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【結果が全て。これが残留争い】 4/7 Jリーグ第8節 柏レイソル戦レビュー

試合結果

基本スタッツ

ハイライト

総評

 立ち上がりから試合の主導権を握ったのは鹿島でした。中盤で相手を食いつかせ、裏に走る上田を中心にチャンスを作っていきます。飲水タイム明けから柏はプレッシャーの強度を高め、攻撃も左から右へ狙いを変えゴールに迫るシーンを増やしました。
後半に入り、柏は負傷交代もあり3バックに変更。これによりサイドでボールを運ばれる場面が増えます。鹿島にとっては悪い流れでしたが、63分に上田が抜群の抜け出しを見せ先制に成功します。
しかし直後、自陣でパスをインターセプトされた所からあっさり同点に追いつかれてしまいました。
そこからは完全に柏のペース。クリスティアーノを起点とした中盤でのこぼれ球回収や、鹿島のビルドアップを引っ掛けあわや逆転というピンチを何度も迎えました。
流れを変えたい鹿島は一気に選手を4人交代。少し落ち着きを取り戻すと88分、永戸のグラウンダーでの折り返しに染野、白崎が反応。白崎が放ったミドルはコースは甘かったものの、ディフェンダーの肩をかすめゴール中央に吸い込まれていきました。
その後はなんとか耐えきり、鹿島が3試合ぶりの勝利を手にしました。
印象としては、後半の柏の猛攻を沖を中心に何とか耐え忍び、少ないチャンスで決めきったといった感じでした。
ゴール期待値の変動は以下のようになっています。

スタメン

鹿島は前節浦和戦から4人変更。出場停止明けの犬飼が戻り、ボランチにはユースから昇格の舩橋がリーグ戦初スタメンとなりました。
柏は前節横浜FC戦から前線の並びを変更。江坂をトップ下に移動し、前線中央には細谷。クリスティアーノは右サイドに張る形を採用してきました。

前半

距離感の良さで主導権を握った序盤

両者のここまでの試合を振り返ると、右サイドで前進する事が多い鹿島に対して、柏は左サイド古賀が攻撃の起点となることが多くなっていました。
そのため、この鹿島右サイドでの主導権争いが一つのキーになるのではと思っていたので、4分(ハイライト0:49のシーン)、6分と立て続に右サイドからゴールに迫れたことで鹿島はいい形で試合に入る事ができました。
6分の攻撃はオフサイドとなってしまいましたが、共通しているのは荒木と小泉の距離感が良かったことです。荒木が古賀を引き出しながら降りていき、小泉からのパスを引き出す事で、柏に2つのリスクマネジメントを迫る事ができます。

このように中盤で鹿島の選手が適切な距離感を維持し、パスで相手ブロックを動かしながら縦に行けたことで、飲水タイムまでは鹿島がペースを握りながら試合を進めることができました。

雲行きが怪しくなってきた飲水タイム明け

試合の序盤に受けに回ってしまった柏は、飲水タイム明けから鹿島最終ラインに対してのプレッシャーを強めます。中盤でのこぼれ球を思うように回収出来なくなった鹿島は徐々にペースを失って行きました。
ここで一旦、柏のボール保持の際の振る舞いを整理してみようと思います。
後方からの組み立てでは、ボランチはそこまで落ちることなく基本的にはディフェンス4人でパスを回し、SB経由で江坂へのパスを試みます。江坂は上手くマークをぼかしながら、SBがパスを出せるタイミングで鹿島のボランチ脇のスペースに顔を出し、横や斜め後ろの味方へのフリック。アタックングサードで前を向ける状態を作っていました。
また飲水タイム前までは、左サイドの古賀から三角形を活かしたパス交換での前進も狙っていたようですが、鹿島が奪った際にトランジションで後手を踏むとリスクが大きいと感じたのか、明けからは大南の右サイドを選択する回数が増えたように思いました。

このような江坂の動きには町田がマンツーマンで対応し、空中戦では確実に跳ね返すことが出来ていたと思います。ですが飲水タイム明けからは江坂が少しポジションを落としていったため、町田がついていけずワンタッチでクリスティアーノに展開されたりと徐々に柏のチャンスが増えて行きました。
ですが柏は意外と最終ラインからシンプルにロングボールを放る回数も多く(オルンガサッカーの名残り?)そういった場面では鹿島CBが空中戦での優位性を活かして跳ね返すことが出来ていました。

前半を終えた段階で、パス本数は鹿島が250(成功率75%)、柏が152(同57%)と、鹿島優位な数値となりました。ですが迎えた決定機の数は同じくらいで、特に柏が圧力を高めた飲水タイム明けからは、鹿島は自陣でのロストからピンチを招く場面が目立っていました。

後半

苦手な3バック。WBが空く必然

後半に入り、柏はメンバーを2人交代。また48分には負傷退場の染谷に代わり三丸が入ったため、並びは以下のようになりました。
鹿島もエヴェラウドを左サイドに置く4-2-3-1へ立ち位置を変えて後半に臨みました。

このマッチアップになってから、いよいよ試合の流れが怪しくなって行きます。守備で中央の密度を高め、アウトサイドはほぼ三丸とイッペイに任せるようになった柏は、鹿島にサイド侵攻を許すものの、中ではしっかり跳ね返す事が出来ていました。逆に鹿島は中央でのこぼれ球を拾えなくなり、守備の時間が増えて行きました。
そして何より柏はサイドのアイソレーションを活用し、イッペイや三丸がフリーで持ち上がりクロスまで上げれる程にサイドからも押し込んでいきます。
柏が後ろでボールを回す場合、プレッシャーをかけるのは上田、エヴェラウド、アラーノの3人となります。しかし柏の3枚に対して前から同数でプレスをかけてしまうと、後ろでも柏と同数になってしまいます。(沖にマークさせるのは現実的ではない)
この状態では守備側は下手に持ち場を離れられず、特に並びの嚙み合わせ上、柏WBはフリーになりやすいため、イッペイや三丸はフリーでボールを受ける事が出来てしまいます。
加えてマテウス サヴィオが横に幅広く動き回るため、WBが受けた際の貰い手として非常に機能していました。

ラインブレーカー上田

そこで鹿島はマテウス サヴィオにプレスの的を定めました。そして62分、三丸からリターンを受けた彼を荒木、レオ、小泉で囲い込みボールを奪取。そうなると前方はこちらに都合のいい数的同数。アラーノと上田、古賀と上島の2vs2のシチュエーションとなり、上田が膨らむランニングから縦にボールを引き出し見事なゴール。苦しい時間帯に先制点を奪うことに成功しました。

自信のなさが滲み出た失点

貴重な先制点を手にすることができた僅か2分後、自陣でのバックパスを江坂にインターセプトされ、あっさり同点に追いつかれてしまいました。
一旦試合を落ち着かせようとした矢先、エヴェラウドが安易な斜め後ろへのバックパスを選択してしまったのは非常に残念だし、周りが声をかけてやれなかったのも問題だったと思います。

今年の鹿島はホントに試合の進め方が下手。ACLを獲った時のチームなら、このような展開で点をとったらすぐに内田や昌子を中心に集まってもう一度集中のネジを締め直していたんじゃないかなー

完全に見切られたビルドアップ。混乱状態に

こうなると勢いづくのは柏。しかも柏は終始やる事がはっきりしていました。後ろは冷静に構えて跳ね返す。跳ね返した先、中央は密度の高さを活かしポゼッションを確保。鹿島のビルドアップに対しては仲間、江坂、クリスティアーノで対応。さらにプレスの的になってしまうマテウス サヴィオに変えて対人の強さや馬力のあるヒシャルジソンを投入しいよいよ逆転を狙ってきます。
対する鹿島はこの時間帯から対角線のロングフィードを多用し、とにかく敵陣のサイド深くにボールを持っていく事で、クロスからのチャンスを狙います。
しかしこうなると前と後ろとの距離はどんどん離れていきます。それを見逃さなかった柏は75分、犬飼のフィードを引っ掛け、それを拾いなおしたレオに前線の3人で猛プレス。キーパーと1vs1のシュートを沖がなんとか足にあて、永戸がライン上でクリアというこの日最悪のピンチを迎えました。(ハイライト5:09のシーン)
その後にも、ビルドアップでサイドで受けた小泉が中にパスするパターンを完璧に見切られ、じりじりと崖っぷちに追い込まれて行きます。

少ない時間で自らの価値を示した三竿

79分に一気に4枚替えを行った事で、久しぶりにザーゴの存在を思い出しました(こうなる前に手を打って~泣)
攻撃時のメリットより守備時のデメリットが目立ってきていた舩橋(前半は良かったから次に期待!)に変えて三竿を投入。他にも永木、白崎、染野と試合を落ち着かせる選手を送り込み、並びもおそらく以下のように変わりました。

ロングボールを放る狙いは変わりませんが、鹿島も中央の密度を高め、ボールを刈り取る事に長けた二人(三竿、永木)を投入する事で、敵陣でのトランジションでパスを引っ掛けて2次攻撃に繋ごうと試みます。
その期待に見事応えたのが三竿。83分、84分と続けて敵陣で相手の一本目のパスを刈り取り、やはり守備に関しては替えの利かない存在であることを示しました。

白崎のゴールはいつもエロい

敵陣での即時奪回が成功するようになり、高い位置でSBがクロスを狙うため、柏はWB含め守備時はほとんどの選手が中央に閉じ込められるようになりました。そうなればあとはクロスから点を奪えるか。
87分、永戸がグラウンダーで折り返したボールに染野と白崎が反応します。キムスンギュからはおそらくブラインドの位置で染野がスルーしたため、白崎のシュートはキムスンギュのタイミングを外れ、値千金の勝ち越し点を奪うことができました。
そして試合終了。まだシーズン序盤とは言え、残留争いの直接対決という何よりも結果が求められる試合に勝つことができました。


まとめ

試合を振り返ると、鹿島ペースで試合を進められたのは前半の飲水タイムまでだけじゃないかと思うほど、危ない場面が多い試合でした。
特に先制点を奪ってから直ぐに追いつかれるのは、開幕の清水戦でも経験しており、このチームはまだメンタルの弱さが課題といえます。(去年からメンバー変わってないのに、、、)
次節の対戦相手は、順位が一つ上の札幌となります。ここで連勝し、残留争いを早々に抜け出す事ができれば、まだ上位争いに返り咲くチャンスはあるかもしれません。それに可能性があることは去年の自分達で証明済みです。
まずは一つ一つの試合を大事に結果を求めて戦って欲しいと思います。

データ引用元


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