麻雀民が囲碁をはじめてから苦労していること

アラフォーのおっさんが高校生の時から始めた麻雀に飽きて、麻雀界から囲碁界に移籍後、苦労していることを書きます。
おそらくですが囲碁だけではなく、いわゆる完全情報ゲーム初心者あるあるの苦労だと思います。

1:何をやれば上達するのかが分からない、上達への指針がない(ように見える)

初級者へお薦めされる囲碁本として、ひと目の詰碁をはじめとした趙治勲先生の「ひと目」シリーズがよく挙げられます。もちろん名著であり、何回も繰り返すことで石の急所の感覚が身につく良書ではあると思いますが、繰り返して、ひと目の詰碁、ひと目の手筋の問題がある程度正解できるようになったとして、「隅や辺にある程度打ち終わった後、終局までどう打つか」という指針がさっぱり分からず、ひと目シリーズの次のステップに何をすればよいのか、その指針の決め手が(私の調べる限りは)ありません。
したがって、私のような初級者は「隅や辺の定石の後は何したらよいの?そもそもどう打ったら上達と言えるの?」といった疑問を持ったまま、ネット碁などで対局を行い、勝ったり負けたりします。
私はPCに苦手意識はないのでLeelaやLizzieをインストールし、ネット碁対局の検討を行ったりしています(検討しても分からないことだらけだし、検討しないことも多い)が、PCの苦手な方はよく分からないまま、また本を読んだり対局をするのでしょうか。
ちなみに麻雀だと、上達のための良書が存在しており、ぶっちゃけ福地本と言われている本を数冊読んで実践できれば、十分に雀荘で戦えると思います。
その後は「現代麻雀技術論」で細かいところを修正していけばOKです。

2:地の広さを競うゲームだが、「確定地」という概念を理解するのが不可能

囲碁が地の広さを競い合うゲームだということは理解できています。しかし、「確定地」という概念が抽象的過ぎると感じます。
完全に地が確定する場合は、「二眼が作れること」ですが、では辺や隅や中央で二眼を作れる全パターンなど私のような初級者には知る由もありません。
初級者あるあるでしょうが、上級者から見ると「自分の確定地」であるところに打ち込まれて、「相手の確定地」にされてしまうということを度々経験します。
もちろんそういうミスを修正しながら上達していく過程が楽しいとは思いますが、とにかく「確定地」をはじめとしたゲームの概念が抽象的過ぎて、
「抽象的なゲーム性」と「具体的にどう打つか」
という具体と抽象の間に越えられない壁があるのを感じます。
これは1項に書いた「何をすれば上達するのかがわからない」、というところにも通じていると思います。

3:思考が麻雀に求められることと違いすぎる

麻雀上達に求められる思考は「現時点の最適打として何をするか」ということです。かなりレベルの高い本でも「この現時点の手牌から何を考えて次の一打を決めるか」が書かれていることがほとんどです。
囲碁や将棋では当たり前の「5手先の変化を考えてどうするか」などといった問題はありません。なぜならば、麻雀で「5巡先の変化を、ある程度の精度をもって予測する」などということは不可能だからです。
もし、予測できるならそいつは超能力者です。
麻雀ではせいぜい
「次の巡目でこの牌が来たら、この変化が生まれるからこの余剰牌を残しておこう」、
「この巡目で親リーチが来た場合、点数状況的に困るからこういう選択をする」
という、1巡先のことを考えるぐらいです。
もちろん「親のリーチに他家が押している。1~2巡後に2件リーチになる可能性があるので、3巡後を考えて安パイを切る順番はこうしよう」という思考もありますが、このような場合でも考えるのはせいぜい3巡先ぐらいまでです。
つまり、麻雀で身につく思考法は「目の前の1打で最適と思われる手を打つ。3手先や5手先などそもそも読めない。」という思考法です。
麻雀のような不完全情報ゲームではある程度合理的な思考法だと思いますが、囲碁ではこの考えは致命的であり、私の囲碁上達の妨げになっているような気がします。

4:勝てない

当たり前ですが、囲碁を始めたばかりの頃は勝てません。
麻雀だと、ルール覚えて少し打てるぐらいの初心者でも2割ぐらいは1着を取れます。
また、4人麻雀の場合、1,2着を「勝ち」、3,4着を「負け」と分類すると、
少し打てるレベルの初級者とアマ中~高段者が戦ったとして、4割程度は初級者が勝てます。
囲碁の場合、もちろん初級者は100%勝てません。(置石無しの場合)
そして囲碁の場合、初級者は手の善し悪しが分からないので、なぜ負けたかもよく分かりません。(分からないから初級者なのです)
勝敗の理由がよく分からず、AI検討も初級者にはレベルが高すぎるので上達が難しく感じます。

5:リアルで楽しめる場所・時間が少ない

碁会所は、勝てない&ニギリや置石の作法が分からないで行くためのハードルが高いです。
また初級者が碁会所に行ったとして歓迎されるかどうかは分かりません。
席亭の腕にかかっているでしょう。
そしてビビることに、日本棋院や関西棋院が運営している囲碁サロンでは「日祝休業」などと書かれています。私のようなカレンダー通り勤務のサラリーマンは日祝こそがネット碁とは別でリアルで打ちたいなと思う曜日です。そして囲碁教室も「日祝休業」です。
そして、平日の囲碁サロンの営業も10~18時などと書かれています。
とどめに初級者教室は「木曜13時~」などとアナウンスされています。
囲碁界はサラリーマンを歓迎していないのではないか、という疎外感を感じます。

対して麻雀は主要駅近くには数件の雀荘があり、日祝はもちろん営業していますし、違法ですが深夜営業もされており、かつ初心者はカモとして大歓迎されます。
健康マージャンや麻雀入門教室も、探せば囲碁界よりは柔軟な営業時間で対応してくれていることでしょう。

取り留めなく書きましたが、以上です。

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