2020年から月ノ美兎を追える”安心感”ー「それゆけ!学級委員長」に寄せて

先日、こちらのnote(たたむさん)を拝見いたしました。

私が発売日当日に「それゆけ!学級委員長」を聞き、そしてPVを見てぼんやりと感じていたような事を、非常に的確に言語化されていて凄い…となったのですが。

今年に入って初めて「にじさんじ」の存在を知り、尚且つ月ノ美兎の存在だけはずっと知っていた私にとって、「それゆけ!学級委員長」に抱く印象はずっとにじさんじを追いかけていた方とはまた別のものもあるかも、とも感じまして。
その経緯も踏まえながら、備忘録的にこの曲への印象を残そうと思います。

1.委員長とにじさんじ

私が「にじさんじ」と出逢ったのは、2020年1月の御伽原さんの3D配信でした。

といってもリアルタイムで見ていたわけではなく、Twitterに出回ってきたスパチャに溺れコオロギを食わされる切り抜きで初めて氏を知ったのですが、漫画「かぐや様」に取り上げられたタイミングでどんな配信をしているのか気になり、そのまま登録をした次第です。
そこで食用こおろぎを食わせていた人は誰なんだ、という流れで童田さんを知り初めてここで「企業所属のVtuber箱」という概念、そして「にじさんじ」を知ったんですね。

それまでの私にとってのVtuber像は所謂「四天王」の方達でした。
2018年頃に現れて、めちゃくちゃクオリティの高い3Dモデルを使って変なことをやっている「個人達」(個人勢という意味ではなく)。
Youtubeをそもそもあまり見なかったこともあり、偶に友人に勧められた動画を見る程度の追い方でした。「バチャ見て」も1話だけ見ておぉ…となった記憶がありますが、あれも有名なVtuberが集まってるのかな、程度で「箱」という概念を知らないままだったんですね。

そんな風ににじさんじを知らない中で「月ノ美兎」だけを知っていた。

といっても覚えてるのは「サブカル」「ムカデ人間を見ている」という断片的な情報とその特徴的なだけだったのですが、とにかく「やべー奴がVtuber界隈に現れた」と盛り上がっていた友人の話をきいて、存在は知っていたんです。

と、ここまで書いて。私の主観ありきで主語を大きくするんですが、
にじさんじは知らないけど「月ノ美兎」は知ってるって人、めちゃくちゃ多いんじゃないかなと(何なら委員長の方が知名度高いまでありそう…?)。

そこそこネットに触れてて主な情報源はTwitter、かつニコ動やYoutubeはあまり使わない、かつなんとなくVtuberを知っている層自体は相当いると思うんです。
そういう層に存在を認知されているVtuberの数はかなり限定されると思うのですが、恐らくそこに届くほどのバズを委員長は引き起こしていたんじゃないかと後から見ても思いますし、そこに残っているイメージって「起立、気をつけ」と「サブカルクソムカデ」なんじゃないかなと。

少なくとも私はそんな第一印象のまま、委員長と再対面しました。

※Twitterやツイステ動画がバズりまくってる御伽原さんも、「にじさんじは知らないけどこの人は知ってる」という委員長に近い状態にあるんじゃないかと思ってます。ただ、特定のライバーにそれが集中するのではなく、甲子園や社長の3D配信、積分配信やフリージア耐久といったように、特にこの夏以降は界隈「外」へのバズりに対する導線がかなり広いところにあるようにも感じてて、そこがワクワクするなと。今年から見始めた自分がいうのもなんですが。

2.アンチグラビティ・ガール

委員長の配信を追いかけ始めたのはシャニマス配信がきっかけでしたが、一度放送を見始めると本当に面白くて。
ほぼ毎回の放送をリアルタイムで追うようになった中で、なんとなく見てみた「Shout in the Rainbow!」追加難波公演である楽曲に出会います。

アンチグラビティ・ガール」。

ライブで初めて聞いた時にも「浮遊感があっていい曲だな」とはぼんやり感じていたのですが、配信を通して委員長に嵌まっていく中で、この曲に対しても強く惹かれるようになりました。

「月」や「兎」にまつわる言葉、それどころか配信にまつわる言葉を一切出さないでおきながら、委員長のパーソナリティに触れていけばいくほど「月ノ美兎」のために書かれたとしか思えなくなってくるその歌詞。
委員長自身はこの曲に歌われている自身の像について「わたくしが目標としたいわたくし」と形容していますが、
「その人を表したイメージソングを作る」という流れでこの歌詞が生まれてしまう月ノ美兎の存在がやばくないかと
2年前初めて委員長を見た時に「3DアバターでないのにVtuberなんだ」と感じた私は、この曲を通して「2次元存在としてのキャラクター性が生み出す物語の面白さ」というVtuberの魅力の一つに気づいたんです。

イノタク氏の曲作りがめちゃくちゃにカッコいいのもあってすっかり虜になった私は、FullバージョンのPVのプレミア公開時泣きながら視聴していました。

3.「今から見てくれようとしてくれて、ありがとう!!」

と、そんな風に委員長の配信を見ていたのですが。
彼女を追いかける中で、一つの後悔が浮かびました。

リアルタイムで全てを追いかけたかった。

もう残っていないMirrativの配信は勿論ですが、いくらアーカイブが見返せたとしても「ライバー」の魅力はやはり生配信がMAXだなと感じてしまって、どうしても後悔が出てくるようになってしまったんですよね。
関係性コンテンツにしても、「Moon!!」からの「VtL」の文脈にしても、やはりリアルタイムでそこを楽しみたかった。

恐らく少なくない新規にじさんじファンの方が同じ感覚にあるかと思うのですが、そんな中で後にも先にもこんな地獄の登録者耐久はそうないだろう60万人耐久配信の後、委員長はこんなことを呟いていました。

「こんなに長い間活動していたわたくしを、
今から見てくれようとしてくれて、ありがとう!!

この言葉にめちゃくちゃ救われたんです。

委員長がどういう意図でこの発言をしたのかは分かりませんが、追っかけ方は個人の自由であれ「ライバーとしての月ノ美兎を2020年から追いかけること」の意味を委員長自身が理解していて、60万人記念という大きな節目で新規リスナーに対して「見初めてくれたことが嬉しい」と声をかけてくれたこと。


こういう委員長のバランス感覚みたいなのを本当に尊敬していて。
にじさんじの1期生、先駆者としての立場が影響を与えたのか、元々持ってるからこそ先駆者になったのかのどちらかは分からないのですが(恐らく両方なんでしょう)、とにかくこのツイートで今からでも委員長を追いかけよう、というモチベーションが凄く沸いたんですよね。

4.メジャーデビュー曲としての「それゆけ!学級委員長」

という中で、先日公開されたメジャーデビュー1stシングル「それゆけ!学級委員長」を聞いたわけなのですが。

正直なことを言ってしまうと、初見はあまりピンと来なかったんです。
それこそ最初のNoteでも話しておられたように、「アンチグラビティ・ガール」が念頭にあったのもそうですが、「この歌詞は月ノ美兎そのものなんだろうか?」という感覚がどうしても抜けなくて。

が、7日に公開されたアニメPVを見て、自分なりに合点が行きました。

この曲、自分が月ノ美兎に対して抱いていた第一印象そのものだ!と。

「清楚な委員長」という当初の設定、属性。象徴的な「起立、気をつけ!」
そこからの乖離現象。「むかで」や「わたくしで隠しましょう」といった初期配信でのバズったエピソード。

この曲とPVを合わせてみて初めて「一昔前のアニメOP」を意識した楽曲であることに気付いたのですが、そういったある種のノスタルジックさを感じる演出と上記の要素が組み合わさって何が生まれるか、と考えた時に
2018年にバズった月ノ美兎そのままのイメージ」が二次的な世界観と結びついて「キャラクターとしての月ノ美兎」が前面に出てくるんじゃないかと。

委員長ではなくとも特定のVtuberの配信を追いかけているリスナーは、基本的に彼らのことをバーチャル世界で生きていて双方向的なやりとりが出来る「人間」だと思って見ていると思います。
が、そうではない人たちにとっての月ノ美兎って、エピソードを中心にした「キャラクター」としての印象が強いと思うんですよ。

そういった非リスナー達にも曲を聞かれるであろうメジャーデビューをする上で、その1stシングルが「それゆけ!学級委員長」であることの役割って、
あの時知った月ノ美兎がそのまま活躍してるんだな」っていう印象を付けるにはまさにぴったりなんじゃないかなと。
それって凄く馴染み深さがあるというか、安心感につながると思うんですよね。

そして、それが成立する「月ノ美兎」の一貫性も改めて凄いと感じます。
委員長をRP破壊の先駆者と見ているリスナーも結構いると思うのですが、「清楚高校生RPが崩れかけているけど守ろうとしている人」という月ノ美兎像って、全くブレてないと思うんです。

方向性がある点では似ている「Moon!!」と違って、リスナーや他のライバーとの関係性や月ノ美兎自身の目指す方向性も登場させずにただ「委員長」のキャラクターを描ききったこの曲は、1stシングルとしてぴったりだと思っています。



実際ササキトモコ氏と委員長がどのような目的でこの楽曲を作ったのかは、
インタビュー等を見ても分かるわけではないのですが。
きっとこの曲を聴いて委員長の配信を追い始めるリスナーがいて、そんな彼らに対しても委員長は「誠実」に向き合う配信者でいてくれるだろう、という信頼を持ってるよという話でした。

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