見出し画像

ハリネズミの承助の闘病記

2022年3月10日、 我が家の承助が神経疾患のため1歳10ヶ月16日という短いハリ生の幕を閉じました。
こちらの記事では病気の発覚から看取りまでの闘病生活の様子を詳しく記述しています。
承助の病理解剖に至るまでとその結果、そしてハリネズミの神経疾患については『承助の病理解剖』という記事にまとめていますので、是非そちらも合わせてご覧ください。
この記録がいま闘病中の、もしくはこれから闘病するかもしれないハリネズミさんと飼い主さま、そして今後のハリネズミ医療の発展のお役に立てましたら幸いです。

※闘病というテーマの性質上、辛い表現も多々ございます。予めご留意頂いた上でご閲覧頂きますよう宜しくお願い致します。


2022年1月22日
1歳の誕生日!

承助が1歳の誕生日を迎え、家族みんなでお祝いしました。
いつも元気いっぱい走り回って、やんちゃで甘えんぼうなかわいい男の子で、どんな大人になるのかこれからの成長が楽しみでした。
この日までは来年も、その次の誕生日も元気に迎えられると信じて疑っていませんでした。

ごはん∶mazuri8g
体重∶278g


2022年1月29日【闘病1日目】
発症

1歳の誕生日から1週間経った日の夜、いつも通りケージそうじと部屋んぽのため承助を出そうとケージの中を見てみると、承助が心なしか右側に傾いて立っているように見えました。
部屋んぽに出してみても、いつものように走り回ることはなく、どことなく歩きづらそうな様子が見受けられたので神経疾患ではないかと心配になり、翌日病院に連れて行くことにしました。

ごはん∶mazuri3g
体重∶270g


2022年1月30日【闘病2日目】
受診①かかりつけ病院受診

かかりつけ医に診ていただきました。
身体中視診・聴診・触診をした結果、予想どおり何かしらの神経疾患の可能性が高いとのこと。
ひとまず抗生剤と消炎剤を服用して様子をみることになりました。

再診料 800円
眼科検査 1,000円
口腔検査 1,000円
内服薬(抗生剤) 1,800円
内服薬(消炎剤) 1,800円
―――――――――――――――
合計 7,040円(税込)

ごはん∶mazuri・手作りフード12g
体重∶270g


2022年2月4日【闘病7日目】
症状の悪化

身体の傾きに加え、歩行時に転倒することが増えてきました。
怪我の恐れがあるため、ケージの2階部分は取り除き、1階だけにしました。

ごはん∶mazuri9g
体重∶272g


2022年2月6日【闘病9日目】
受診②かかりつけ病院受診

薬の服用を始めて1週間経ちましたが、症状の改善がみられなかったため再び受診。
抗生剤と消炎剤の種類を変えて試してみることになりました。

再診料 800円
内服薬(抗生剤アモキシシリン) 1,800円
内服薬(消炎剤メロキシカム) 1,800円―――――――――――――――
合計 4,840円(税込)


2022年2月6日【闘病9日目】
受診③セカンドオピニオン病院受診

神経疾患は早めに手を打たないといけないので、早い段階でセカンドオピニオンを聴いておきたいと思い、関西でも大きめのエキゾチックアニマルを診断できる病院を受診しました。
こちらでは外傷の可能性も探るためレントゲンを撮影しましたが、読影の結果その可能性はない、やはりかかりつけ医と同じく何かしらの神経疾患だろうと診断されました。

初診料 3,000円
診察券発行料 100円
エコー画像診断料(予備検査) 2,000円
X-ray料金(1枚目) 3,700円
X-ray料金(2枚目) 1,500円
画像診断・読影料 2,000円
フィルムCD-R代 1,000円―――――――――――――――
合計 14,630円(税込)

ごはん∶mazuri6g
体重∶272g


2022年2月7日【闘病10日目】
ふたり暮らし再開

繁殖を目指していた年初め以来、久々に杏子とふたり暮らしをさせることにしました。
ただ、今回は繁殖目的ではなく、つらい闘病する承助が少しでも楽しく暮らせるように杏子に寄り添ってもらおうと思ったからです。
承助は大好きな杏子と添い寝ができて嬉しそうでした。

ごはん∶mazuri、手作りフード6g
体重∶270g


2022年2月12日【闘病15日目】
受診④かかりつけ病院受診

この日は杏子と承助をお迎えしたブリーダーさんが承助の様子を見て心配して駆けつけてくださり、病院に同行してくださることになりました。ブリーダーさんの見立てでは脳梗塞の可能性もあるのではないかということで、この日から血管拡張剤も試してみることになりました。

再診料 800円
内服薬(血管拡張剤ベナゼプリル) 2,000円―――――――――――――――
合計 3,080円(税込)

ごはん∶mazuri・手作りフード4g
体重∶275g


2022年2月14日【闘病17日目】
さらに症状の悪化

前足の動きが悪く転倒することが増え、起き上がるのが困難な様子もたびたび見られるようになりました。
怪我防止のため、床材をコーンサンドから布製ペットシーツに変更しました。

ごはん∶乾燥ミルワーム1g・ハリセレブスープ
体重∶267g


2022年2月15日【闘病18日目】
優しい杏子

以前は承助のほうが杏子に近寄って一緒に寝ていることが多かったのですが、闘病生活が始まってからは杏子のほうから承助に寄り添っている様子がよく見受けられました。
杏子の優しさに承助はきっと救われていたと思います。

ごはん∶乾燥ミルワーム1g・ハリセレブスープ
体重∶264g


2022年2月16日【闘病19日目】
ごはんが食べられない

少し前までは身体を支えて介助しながらだと食べれていたごはんが、だんだん食べることができなくなってきました。
mazurや手作りフードは全然だめで、乾燥ミルワームがぎりぎり食べられるかどうかといった様子でした。
固形を食べられない分、ハリセレブスープをシリンジに入れて飲ませて栄養補給ができるよう努めました。

ごはん∶乾燥ミルワーム1g、ハリセレブスープ
体重∶263g


2022年2月17日【闘病20日目】
受診⑤かかりつけ病院受診

抗生剤、消炎剤、血管拡張剤、いろんなお薬を試しても症状の改善が見られないこと。
むしろ症状はどんどん進行してとうとう固形物を食べられなくなってしまったこと。
そして、体重が減少し始めていること。
不安なことばかりで、この日はかかりつけの先生に「この子にしてあげられることはもうないでしょうか」と相談しながら涙が出てしまいました。すると先生はビタミン剤の点滴とステロイド剤の服用を提案してくださいました。
ビタミン剤はごはんが食べられてない分、栄養不足や脱水が心配なので栄養水分補給になる上に、ビタミンが神経疾患に効果があるとされているので少しは状態の改善が望めるかもしれないということ、ステロイド剤も副作用の心配があるので今まで勧めていなかったが症状緩和の可能性があるなら試してみる価値はあると説明を受けました。先生も諦めず承助の病気と一緒に向き合ってくれるのだと、先生のお言葉ですごく安堵したのを覚えています。

再診料 800円
皮下点滴 2,000円
注射治療(ビタミン剤) 200円
内服薬(ステロイド剤) 1,000円―――――――――――――――
合計 4,400円(税込)

ごはん∶mazuri1g・ハリセレブスープ
体重∶263g


2022年2月18日【闘病21日目】
手足の痙攣

仕事の昼休憩中、ペットカメラを見てみると承助が全く動いていないように見えました。
心配になり慌てて帰宅して承助を抱き上げると、手足が冷え切って痙攣していました。

ブリーダーさんに電話して「まずはとにかく温めること、落ち着いたらビタミンを摂取させること」とアドバイスを頂き、手のひらの中でずっと声かけしながら温めていると次第に痙攣はおさまり、手足の冷えも改善が見られました。
容態が落ち着いてから近くのペットショップへ行き、『三晃商会 リキッドエイド マルチビタミン』という商品を購入して、ハリセレブスープに混ぜて承助に与えました。

この痙攣はこれ以来なく、手足の冷えに由来するものなのか、ステロイド剤の副作用だったのかは、ブリーダーさんにも先生にも動画を見てもらいましたが原因は不明です。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶251g


2022年2月19日【闘病22日目】
受診⑥かかりつけ病院

自力でごはんを食べることが全くできなくなってきたので、点滴は週2ペースで通うことにしました。スープを強制給餌していても、やはり固形物を食べられないと一気に体重が減ってしまうみたいです。麻痺が進んで全身力が入っていませんでしたが、点滴の針を刺された時はぐっと力んで針を立てる元気はありました。ビタミンの効果なのか、水分をたくさん摂れたからか、点滴後は少し手足をぱたぱた動かす力がありました。

再診料 800円
皮下点滴 2,000円
注射治療(ビタミン剤) 200円―――――――――――――――
合計 3,300円(税込)

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶243g


2022年2月23日【闘病26日目】 
受診⑦セカンドオピニオン病院受診

かかりつけ医が休診のため、事情を話して点滴をしてもらいました。
次にかかりつけ医のところに行くまでに足りるか足りないか微妙な量だったので、念のためステロイド剤も処方してもらいました。
承助はいつもとちがう先生でも良い子でがんばりました。

再診料 800円
点滴(10ml未満) 2,000円
プレドニゾロン5mg 150円―――――――――――――――
合計 3,245円(税込)

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶236g


2022年2月25日【闘病28日目】
鼻水、よだれ

麻痺の影響からか、この頃から鼻水とよだれがよく出ており、たまにこうやって鼻ちょうちんをつくっていました。
症状は日に日に進行していき身体は痩せてガリガリでしたが、不思議と顔色は良く目の輝きも失われていませんでした。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶221g


2022年2月27日【闘病30日目】 
受診⑧かかりつけ病院受診

ビタミン剤の点滴を打つと幾分か調子が良さそうなので、内服も始めることにしました。固形物が食べられなくなったので、スープの栄養の質をいかに上げるかが課題でした。

再診料 800円
皮下点滴 2,000円
注射治療(ビタミン剤) 200円
内服薬(ビタミン剤) 1,000円
―――――――――――――――
合計 4,400円(税込)

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶211g


2022年3月1日【闘病32日目】
ほぼ寝たきりに

歩くこと立つことはおろか、寝返りすらも困難になってきました。
飼い主たちが交代で休みをとったり、仕事の昼休憩中に一回帰ったりして、数時間おきに体位交換をするようにしていました。
一緒に暮らしている杏子も承助の様子を気にかけてくれて、たまにこうして動かすのを手伝ってくれました。
排泄も寝たままするので、身体が汚れた時は丁寧に拭き取るようにしていました。
手足以外にも嚥下機能の低下も著しくなってきて、スープを飲める量も少なくなってきていましたが、時間をかけてできるだけ多く摂取してもらえるよう、誤嚥に気をつけながら承助にはたくさんがんばってもらいました。
しかし、体重の減少は止まらず、この日でとうとう200gを切ってしまいました。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶196g


2022年3月3日【闘病34日目】 
受診⑨かかりつけ病院受診

前日の夜から耳だれのようなものが耳から出ているのが気になったので診てもらいました。
もしかして中耳炎からくる神経症状では?と心配になりましたが、耳だれではなく耳垢でした。
動けなくなって自力でかけなくなったので耳垢が溜まって出てきてしまったみたいです。
点滴と合わせて耳そうじもしてもらい、承助はスッキリした様子でした。

再診料 800円
耳そうじ 800円
皮下点滴 2,000円
注射治療(ビタミン剤) 200円―――――――――――――――
合計 4,180円(税込)

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶188g


2022年3月5日【闘病36日目】
“その時”が近いのかも

精気のない目をすることが増えてきました。本当に矛盾しているのですが、この頃の私は誰よりも承助の快復を信じている一方で、誰よりも“その時”が近づいているのをわかっていました。そんな気持ちを察してか、承助は私が弱気になっている時には瞳を輝かせて私を見つめてきました。ぼくはまだ大丈夫、まだ生きたい、と訴えているようで抱きながら涙が止まりませんでした。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶184g


2022年3月6日【闘病37日目】 
受診⑩かかりつけ病院受診

週2で病院へ通うようになって、承助はすっかり先生になついていました。
先生もスタッフのみなさんもとても良くしてくださって、いつも「承助くん、今日もがんばったね」って優しく声をかけて撫でてくれるので、承助は通院のたびごきげんな様子でした。

再診料 800円
皮下点滴 2,000円
注射治療(ビタミン剤) 200円
―――――――――――――――
合計 3,300円(税込)

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶177g


2022年3月8日【闘病39日目】
手足のトレーニング

いつかまた元気になった時のために、こうして手足を動かすトレーニングをしてあげていました。
トレーニング中はとても楽しそうに目を輝かせていました。
きっとまだまだ走り回りたかったんだろうなと思います。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶169g


2022年3月9日【闘病40日目】
だっこするとごきげん

だっこして撫でながら話しかけている時はいつも笑っているように見えました。
これが生前に撮った最期の動画です。

ごはん∶ハリセレブスープ
体重∶165g


2022年3月10日【闘病41日目】
“その時”

朝8時頃、おはようと声をかけてだっこをすると目をぱっちり開けて私の声を聴いて嬉しそうな顔をしてくれて、ああ今日も生きていてくれていると胸を撫で下ろしました。
その日は通院予定日だったのでおはようの挨拶の後、身支度のために一旦承助をケージに戻しました。
20分ほど後にケージ前へ戻ると、承助はぐったりと目を閉じて呼吸が止まり始めていました。
すぐ抱き上げて「承助、承助、起きて!」と声をかけましたが反応はありません。でも胸に耳を当ててみると心臓の音がわずかに聴こえました。
“その時”が来たのだと思いました。
承助をソファに横たえて、杏子をケージから出しました。
そうして朝9時頃、私と杏子に見守られながら承助は静かに旅立っていきました。
1歳1ヶ月と16日、うちの子になってからは10ヶ月と1日でした。


闘病生活を終えて
この闘病生活の中で検査をしたり色んな薬を試したりセカンドオピニオンを受けたりもしましたが、はっきりとした原因も有効な治療法も見つけることができまけんでした。
毎日フルパワーでぐるぐるダッシュをしている子だったのに走ることはおろか、歩くことも立つこともできなくなり、やがて自力で食べることも飲むこともできなくなってしまいました。
最期の2週間はほぼ寝たきりで飲食も不自由だったので相当しんどかったと思いますが、それでも私たちがだっこして声をかけて撫でてあげると嬉しそうな顔をしてたくさん甘えてくれました。
この闘病の日々の中で懸命に生きようとする承助を見て、私たちがしっかり支えてあげないといけないのに、逆に承助に励まされていました。

闘病生活41日間で、承助の体重は278gから165gまで減少しました。
これは体重の約60%を失った計算になります。
一般的に小動物はひと月に体重の5〜10%減少しただけでも危険な状態であると言われています。
それを大きく上回る体重を失ってもなお、小さな身体で日々を懸命に生きていた承助の強さに涙が出ます。
がんばりやさんな自慢の我が子です。

ちなみに闘病生活の中での通院は10回、合計医療費は52,415円になりました。


最後に

伴侶動物が病気になった時、それを寿命と捉えて穏やかに見送るため、積極的な治療はしないという考え方もあります。
それもひとつの考え方で決して間違いということではないと思います。
私の場合は承助ががんばって生きようとしていたので、なんとか生かしてあげようと今この環境で与えてあげられる最大限の医療と精一杯の介護をしたつもりです。
結果的に承助を助けてあげることはできなかったことは無念ですし、苦しい思いをさせてしまったかもしれませんが、承助は最期まで承助の時間を懸命に生き抜くことができましたし、私としてもできることは全部やり尽くしたので「あの時のああしていれば」というような後悔は全くありません。それだけが唯一の救いです。

ただ、病気に負けて終わったというだけでは承助も私も悔しいので、承助のがんばりを広く知ってもらうためこうして闘病記録と病理解剖についての手記を残して公開することにしました。
この記録がいま闘病中の、もしくはこれから闘病するかもしれないハリネズミさんと飼い主さま、そして今後のハリネズミ医療の発展のお役に立てたなら幸いです。

最期に手前勝手なお願いで申し訳ないのですが、もしこれを読んで上記のような想いを同じく持っていただけたなら、承助に花を手向ける代わりに、『承助の病理解剖』と合わせてこの記事をシェアして頂けないでしょうか。
このanz_hedgehog は大きな影響力のあるアカウントで はありません。
私の力だけでは多くのハリネズミさんと飼い主さまの元に情報をお届けすることができません。
もしお力を貸してくださってひとりでも多くのハリネズミさんと飼い主さまのお役に立てたなら、私も承助も救われます。
承助が病気と闘ってがんばって生きていたこと、たくさんの方に知って頂きたいです。
どうか宜しくお願い致します。

全てのハリネズミさんと飼い主さまの健康と幸せを祈り、結びの挨拶とさせて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?