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ハリネズミの承助の病理解剖

2022年3月10日、 我が家の承助が神経疾患のため1歳10ヶ月16日という短いハリ生の幕を閉じました。
こちらの記事では承助の病理解剖に至るまでとその結果、そしてハリネズミの神経疾患について詳しく記述しています。
病気の発覚から看取りまでの闘病生活の様子は『承助の闘病記』という記事にまとめていますので、是非そちらも合わせてご覧ください。
この記録がいま闘病中の、もしくはこれから闘病するかもしれないハリネズミさんと飼い主さま、そして今後のハリネズミ医療の発展のお役に立てましたら幸いです。

※病理解剖というテーマの性質上、生々しい表現、人によってはグロテスクに感じられる表現も出てくるかと思います。予めご留意頂いた上でご閲覧頂きますよう宜しくお願いいたします。


病理解剖とは何か

まず初めに、病理解剖とはそもそも何なのか、ご説明いたします。
『病理』とは病(やまい)の理(ことわり)と書きます。
つまり病気の理由やそこに至るまでの道筋のことです。
簡単に言うと、何の病気だったのか、なぜ病気になったのか、治療法は有効だったか等を解明するために行うのが『病理解剖』です。
死後に遺体を解剖し、視覚や触覚などで検査することを「死後解剖」と言います。
そして視覚や触覚だけではなく臓器・組織・細胞を顕微鏡等を用いてさらに詳しく検査することを「病理検査」と言います。
そのふたつの総称が『病理解剖』です。

今の医療の発展はこの病理解剖の積み重ねによって成り立っています。
逆に言えば、病理解剖の数が少ないとそれだけ医療の発展を望めないということです。

以上のことを念頭に置き、これから先の文章をお読み頂きたいです。


なぜ病理解剖をするに至ったのか

闘病記で記述している通り、生きている間には承助の病気の原因、病名をはっきりさせることができませんでした。
麻痺や運動障害という症状から、おそらく『脳腫瘍』『脳梗塞』あるいは『WHS(ハリネズミふらつき症候群)』というような、何かしら脳で問題が起きているのではないかという可能性が濃厚でしたが、それを断定する術がありませんでした。
特に『WHS』の場合は、死後解剖で脳と脊髄の状態を確認するほかに診断する方法がありません。
他の可能性も含め、いずれにせよ真相に迫るために病理解剖は不可欠でした。

がんばって闘病した子に死んでからメスを入れるなんてひどい!
あれだけ苦しい思いをさせたなら最期くらい安らかに見送ってあげるべきだ!
きっとそう思われる方もおられると思います。
そのお気持ちもよくわかります。
私も決して簡単に決断したわけではありません。

初めは病理解剖に踏み出すことに迷いもありました。
ですが、たくさん考えて、以下の3つの理由から病理解剖をしてもらおうと決意しました。


理由①

「愛=理解」

愛とは何かという定義は人それぞれ考え方があるかと思いますが、私は答えのひとつとして「理解」というものを挙げます。
私は承助をお迎えしてから毎日真剣に向き合って、誰よりもあの子のことを理解していたつもりです。
でも最後の最後、病気のことだけは原因や病名をわかってあげることができませんでした。
そのわだかまりを残したままでは承助のことを愛しきったと言えないのではという、親としての義務感を感じていたのが1つ目の理由です。


理由②

大切なのは『真実に向かおうとする意志』

ハリネズミの医療はまだまだ発展途上です。
その理由のひとつが、上記で述べたように病理解剖の積み重ねが足りていないことにあると思います。
承助ひとりが病理解剖をしたところで今すぐハリネズミの神経疾患の全てを解明できるとはもちろん思っていません。
でも真実に向かおうとする意志さえあれば例え今は解らないことが多くても、いつかはたどり着くはず…!向かっているわけなので!
というハリネズミ飼いとして、ハリネズミの医療発展に貢献したいという想いが2つ目の理由です。



理由③

「納得」は全てに優先する

前を向いて進むためには「納得」が必要だと思います。

実は私はペットロスというものを経験したのが今回が初めてではないのですが、今までは別れの度どん底まで落ち込んでも時間をかけてなんとか温かい思い出を糧に前向きに生きてきました。
なぜ前向きになれたかというと、彼ら彼女らとの別れに「納得」ができていたからです。
特に実家で飼っていたダックスフンドは17年共に生きてきたので、その別れは相当ショックなものでした。
しばらく外で散歩をしているわんちゃんを見ただけでも涙ぐむくらい落ち込んでいましたが、それでも彼は手術や毎日のお薬もがんばった上で十分すぎるくらい長生きしてくれた、彼に与えられた時間を全うしたのだという「納得」ができたので、時間とともに前を向くことができました。

承助の病気の診断を受けてから、看病をしながら「うちの子がなんで、なんで、なんで…」と毎日のように泣きながら考えていました。
病気の原因も治療法もわからず、結局のところ薬石効なく命を助けてあげられなかったことに、とても納得なんてできません。

がんばって闘病した子に死んでからメスを入れるなんてひどい!
あれだけ苦しい思いをさせたなら最期くらい安らかに見送ってあげるべきだ!
という思いもなかったわけではありません。

ですが、「納得」は全てに優先することです。
でないと私は前へ進めない。どこへも、未来への道も、探すことは出来ない。
そういう私自身の気持ちの決着をつけるため、というのが3つ目の理由です。

…ここまで理由3つをお話して、なんとなく察した方もいらっしゃるかもしれませんが、この3つは全て『ジョジョの奇妙な冒険』の作中で語られる名言なんです。
重大な決断をするときに承助の名前の由来になったジョジョが私の背中を押してくれました。
承助って良い名前をつけたなぁと我ながら改めて思ったりしました。


いざ病理解剖しようと思っても

上記のような理由から病理解剖を決意したわけですが、それを行うまでのハードルが高すぎることをその後思い知ることになります。

2月下旬、承助の病状の悪化が著しくなった頃、かかりつけ医に死後の病理解剖を検討していると相談してみました。
すると、かかりつけの病院では病理解剖は行っていないということ、してくれる施設を紹介することはできるがそれは犬猫に限るということを伝えられました。

その後、インターネットでも「ハリネズミ 病理解剖」や「ペット 病理解剖 関西」(※私は関西在住です。)などと検索して受け入れ施設を探してみましたが、そもそも病理解剖を行っている施設がかなり少ないこと、その上さらにエキゾチックアニマルの病理解剖となると近隣にはないに等しいということがわかりました。
(※ちなみに「ペット 病理解剖」で検索すると東京の動物病院はちらほらヒットしました。)

そんな状況の中、ダメ元でセカンドオピニオンでお世話になった病院に相談してみると「できます!」というお返事を頂きました。
そこでは死後解剖を病院で、病理検査が必要な場合は外部委託をするということでした。
遺体の保存方法や費用面などの説明を受け、“その時”が来たら改めてお願いすることにしました。

今回の経験で知りましたが、病理解剖を受け入れる病院には2パターンあるみたいです。

①死後解剖は病院で、病理検査は外部委託するパターン
②死後解剖から病理検査まで外部委託するパターン

承助は前者のパターンで機会を得ることができました。
後者のパターンのように国内にはペットの病理解剖を専門としている施設もいくつかあるようですが、基本的には個人からの依頼はNGで、提携している動物病院経由でのみ依頼を受け付けているそうです。

そんな感じで、現状では都心部以外では望んでもその機会が得られない、病理解剖はとてもハードルが高いものなのだと思い知りました。
そのハードルがエキゾチックアニマルの医療発展を減速させている理由のひとつでもあるかもしれません。


“その時”

2022年3月10日、“その時”がやって来ました。
承助のために、ハリネズミのために、自分のために決意したので悲嘆に暮れてばかりもいられません。
承助の静かな旅立ちから3時間後くらいに、病院に連絡をしました。
担当の先生から「明日の午前診のうちに連れてきてください。できたら明日のお昼に解剖して夜にお返しします。他の子のオペの合間にするので、もしかしたらお返しするのが明後日になるかもしれません」と言われました。
解剖するということは、身体にメスをいれるということです。
もちろんそれを理解したうえで決意したわけなのですが、改めて息をしていない無傷のわが子を見て心が苦しくなりました。
死後変化をしてしまうといけないので基本は保冷剤を敷き詰めた箱の中で眠らせていましたが、たまに撫でたり抱っこしたりして、きれいな承助と一緒にいられる残り少ない時間を堪能していました。


いざ病理解剖へ

2022年3月11日、約束通り午前診の時間に病院へ伺いました。
その病院には、セカンドオピニオンとかかりつけ病院が休診だった2回行ってそれぞれ違う先生が担当だったのですが、病理解剖はセカンドオピニオンでいろいろ検査をしてくださった先生が担当してくださることになりました。
承助と診察室へ入ると、先生は「お辛いと思うのですが、病理解剖をする前に承助くんの症状の経過を教えて頂けますか」と優しく声をかけてくださいました。
セカンドオピニオンで訪れた2月の初めから昨日まで症状がどのように進行して、どんな治療をして、どんなお薬を試したかなど、事細かに記したメモを持参して余すことなく伝えました。
そして承助を預けて帰宅しました。
いつも承助と一緒だった帰り道に承助がいないことに、改めて涙が出てきました。


死後解剖の結果

2022年3月12日、無事に死後解剖を終えたと連絡を頂き承助を迎えに行きました。
そこで先生から説明して頂いた死後解剖の結果が以下のものです。

●お腹と頭を切って内臓と脳を診た。
●内臓に問題は見られない、予想通りやはり脳に問題がありそう。
●脳が柔らかくなっている。通常はもう少し締まっているが、それと比べると少し柔らかくなっているように感じる。
→他の動物で言うところの「海綿状脳症」(俗に言うところの牛のBSE)、人間で言うところの「脳軟化症(=脳梗塞)」のような状態だったのではないか。麻痺や運動障害という症状があったことからもそう推測できる。
→しかし、死後変化の可能性も否定できない。どちらにせよ見ただけではここまでの判断が限界なので、もう少し詳しく調べるために病理検査に出してはどうか。
→脳と一緒に脳幹を摘出できたので、その近くにある脊椎も一緒に摘出できていて検査することができれば『WHS』かどうかはっきり診断することもできる。

ということでした。

もし内臓疾患や脳腫瘍など、視診や触診だけで断定できるようなものであれば、ここまでで良かったかもしれません。
しかし、まだこれだけでは可能性を絞りきれないため、先生と相談して脳を病理検査に出すことにしました。
次の日に火葬する予定だったので脳を連れて帰れないことは心苦しかったのですが、これも承助のためと思い決断しました。

ちなみにこの時、ホルマリン浸けにされている承助の脳を見させてもらいました。
かなり生々しいので見るに堪えない方もいらっしゃるかと思いますが、脳みそってこんな感じなのかと、私はここでまたひとつ承助のことをひとつ理解することができて嬉しかったです。
この小さな脳みそでいっぱい色々考えて生きていたのかなぁなんて考えると愛おしくなりました。


死後解剖後の遺体の状態について

腹部と頭部を開いているので当然縫合されているのですが、腹部はほとんど目立たないように綺麗に縫合されていました。
頭部に関してはハリネズミの身体の構造上、針を一部カットせざるを得ないのでどうしても少し目立ってしまいますが、それでも丁寧に縫合してくださっていて、遺体に対する敬意をすごく感じられ、そのお心遣いが嬉しかったです。


病理検査の結果

2022年4月3日、病理検査の結果が届いたということで、病院に話を聴きに行きました
「病理組織診断書」に書かれていた内容は以下の通りです。

●やや形の崩れた大脳、小脳、脳幹が観察されるが、死後変化と思われる。
●炎症細胞浸潤、腫瘍性病変、脱髄所見は見られない。

つまりどういうことかというと、死後解剖の時に先生が気になっていた脳が柔らかくなっている状態は、病気ではなく死後変化によるもので、神経疾患や運動障害の原因としては結びつくものではないということでした。
そして、先生曰く、脳幹の一部は摘出したものの脊椎は摘出できていなかったようで、脊椎の検査はできませんでした。
なので、少なくとも脳に病変はないので『WHS』の可能性は低いですが、脊椎のダメージをしらべることができていないのではっきりと可能性を否定することもできないということです。


承助の病気は何だったのか

上記のように、結論から言うと、承助の病気の原因は死後解剖でも病理検査をしても真相に辿り着くことはできませんでした。
これが今のハリネズミ医療の限界みたいです。

しかし、何も解らなかったわけではありません。死後解剖を担当してくださった先生曰く、脳に異常がなく神経疾患の症状が出ていたということは、『椎間板ヘルニア』『低カルシウム血症』などの可能性もあったのではないかということです。(※この病気について詳しくは後述)

また、抗生剤・消炎剤・血管拡張剤・ステロイド剤といういずれの薬も大きなも効果を見出だせなかったことから、少なくとも感染症や炎症、腫瘍ではないこと、また承助は1歳という比較的若年で神経症状が出て命を落としたことから先天性・遺伝的な何かがあったのではという可能性があるということが分かりました。

この時に病理解剖を担当してくださった先生に頂いた「ハリネズミの解剖を、しかも脳を見させてもらう機会はめったにないので、この経験は僕たちにとって財産になりました。ここまでやってくださる飼い主さんはいないですよ。本当にありがとうございます。」というお言葉にすごく救われました。
すごく珍しい症例なので、この承助の病気についていつか症例発表をしてくださるかもしれないとのことです。

ちなみに病理検査に出した承助の脳は今、病理検査を担当してくださった偉い人のもとで標本になっているそうです。
一緒に火葬してあげられなかったことは残念ですが、そうやってどこかで誰かの役に立っているのであれば親としては誇らしいです。


病理解剖の費用

再診料 800円
死後解剖検査料金 30,000円
外注病理検査 12,000円
外注検査送付代金 1,200円
―――――――――――――――
合計44,000円+税=48,400円

他の施設の料金も調べてみましたが、エキゾチックアニマルの病理解剖はだいたい4〜5万あたりが相場みたいです。ご参考までに。


ハリネズミがふらつく病気

今回承助の病気について調べることで、ブリーダーさんや獣医さんたちから直接ハリネズミの神経疾患についてのお話を聴いて、たくさん学ぶことができました。
以下にふらつきや歩行困難といった神経症状が出るハリネズミの病気について、各病気の特徴や原因・診断方法など教えていただいたことを記載しています。
専門知識を持たない一介のハリネズミ飼いの書いた拙いまとめですが、ご参考になりましたら幸いです。

【外傷、骨折】
[症状]歩行困難
[原因]ケージ内や部屋んぽでの事故
[診断]視診、レントゲン撮影
[治療]日にち薬、ギブス固定、手術など
[予防]登って落ちて怪我をする可能性のあるものの使用を控える。
例)金網ケージ、木製ハウス、階段、回し車など

【中耳炎】
[症状]頭が傾く(斜頸)
[原因]入浴(※ハリネズミは水辺に住む生き物ではないため、水に濡れるように身体ができていない。耳に水が入っても出すことができないため病気の原因になる)
[診断]耳だれの有無を確認
[治療]ステロイド投薬
[予防]水浴びさせない。中耳炎以外にも肺炎等の重大な疾患につながるリスクがある。

【低血糖】
[症状]ふらつき
[原因]食事量、フードの質
[診断]体重・食事量の変化を確認、血液検査
[治療]フードの変更、投薬など
[予防]普段から体重と食事量をこまめに計測して変化がないか記録を取っておく。

【貧血】
[症状]ふらつき
[原因]ビタミン、鉄分の不足
[診断]口腔内など毛細血管が集まっている粘膜を視診(健康な状態は綺麗なピンク色、貧血状態だと白っぽくなる)、血液検査
[治療]フードの変更、投薬など
[予防]栄養バランスの良いフードの選定

【低カルシウム血症】
[症状]ふらつき
[原因]ビタミン・カルシウム不足、先天性疾患[診断]血液検査
[治療]フードの変更、投薬など
[予防]栄養バランスの良いフードの選定

【脳腫瘍】
[症状]ふらつき、歩行困難
[原因]免疫力不足?
[診断]CT(※ただし小動物用CTを設置している動物病院はまだ少ない)
[治療]手術不可。原因療法はできないので、投薬などの対処療法で進行を遅らせる。
[予防]フードの選定?

【椎間板ヘルニア】
[症状]ふらつき、歩行困難
[原因]背骨への負担(回し車の使用など)
[診断]一応レントゲン撮影をするが、レントゲン画像だけでは正確な診断はできない。はっきりと診断するにはMRI撮影が必要である。ただしMRI撮影は①麻酔下で20〜30分②MRI室に医師は付き添えない、という条件が必須なため実験用マウスはともかく臨床の現場において小動物で実施するのは命の危険が伴うため現実的ではない。よって事実上、正確な診断はできない。
[治療]完治はしない。ステロイド投薬で進行を遅らせることができるかどうか。
[予防]回し車の使用を控える

【WHS(ハリネズミふらつき症候群)】
[症状]ふらつき、歩行困難
[原因]不明。栄養不足?遺伝?ある海外の論文では家族性傾向はあるのではないかという説もある。症状はなかったが、家族性を疑って解剖された症例でも脳や脊髄の異常が認められた。異常があっても症状が出る個体と出ない個体にどういった差があるのかは解明されていない。やはり栄養不足も関係しているのではないかと考えられる。[診断]生きているうちはできない。上記の病気の可能性が全て否定された状況で、消去法的にとりあえず診断される。はっきりとした診断は死後に病理検査で脳と脊髄を調べるより他ない。
[治療]完治はしない。ステロイド等で進行を遅らせることができるかどうか。
[予防]栄養バランスの良いフードの選定?

以上です。
素人知識で書いていますし、先生やブリーダーさんによっても色々な考え方がありますので、深く突っ込まずさらっと読んでいただけたら幸いです。


ハリネズミ医療の現状

以上のような勉強をして思ったことがあります。SNSでもWHSが原因で命を落としたというハリネズミさんを何匹も見てきましたが、果たしてその内のどれくらいが本当にWHSだったのでしょうか。
実際に病理検査をしてWHSの診断を受けた子はごく一部、もしくはほとんどいないと思います。
勉強しているうちにふと気がついたのですが、WHSと椎間板ヘルニアは症状や進行速度、治療法がほぼ同じです。
そしてどちらも生きているうちに診断できないという点も類似しています。
WHSと診断を受けた子たちの中には、実は椎間板ヘルニアだった子もいるのではないのでしょうか。

病理解剖を担当してくださった先生も、今までもWHSの疑いがある子を何匹も診てきたが、みんながみんな解剖させてくれるわけではないのでそうだったかどうか本当のところはわからないとおっしゃっていました。
先生はWHSの疑いがある神経症状が出ていたハリネズミについての研究論文もたくさん目を通しているそうですが、その中には脳や脊髄に病変があって症状が出ている子、脳や脊髄に異常なく症状が出ている子、どちらの報告もあるそうです。
中にはWHSではなくヘルニアの子も混じってそうだなと思いました。

WHSはまだまだ正体不明の病気ですが、例えば椎間板ヘルニアを診断できるようになればWHS症例をもっと絞って研究することができるのではないかと素人考えながら思ってしまいます。
一応近年では無麻酔でハリネズミのMRI検査を実施した報告もあるようですが、不動状態(麻酔下)での撮影はリスク大きくまだまだ実用化のハードルが高いみたいです。

こんな難しいこと、承助のことがなければ知ることはなかったと思います。
承助のことを助けてあげることはできませんでしたが、こうして残してくれた知識を広めて活かしていくことが親としてしてあげられることのひとつなのかなと思っています。


最後に

伴侶動物の幸せのひとつは「健康に天寿を全うすること」だと思います。
承助をそうさせてあげることができなかった私は、どこかでずっと自分を責めていました。
しかし、病理解剖を通じて原因は断定できなかったものの、少なくとも飼育方法が原因ではないということは判ったので、自責の呪縛から解き放たれ、前を向くことができるようになってきました。
初めは迷いもありましたが、承助のため、たくさんのハリネズミさんのため、そして私自身のためにも病理解剖を決断して良かったです。

もしこのまとめを見て病理解剖というものを知ってくださり、ご協力頂ける飼い主さまが少しでも増えたらそれは一番嬉しいことですが、無理にとは言いません。
わが子にメスを入れることはつらいことです。
費用の面でもかなり負担がかかります。
ご自身のお気持ちと十分にご相談なさってから納得の上で選んで頂ければと思います。

この記録がいま闘病中の、もしくはこれから闘病するかもしれないハリネズミさんと飼い主さま、そして今後のハリネズミ医療の発展のお役に立てましたら幸いです。

最期にまた手前勝手なお願いで申し訳ないのですが、もしこれを読んで上記のような想いを同じく持っていただけたなら、承助に線香や花を手向ける代わりに、『承助の闘病記』と合わせてこの記事をシェアして頂けないでしょうか。
このanz_hedgehog は大きな影響力のあるアカウントで はありません。
私の力だけでは多くのハリネズミさんと飼い主さまの元に情報をお届けすることができません。
もしお力を貸してくださってひとりでも多くのハリネズミさんと飼い主さまのお役に立てたなら、私も承助も救われます。
承助が病気と闘ってがんばって生きていたこと、たくさんの方に知って頂きたいです。
どうか宜しくお願い致します。

ハリネズミの杏子と承助/アオジタトカゲの菊の丞 on Instagram: "✮ Josuke and mom staring at each other♡ 承助と見つめあいタイム👀✨ 「承助は今日も世界一かわいいな〜!」 「ははもちちもお仕事がんばってきたよ〜!」 「承助もいっぱい食べて遊んでえらかったね〜!」 って毎晩一方的にめっちゃ話しかけてます♥ 承助はだっこしたらこんな感じですぐおねむモードに入るからたぶん話聞いてないです😂 #ハリネズミ #hedgehog #고슴도치 #刺猬 #刺蝟 #igel #hérisson #riccio #erizo #irenaceus #igelkott #зараа #arici #ёж #ハリスタグラム #ハリネズミ初心者 #ハリネズミのいる暮らし #ハリネズミ多頭飼い #縁々 #ハリネズミ動画 #かわいい動画" 145 likes, 7 comments - anz_hedgehog on February 9, 2022: "✮ www.instagram.com

全てのハリネズミさんと飼い主さまの健康と幸せを祈り、結びの挨拶とさせて頂きます。

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