公開質問状

「入試改革を考える会」では令和3年度大学入試共通テストについて以下の内容の公開質問状を文部科学大臣および大学入試センター理事長に提出します。

 入試改革を考える会」は2020年秋以降今日にいたるまで、大学入試のあり方について、さまざまな声明や提言を行ってきました。最近では8月17日、「大学入学共通テスト第2日程と特例追試験の中止を求める声明」を発表し、9月10日に声明と賛同署名(425人)を文部科学大臣に提出させていただいたところです。
 このたびは「大学入学共通テスト第2日程と特例追試験の中止を求める声明」の趣旨、そして賛同署名をいただいた方々の意見を受けて、重要な論点について質問をさせていただきたく思います。お忙しいなかとは存じますが、大学入学共通テストの出願もせまっておりますので、9月23日(水)の15:00までに下記の質問についてご回答いただければありがたいです。

 1 大学入学共通テストの出願において、受験生の記入する願書には第1日程か第2日程かを記入する欄がなく、高校教員が取りまとめの際に記入する「総括票」に○をして、日程ごとに取りまとめるという方法になっています。これでは受験生の入試日程の選択においてミスが起こる危険性があり、学校現場や生徒からも不安の声が上がっています。この点についてどうお考えですか。

 2 第2日程の出題科目である『簿記・会計』『情報関係基礎』『ドイツ語』『フランス語』『中国語』『韓国語』は、第2日程の追試験である「特例追試験」では出題科目には入っていません。これは「特例追試験」が第2日程の追試験として制度的に不備があることを示していると思われますが、どうお考えですか。

3 新型コロナウイルス感染症にともなう「学業の遅れ」の救済として第2日程が設定されました。休校期間は地域による違いはありますが、3ヶ月に及ぶ場合もあります。第1日程よりも2週間後の日程に設定された第2日程の試験は、新型コロナウイルス感染症にともなう「学業の遅れ」の救済として適切だとお考えですか?また、適切だとお考えの場合にはその理由を教えてください。
 そして、「令和3年度大学入学者選抜実施要項について(通知)」(令和2年6月19日)で、「各大学の個別学力検査の出題範囲に関し、高等学校第3学年でも履修することの多い科目目(数学Ⅲ,物理,化学,生物,地学,世界史B,日本史B,地理B,倫理,政治・経済など)の個別学力検査において,入学志願者が解答する問題を選択できる出題方法とするなどの配慮を行うことや,教科書において「発展的な学習内容」として記載されている内容から出題しない,あるいは出題する場合においても,設問中に補足事項等を記載するなど特定の入学志願者が不利にならない設問とすることなどの工夫を行うものとする」とあるように、各大学の個別学力検査の出題範囲に関し、配慮や工夫を求めているのに対して、大学入学共通テストで出題範囲に関し、配慮や工夫がなされていないことには整合性がないと考えられます。なぜ大学入学共通テストでは、出題範囲に関して配慮や工夫を行わなかったのですか?

4 同じ難易度のテストを作成することは容易ではありません。難易度をそろえることの困難は、これまでの共通一次試験やセンター試験の経験からも明らかです。これまで実施実績のない大学入学共通テストでは、難易度のコントロールはより一層難しいことが予測されます。難易度が異なる可能性が高い今回の第1日程と第2日程の試験において、試験の公平性・公正性は確保できるとお考えですか?また、確保できるとお考えであれば、その理由も教えてください。

 5 特例追試験として、過去に作成されたセンター試験の緊急対応用試験問題を使用するのはなぜですか?また、第1日程、第2日程の大学入学共通テストと試験方法や試験時間が異なる大学入試センター形式のテストを同一入試に使用することで、試験の公平性・公正性が確保できるとお考えですか?もしも、確保できるとお考えであれば、その理由を教えてください。

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