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光たちへ

2024年5月25日。
4着の赤い衣装が、私に着られるのをじっと待っていた。

その日、白金高輪SELENEで一つの物語が幕を閉じた。
2021年12月10日に始まったそれは、平坦な道のりとはとても言えない、むしろ大汗をかいちゃうような歩き甲斐のあるもので、読者からしたら読み応えのある話だったと思う。
表紙をめくってから最後の1ページまでの間、
闇に溶けていく夜みたいな日が何回も来て、
そのたびに光が差し込む朝が来たんだよ。
そりゃあもう、トリックスターに成りきって鼻高々に駒を進めたときも、
真っ暗闇じゃ絵本なんか読めないって、本を閉じてモブキャラみたいに消えちゃいたいときもあった。

でもあの日、袖でじっと待つ「私のために作られた世界で1着だけの衣装たち」と、客席で照らされた赤色一つ一つが、
この約2年半のどんなわたしをも肯定してくれた気がしたよ。

ああ、幸せだったなあ。

ねえ、
こんなにたくさん集めた赤いヘアアクセサリー、次はいつ着けたらいいんだろう。
もうだれよりも私を撮るのが上手いマネージャーさんに、浮気者な彼氏役をお願いすることもないのかな。
グループLINEのピン止めは、もう外さなきゃ。

マイクをおいて舞台を降りたらさあ、
叶わなかった夢たちが、光となって上から私を刺しに来るんだろうけれど
あんな大宣言しちゃったんだから、
また「カリスマです」みたいな顔して登場しなきゃね。
ヒーローは遅れてくるってよく言うし。
またあなたのもとに参上するまで、
少しまっていてね。
強くなって戻ってくる予定!だけど、大遅刻しちゃったら、ごめんね。

出会った日から今日まで
あなたのアイドルに 
きみのヒーローにしてくれてありがとう

環木あんず


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