アニソン的視点によるディスクガイド 012 太田裕美

太田裕美 / 2000BEST

 アニソンの利点は歌詞世界を簡単に具体的にできることだと思います。ストーリーというしっかりした土台に基づいて書かれる歌詞は説得力を持ちやすいのではないでしょうか。太田裕美の歌には逆にストーリが曲の中に存在するというものが多くあります。それは最近のJ-POPにありがちな出来事だけを述べ立てる具体しかないものと比べると、詰込み過ぎず、抽象過ぎずな感じが情緒的だと個人的には思います。

 太田裕美でストーリ仕立ての曲というと真っ先に挙げられるのが『木綿のハンカチーフ』ですが、僕は『しあわせ未満』の方が曲もその中のストーリーも好きです。

 このベストには入ってませんが『青春のしおり』に登場する「心の風邪をひく」というフレーズは収録アルバムタイトルにも引用されていて(『心が風邪をひいた日』)、これは現代で言う『中二病』に近いものなんじゃないかなと思われます。40年近く前からああいう感じを病気と認識していた松本隆はやっぱりすごいなぁと思います。

 次はストロベリー・スウィッチブレイド。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?