シカクいアタマをマルくする、模範的な解答を作成するためのコツ

2016年7月の日能研のシカクいアタマをマルくする。で取り上げられた某有名中学入試の問題を取り上げて、模範的な解答を作成するコツを学ぶ。

問題

選挙の時、各政党は、様々な政治課題についてどのように取り組むかという約束(公約)をかかげ、選挙活動を行います。国民は自らの関心のある政治課題についての各政党の公約などを判断材料にして投票し、選挙後、各政党は、公約を実行しようとします。しかし、政策によっては、公約としてかかげていたにも関わらず、国民の賛同をなかなか得られないこともあります。

なぜそのようなことが起きるのでしょうか。その理由について、【資料1】からわかることをふまえて説明しなさい

【資料1】

選挙の時に国民が判断材料にした問題(複数回答)(%)
1 景気対策 55.9
2 年金 48.6
3 医療(いりょう)・介護(かいご) 48.4
4 消費税 38.0
5 子育て・教育 29.0
6 雇用(こよう)対策 24.1
7 原発・エネルギー 23.6
8 財政再建 18.8
9 外交・防衛 17.4
10 震災からの復興 16.6
(明るい選挙推進協会ホームページ上の2014年総選挙時のデータより作成。上位10位まで。)


模範解答​

さすがは日能研、紛れもなく模範的な解答です。勉強になりますね。


引用元(アンケート)を読む

「引用元に当たる」はやっちゃダメ。まずは問題文の引用元である「明るい選挙推進協会ホームページ上の2014年総選挙時のデータ」を読んでみましょう。

標本数 3000 人のうち回答数が 2029 人(67.6%)、このうち前回選挙に投票した 1,388人(68.4%)に聞いたところ、候補者の属する党の政策や活動を考えて投票した人は、回答者の54.8%に過ぎなかったようです。

そもそも、政党の公約なんか気にせずに投票している人が多いから。

という反抗的な解答は、どこが間違っているのでしょうか。


引用元(アンケート)をちゃんと読む

「国民は自らの関心のある政治課題についての各政党の公約などを判断材料にして投票」するという問題作成者の考えに敬意を表して、ちゃんと読みましょう。

Q10 あなたは小選挙区選挙で候補者を選ぶとき、どういう点を考えて投票する人を決めたのですか。あてはまるものをいくつでも選んで番号に○をつけてください。
1	地元の利益を考えて	18.8%
2	自分と同じような職業の利益を考えて	5.7%
3	自分と同じような世代の利益を考えて	13.2%
4	候補者の政策や主張を考えて	46.2%
5	候補者の人柄を考えて	23.3%
6	候補者の属する党の政策や活動を考えて	54.8%
7	候補者の属する党の党首を考えて	8.9%
8	政党間の勢力バランスを考えて	9.5%
9	テレビや新聞、雑誌などで親しみを感じて	4.3%
10	家族や知人のすすめだったから	18.8%
11	その他	18.8%
12	わからない	2.0%
	無回答	0.8%

はい。問題作成者は何も間違っていない。こんなにたくさんの選択肢を用意したら、全部はチェックしきれない人も多いんじゃないでしょうか。


引用元(アンケート)をもっとちゃんと読む

入試問題の題材となった部分も確認しましょう。

Q12 昨年12月の衆院選では、どのような政策課題を考慮しましたか。あてはまるものをいくつでも選んで番号に○をつけてください。
1	医療・介護	48.4%
2	子育て・教育	29.0%
3	景気対策	55.9%
4	雇用対策	24.1%
5	財政再建	18.8%
6	年金	48.6%
7	消費税	38.0%
8	震災からの復興	16.6%
9	原発・エネルギー	23.6%
10	TPPへの参加	7.0%
11	規制緩和	4.0%
12	治安対策	7.8%
13	防災対策	11.1%
14	社会資本整備	3.0%
15	地域振興	12.3%
16	憲法改正	13.7%
17	外交・防衛	17.4%
18	選挙制度	5.1%
19	その他	0.7%
20	わからない	5.3%
	無回答	2.0%

はい。「こんなにたくさんの選択肢を用意したら、全部はチェックしきれない人も多いんじゃないでしょうか。」なんて書いたらバツです。気をつけましょう。

「11 位の憲法問題についても多少は考えているはず」とか書いたら最悪です。わざわざ 10 位までを抜き出した、問題作成者の労力を尊重しましょう。


引用元(過去問)を読む

「十分なスペースがあるにも関わらず、あえて上位10位までで切り取った」という問題作成者の努力を垣間見ることができます。頑張りましたね。

出題当時の社会情勢を踏まえて解答を作成すると、

ほとんどの有権者は、憲法問題について全く考えずに投票している。
今年(2016年)の参院選の結果がどうであれ、憲法は改正しちゃダメ。


まとめ

原典に当たること。社会情勢を踏まえること。この 2 つは絶対にやっちゃダメ。

参考資料

https://www.nier.go.jp/jissen/chosa/h23_handbook03_04.pdf



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