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アンティークの蘊蓄         -ピアスとイヤリング編-

こんばんは。
さて、今回はピアスとイヤリングについてお話しします。
ピアスホールがあいている人はピアス派、あけていない人はイヤリング派ですよね。

ちなみに私はピアスホールをあけて、ウン十年たった今でもなんとなく調子が良くないので、パールのピアス専用です。
それ以外は極たまにイヤリングをする程度です。
というのは、他のアイテムを多用するからなのですが、ジュエリーを着けるバランスについては後ろの方で書きますので、最後までお読みいただけると嬉しいです。

今回は、アンティークに限らずピアスとイヤリングについて気づいたことを主観全開で書いてみようと思います。


ピアスとイヤリングの歴史


早速ですが、ピアスとイヤリングどちらが世界的に歴史が古いでしょうか?
日本では、ある年代以降になると、
ピアスを開けている人=おしゃれな印象=新鮮、でしょうか。

ところが、世界に目を向けると、紀元前1300年頃のエジプトでは老若男女ピアスを着用していたそうですし、美術館で貴族の肖像画をみると、やっぱりピアスを着けています。
イヤリングは諸説ありますが表立っては20世紀以降からです。

なのでアンティークで古い細工なのに、イヤリングだと、後世で作り変えられたと解釈して良いと思います。

大人の女性のイヤリング&ピアス

素材や色について 

①ツヤ又は光がある
・それらが少しでもあれば、お肌がきれいに見えるように思います。
着ける際にはツヤと輝きを多めに。
アラフィフ以降は、完全マットはあまりお勧めしません。

②シンプルなフォルム
・小さくてアウトラインが複雑なものは、それ自体が映えにくい。例外として、ご自身が大好きなモチーフでそれが会話の糸口になるなどアイコン的なら、堂々と着用してくださいね。意味がない場合は「何かを着けている」で終わりがちです。

 ③ヘアスタイルに合わせる
 ・髪を下したときは髪を背景にして  
 ⇒ ダイヤモンド、パール、オパール、珊瑚などの明るいやわらかい色
 ・アップなど、耳を出した時
 ⇒ はっきりとした色

*髪色、肌の色や質感による違い
例えば、私たち東洋人にとって、サファイヤのイメージは『落ち着いている』、『ある程度大人向け?』だと思います。
ところが欧米人にとっては、サファイアは十分華やかなのです。
キャサリン妃がダイアナ元妃から受け継いだ、サファイア&ダイヤモンドのイヤリングが好例です。

ダイヤモンドとサファイヤのイヤリングを着けるダイアナ元妃(1986年)
とキャサリン妃(2019年)  Hint-potより引用

 逆に、珊瑚や翡翠などの艶やかな質感は、東洋人のキメの細かい肌の方が合うように思います。

④色
マダムがヴィヴィッドカラーのものをつけるのも素敵ですが、
額縁としてのイヤリングをお探しなら
あなたの全身のどこかにある色がお勧めです。
髪の色、血の色、肌の色、瞳の色
(下のキャサリン妃の画像もご参照ください。) 

⑤大人の大きめデザインなら自然素材風を
ジェット、琥珀、アゲイト(めのう)、パール、珊瑚、ピクェ(べっこう)ラピスラズリ、翡翠、M.O.P(真珠母貝)

これらは、色が個別に合う合わないはありますが、大きめでもお顔を引き立てくれる名脇役になってくれます。

本音( ´艸`)

私はずっとブローチやネックレスを好んで愛用していることもあり、冒頭でお話しした様に、ピアスはパールのみです。

私が独立を決意した際、この道のお師匠さんに「アンテークのピアスを着けなさいね」改めて言われました。
この業界の大先輩方は、それはそれは皆さま素敵なピアスをされています。
オーラが違います♡ 
 
私もいつの日か欲しいと思っておりますが、この様な仕事をしているからこそ、
今後の楽しみにとっておこうと思っています。
この期に及んで『年齢を重ねる楽しみ』です♪
アンティークに関して言えば、ピアス&イヤリングは他のアイテムに比べて市場に出回る数が少なくその分、割高感があります。
理由としては、
・二つが良い状態で現存している絶対数が少ない
・デザインとしての完成品が二つ分
だからです。

ここからは、私の主観ですが、
ジュエリーのアイテムの中でイヤリング&ピアス、そして以前取り上げたバングルについては、本物でなくてもコスチュームジュエリーでそれなりにいけると思います。
それなので、上記⑤も、『風』としています。
下の写真はハイ&ローのミックスの達人、キャサリン妃。
こんなに大きなイヤリングを着用しても、不思議とお顔に目がいきます。
あっぱれ。

英国アカデミー賞に出席したキャサリン妃(2023年)。ZARAのデコラティブなビッグイヤリング、
日本円で3,950円のこのピアスを取り入れたことが話題に。
リフォームしたドレスに、黒のオペラグローブのコントラストを邪魔しない
額縁イヤリング。


ジュエリー、アクセサリーの合わせ方について

海外の著名人の写真からも、オフショルダー、ストラップレスドレス着用時はほとんどの場合、長くて揺れるピアスを着用しているようです。
そして、その際ネックレスはつけず、艶やかなデコルテを引き立てて。。

バブルの頃は日本でもシャネルなどハイブランドのコスチュームジュエリーをジャラジャラ着け、メイク、服、バッグに至るまで全てが足し算どころか掛け算コーデでした。

対して
今は引き算の時代
どんなに気に入っていても、華やかな大きいイヤリングとお揃いのデザインネックレスを同時に着用するのは、フォーマルな席でない限りあまりお勧めしません。
耳と胸元。距離が近すぎるように思います。

私は華やかなピアスやイヤリングを着けたら、ブレスレット等でバランスをとる方が好きです。
ガチガチに固めるよりも、『抜け感』、『こなれ感』を出した方が素敵かと思います。

アンティークにも、『パリュール』と呼ばれる三点以上のセット、
『デミパリュール』と呼ばれる二点セットがあります。 

当時のドレスはレースをふんだんに使用し、クリノリン(スカートを膨らませるために裏地に使われた、硬いペチコート)で衣服の面が今のそれと比較にならないくらい大きく華やかでした。
その場合ジュエリーをお揃いにすることで全体の統一感がうまれるのはご想像いただけると思います。

とはいえお仕事で、レセプションパーティーに顔を出さなければならないような時、旅先でのお食事の席でバッグに忍ばせたお揃いのもう一方をオンするだけで、エレガントレディの完成です。

「これ好き!」と思える単品を見つけたら、お揃いのネックレスなりブローチがあれば同時に手に入れておくのは、即席フォーマル用としてお勧めです。


こう着けたらもっと快適なのに

百貨店内のアンティークジュエリーショップで勤務時代、多くのお客様に接する機会に恵まれました。
そこで気づいたこと

つりばり型(フック型)ピアスは一度、ブランコの様に高く上げましょう


いきなり、悪い例から失礼します。
時々、つりばり型(フック型)ピアスが下の写真の様に『お辞儀している』のを見かけます。

なんとなくバランスが悪い。
それどころか、いくらキャッチを着けていたとしても、落としてしまいそう。


下の写真の様に、ブランコを漕いで高く上がったように、ピアスを床と平行になるように押し上げてみてください。

この時いつもブランコに乗っていたあの景色を思い出します
恍惚

はい、全然ちがいますね。
きれいに着けてもらって、ピアスも喜んでいます(^^♪

Gold オパール&パールピアス
19世紀後期 英国


イヤリングが落ち着く場所がある


お次はイヤリング。

耳たぶの形って、本当にみんな違うんです。大きさ、形そして厚さ。そして、個人でも左右差、高低差もあります。更に年齢を重ねると、大きく柔らかくなります。

なのでこれからお話することは個人差や、マスクの着用等状況により違いがでることをどうかご承知おきください。

さて、本題。
皆さんはイヤリングをつける、耳たぶの位置を決めていますか?
Yes!と答えた方は、そこが快適と思える位置なのでしょうから、そのままで。

なんとなく、鏡を見ずにササっと着けている方が大多数ではないでしょうか?
下の写真の位置。それはそれで可愛くて良いです。
でもこうやって、じーっと写真を眺めていると、「パパっと着けたら、どこでも有りうるわ」と思いませんか?

Silver&マルカジット・デイジー・イヤリング
20世紀初期 英国

そこで、チェックポイント!・両耳とも同じ位置でつけているか?・U字の金具の中に、耳たぶがしっかり入っているか?(後ろからみると、U字が内向き斜めに着けている人が多いです。落としやすいです)・痛くないか?・安定しているか?


結論から言うと、下の写真の位置、
顔と耳の境目にイヤリングのU字金具が、真下からかかるのが安定し、つけ心地が良いように思います。
更にこの位置は、耳の裏側が窪んでいるわりに、耳たぶはふっくらとして
落ちにくいと思います。

特に大き目のイヤリングを着用する時に、この位置はお勧めです。

またお顔の近くにくるので、お顔立ちを華やかに、
そして両耳のバランスも良いです。



いかがでしたでしょうか?
皆様のジュエリーライフに、すこしでもお役に立てればうれしいです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回もお楽しみに


Antiques MIKI
黒田 美紀

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