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道具箱の中

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どのマガジンにも入らない雑多なやつは、大体ここに入ってます。
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#エッセイ

千歳烏山を許すな

こんにちは、調布育ち札幌在住のAnzです。今から書く話は全てネタとして読んで下さい。高校時代、世田谷区民に「出身どこ? あ、調布? そっか『市民』か笑」と言われたことは決して許していませんが、この話は全てネタとして読んで下さい。 皆さんは調布という街をご存じだろうか。東京の区部に入りきれず、「都下」といういかにもランクの低さを感じる括りに入れられている街で、最近やたらと道路が陥没していることで話題の街だ。このままだと印象が最悪なので一応良いところを言うと、新宿まで京王線の特

高校受験

駅は「未知への入り口」だ。 *** 中学3年生の夏、どう足掻いても高校受験を意識する頃。私は中学校がとにかく嫌いだったため、学校という施設に飽き飽きしていた。とても高校選びを積極的に出来る精神状態ではなかったが、高校に行く以外の選択肢があるわけでもなかったので、とにかく同じ中学校の生徒が少ない、遠くの高校に行こうと決めた。そんな可哀想な理由で選ばれたのが、私の母校である。 しかし、消極的な理由で選んだ高校に対して、受験のやる気が出るわけもなく、何の対策もしないまま受験当

姓名占い

ごく平凡な苗字に、ごく平凡な名前を授かり、平均的な体重で誕生した。それから20年、徐々に平均的な体重とは遠ざかっていったが、姓名が変わることは今のところ無く、未だに名前を読み間違われたことは無い。名前とは人を区別するためにつけられるものだが、それが機能しているかと言われれば、僕の場合は微妙なところだ。 ―――――――――――― 春休みに入ってから、怠惰な大学生はより怠惰になった。起床したら既に午前は吹き飛び、世間はランチタイム真っ只中なのは当たり前の事だ。生活リズムは社会

新世界

20歳になってから半年、そこまで期待もしていなかった成人式は案の定消えた。僕は行く気が起こらなかった成人式だったが、他の人は友人と会いたかったとか振袖を着たかったとかで、成人式が消えたことに対して違う面持ちかもしれない。例年なら成人式は行くか行かないかを選ぶことが出来たので、行きたくなければ行かなくていいし、行きたいならば行けばよかったが、今年はそういう選択ができるほどの余裕が無い年だった。 一人暮らしをしている自分から見ると、今年一番変わったのは「誰かといる時間の長さ」か

北海道という田舎で

北海道一の大都会札幌に移り住んでから1年半が経った。今まで一度も行ったことがない街に住むと決まった時から、北海道へ期待を寄せていた。 実際、札幌の環境はこの期待に応えてくれた。周囲の友人にも恵まれた。北国の広い大地を、初心者マークのついた車と、国鉄時代の風情を残す列車で端までまわった。 こうしているうちに、僕は札幌以外の北海道がどのような場所なのか、うっすらではあるが段々と分かるようになってきた。ガイドブックで「広大な自然環境」と銘打たれる場所は、そこで育つ子どもにとって

帰省先は別世界だった

札幌駅を出てから特急と新幹線を乗り継いで8時間、9ヶ月ぶりに訪れた東京は「都会」だった。 高校在学時、週3で校舎の屋上から見ていた新宿の高層ビル街。当時の東京は自分が住んでいる街であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。大学2年生になってからその風景を見て抱いた感想は「うわ、めっちゃ都会じゃん......」だった。月3回は新宿に訪れていた高校2年生の僕に「3年後の君は新宿を異世界だと思っているよ」と伝えてあげたい。ついでに「実家の部屋番号間違えるよ」とも伝えてあげたい。

各駅停車の行き先は

旅に出られる。その幸せの大きさを北の大地で味わっています。 これは今夏のあるポスターのコピーだ。そのポスターで紹介しているのは青春18きっぷ。毎回、駅や列車と美しい景色を収めた写真、それに関連した言葉が使われているのが特徴だ。 富良野線,学田駅 ローカル線の要素を詰め込んだ風景 僕は美しい景色を見る旅の移動手段に列車をよく使う。この理由は安いからというだけではない。車窓をゆっくりと眺められるから、自分の時間を作れるからだとか、まあ色々ある。 そうして列車での旅を重ねて

水溶

2012年夏、気づけば僕らは小学生最後の夏休みを迎えていた。それでもやってることは相変わらず変わんなくて、炎天下の公園でサッカーをしたり、いつものエリアで鬼ごっこをして時間を溶かしていた。 僕が当時住んでいた場所は校区の端の端、家の目の前にある踏切を渡れば、そこは隣の小学校の校区だった。小学校まで片道20分の距離を1人で通うのは何か心許なくて、自然と近くに住む同じ学年のやつらと登校して、下校して、遊んでを繰り返す毎日を過ごしていた。 今日も12時30分にいつもの交差点、カ