「ありがと!また明日」と言う蓮汰の少し高い声を背中に受けて深二は軽く手を振り、今来た道を反対方向に歩いて行く。辺りはもう真っ暗だった。降る雪は闇に紛れてよく見えない。数十メートルおきに立つ街灯が雪の輪郭を露にする様が深二には腹立たしかった。全て曖昧にしておかないとやってられない。

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