SORACOMさんのハンズオンを試してみる。 ~超音波距離センサーの精度を検証~
(1)はじめに
3月17日にSORACOMさんの「IoT実践セミナー」に行ってまいりました。日程的に自粛ギリギリのタイミングで、開催してくれたSORACOMさんには本当に感謝しています。
内容は初めてSORACOMさんのサービスやハードウェアを触る人たち向けの入門コース。実技主体で大変刺激的な内容のセミナーでした。
エバンジェリスト・MAX(マックス)さんには非常にお世話になり感謝しております。おかげで楽しい時間を過ごすことができました。
さて、セミナーの中ではSORACOM SIMカードを使用してデータ通信が出来るマイコンボードとグローブに対応した各種のセンサーが提供されます。実際のセミナーの中では温湿度センサーを使っての実戦的なIoTの研修を受けましたが、 他のセンサーについては使用しませんでした。
そこで今回、復習を兼ねて提供を受けたセンサーのうち、超音波センサーを使って実際の距離をどれぐらい正確に測れるかを検証するために実験を行いました。特に、以前から興味のあった「水面の測定」についても自分で器具を作って実験してみました。
・実験したこと
1)超音波距離センサーの実測レポート(距離別)
2)超音波距離センサーの実測レポート(水面を測定できるか)
・結論
1)メーカーで定めている使用方法を守れば、距離の測定は2㎝程度の誤差で可能。
2)水面の測定も、水面が静止状態であれば問題なくできる。
(2)今回の実験で使用したもの
SORACOMさんのセミナー「IoT実践セミナー」で提供されるGrove IoT スターターキット for SORACOMのうち、
マイコンボード
・Wio LTE JP Version ※電源は写真のようにモバイルバッテリーで供給。
超音波距離センサー
・GROVE - 超音波距離センサモジュール V2.0
https://www.switch-science.com/catalog/1383/
・SORACOM SIMカード
SORACOM Air SIMカード plan-D サイズ:ナノ
・データ可視化サービス
SORACOM HERVEST(グラフ等を作成して、送信されたデータを可視化)
・検証用に
自作の測定器(精度は高くないので、参考までに)
これは、水面を測定するときに水を張る水槽の代わりに作成しましたが、支柱に定規を使うことにより、水面までの距離を実測できるようにしてあります。また、比較的長い距離を測定する際にもセンサーの向きを簡単に変えられるので非常に便利です。
(3)使用したコードなど
SORACOM Conference "Discovery" 2018で使用された超音波距離センサーのデモ用のコードがありましたので、そちらを使用しました。SORACOMさんには感謝申し上げます。
ttps://github.com/soracom/iot-showcase/blob/master/events/discovery2018/index.md
(4)超音波距離センサーの能力について
https://www.seeedstudio.com/Grove-Ultrasonic-Distance-Sensor.html
今回使用した超音波距離センサーの概要は製造元のSEEED社のホームページによれば以下の通りになります。写真のマイクのような部品が超音波の送信部(T)/受信(R)部になります。
①2cmまでの精度で、3cm-350cmまでの距離を測定可能。出力信号の幅で距離を表す。
②用途としては、距離測定、近接センサ、及び超音波検出器。
③5V,3.3Vのボードにも対応。Groveシステム対応なので扱いやすい。
(注意)
このセンサーを使用する際の注意点として、下記の点がWIKIのページにのみ掲載されています。それは、
①測定面積は0.5平方メートル以上
②測定する対象は、滑らか(=でこぼこがない)であること。
もちろん、実験に際してもこれらの2点は守ったうえで実施しました。
(5)実際の測定について
1)超音波距離センサーの実測レポート(距離別)
少し遠めの対象物を測定するために、センサーを上方に向けて天井までの距離を測定。
141㎝と206㎝の距離は下記のとおりです。
・①141㎝...デスク(高さ65㎝)の上に置いた測定器の先端ー天井。
・②206㎝...デスクを外し、床に置いた測定器の先端ー天井。
※②-①の差が65㎝になれば、実験は成功です。
実験結果
SORACOM SIMカード(plan-D LTE版)とデータ可視化サービスSORACOMHERVEST(グラフ等を作成して、送信されたデータを可視化)を使用して、天井までの距離の測定結果を上記のようなグラフにしました。当初予測した通りの結果が得られ、①と②の測定差は、65㎝となりました。最初に①、次に②の条件で測定したのでこのようなグラフになります。
2)超音波距離センサーの実測レポート(水面を測定できるか)
水面の測定では、測定器の中に水深が1,2,4㎝となるように段階的に水を入れ、変化を測定しました。今回は水の揺動については考慮していません。
結果は下のグラフの通りになりました。
・22cmが水深0の状態で、この実験の基準点になります。
・1,2,4㎝と水深を増していくと、基準点の数値が下がっていきます。22㎝とグラフの数値の差が、水深ということになります。
・0-4㎝の水深を正確に測定できています。
まとめ
GROVE - 超音波距離センサモジュール V2.0は、メーカーで定めている使用方法を守れば、距離の測定は2㎝程度の誤差で可能であることが実験でわかりました。特に、(実験室の、最適な環境の中ではありますが)水面からの距離を測定できることで、応用範囲が広がるかも知れません。例えばタンク内部の液面測定、田んぼの水位測定などに応用できるかもしれません。
最後にSORACOMのエバンジェリスト・MAXさんに重ねてお礼を申し上げます。
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