大学入学共通テストの実施延期とセンター試験の継続を求める声明

2019年12月23日に文部科学大臣宛に提出する声明の文面です。

 11月1日の英語民間試験の実施「見送り」に続いて、12月17日には国語・数学の記述式問題実施「見送り」が決まりました。このことによって、2020年度実施予定の大学入学共通テストは、その改革の二本柱を失ったことになります。
 国語・数学の記述式問題の実施見送りは、問題形式の大きな変更を意味することになりますが、2020年度の本試までに今後、記述式問題を除いた新たな形式の試行調査を本番前に実施することは、困難が予想されます。同形式での試行調査抜きに大学入学共通テストを実施することは、共通テストとしての適格性が十分に検証されることなく試験が行われることを意味します。また、大学入学共通テストが、2022年度以降に高校で実施される学習指導要領に対応した内容となっている点にも問題があります。
 この問題に対処するため、大学入学共通テストの2020年度からの実施を見送り、当面はセンター試験を継続して、入試改革について入試制度や各科目の専門家をまじえて根本から議論をやり直すことを提案し、求めます。
 英語民間試験の導入と国語・数学の記述式問題についても、入学試験において最も重視すべき試験の公平性や公正性について、根本的な問題点を抱えており、どちらも「延期」ではなく「中止」を強く求めます。

 私たちの要求は下記の通りです。
1 大学入学共通テストの2020年度からの実施は延期し、大学入試改革の議論を根本からやり直すこと。その間、混乱を避けるため、2020年度以降もセンター試験を継続すること。
2 英語民間試験の導入を中止すること。
3 国語・数学の記述式問題の出題を中止すること。

呼びかけ人
大内裕和(「入試改革を考える会」代表、中京大学教授・教育社会学)
中村高康(「入試改革を考える会」、東京大学大学院教授・教育社会学)
吉田弘幸(「入試改革を考える会」、予備校講師・物理)
賛同人
苅谷剛彦(オクスフォード大学教授・社会学)
荒井克弘(大学入試センター名誉教授、前・日本高等教育学会会長)
阿部公彦(東京大学大学院教授・英文学)
齋藤幸子(北海道教育大学准教授・幾何学)
嘉田勝(大阪府立大学准教授・数学)
しぎょういつみ(予備校講師・英語)

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