「運転免許も取れなくてさ」と、うつむき加減で話す蓮汰の顔にデッサンのような陰影が刻まれている。彫りの深い文句なしのイケメンだった。小一時間ほど歩いて「俺んちあそこ」と、蓮汰が指差した先には屋根も壁も雪で覆われた小さな家が見えた。「じゃここで」と引き返す深二の背中に街灯の明かり。

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