杏です。

読んで頂きましてありがとうございました。
ちょっと、暗い話になってしまいました。
ごめんなさいね、お疲れの時に。
でも、嬉しいです。おかげでスッキリしました。

これに懲りずに、また来てほしいです。
お待ちしてます。

では、おやすみなさい。

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