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勝ち癖がつくとモテるのか?

「勝ち癖・負け癖」といった言葉を、日常生活の中でも使いますよね。ヒト以外の動物にも、「勝ち癖・負け癖」があることが知られています。野外では、メスをめぐってオス同士が戦うことがあります。こうした争いに、「勝ち癖・負け癖」があるのです。つまり、前の戦いで勝った個体は、次の戦いでも勝ちやすく、前の戦いで負けた個体は、次の戦いでも負けやすいのです。しかし、こうした戦いの目的が、メスをめぐるものだということに立ち戻ると、勝ち癖・負け癖がオスの魅力をアップさせたり、実際に交尾の成功に結びつくかはよくわかっていませんでした。今日は、魚を使った実験で、この問題に取り組んだ研究を紹介します(※)。

戦うカダヤシ

実験につかったのは、カダヤシという魚の一種です。すべての個体は、オーストラリアのキャンベラで捕獲されました。

第1ステージでは、被験個体は、同性の個体と戦います。研究者たちは、人為的に勝敗をコントロールするために、サイズが異なる二個体を戦わせました。人間の格闘技が体重別になっているように、体格は勝敗に直結します。つまり、大きい個体は勝ち、小さい個体は負けることになります。

第2ステージでは、メスがいる水槽に、勝者と敗者がいれられます。このときには、同程度のサイズの個体が選ばれますが、それぞれは以前の別な戦いの勝者と敗者になっています。研究者たちは、勝者と敗者のそれぞれについて、交尾を試みた回数、交尾が成功した回数、メスの近くにいる時間をはかりました。

結果について紹介しましょう。勝者は、敗者よりも長い時間メスのそばにいる傾向がありました。著者らは、勝者のほうがよりメスを追いかけるためにこのような結果がでた可能性を指摘しています。しかし、交尾を試みた回数も、交尾に成功した回数も、敗者と大きな違いはありませんでした。このことの説明として、著者らは、メスは、追いかけてくる(セクハラしてくる)勝者よりも、しない敗者を好んだ可能性をあげています。

おわりに

オス同士の勝ち負けは、交尾行動にも影響してくるようです。しかし、オスの行動の差が実際の繁殖成功に影響するかは、メスの好みの効果も考慮に入れる必要がある、としています。

(執筆者:tiancun)

※ Harrison LM, Jennions MD, Head ML (2018) Does the winner-loser effect determine male mating success? Biology Letters 14, 20180195.


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