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映画「青葉家のテーブル」。

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現在テレビ東京系で放送中のドラマ「お耳に合いましたら。」がメチャクチャ面白くて、制作陣を調べていたら監督&脚本に参加している松本壮史さんという方に行きついて(脚本のメインはあのマンボウやしろ氏!)、どうやら松本さんはこの夏公開の映画「サマーフィルムにのって」の監督も務めていて、僕が大好きなそれこそ元テレ東の佐久間宣行さんやダイノジ大谷さんらが絶賛していので公開前にムビチケを購入するに至っていて、しかもどこかでお名前を聞いたことがあるなーと思っていたらどうやら普通に音源を聴いていたラップグループ『Enjoy Music Club』のメンバーの方らしく、さらに「サマーフィルムにのって」の前にもう一本映画を撮っていてそれが「青葉家のテーブル」という映画でそれを知った頃にはもう劇場公開が終了した頃だったのだけど運良く我らが別府ブルーバード劇場で公開されるというので観に行ってきました。

ーと、冒頭から劇中の登場人物、セオくんの“Chocolate Sleepover愛”くらい息継ぎなしで語ってしまいましたが、この情報化社会(死語)において、気になるキーワードや人物があればたちまち関連ワードが飛び込んできて、芋づる式に色々な人やコトの情報が得られる現代なのです。

しかし、概ね公開が終わった時期にも関わらず行きつけの劇場で公開が始まるというのはただただ幸運でした。

鮮度も大切かもしれないけど、世の中にはこういう巡り合わせもあるので少し遅れて提供してくれたりオススメしてくれたりする場所や媒体ってやっぱり有難いなぁと思うのでした。

肝心の映画「青葉家のテーブル」ですが、元々【北欧、暮らしの道具店】というECサイトの企画としてYouTubeで配信された全4話の短編ドラマの映画化。

ーというのを観に行く前日に知って慌てて2話だけYouTube版を観ました。

その甲斐あって、劇場版が始まると(たったの2話観ただけだけど)「おお、リクじゃん」みたいな気分ですぐにその世界観に入り込むことができました。

ここでこの物語のあらすじを簡単にご紹介。

“⻘葉家はちょっと複雑だ。シングルマザーの⻘葉春⼦(⻄⽥尚美)、その息⼦のリク(寄川歌太)、春⼦の歳の離れた友達めいこ(久保陽⾹)とその彼⽒ソラオ(忍成修吾)が同居している。春⼦は13歳のリクの⼦育てに苦戦しつつも、楽しんでいる。友達が1人もいないリクは、同級生と話すよりも今は音楽作りが楽しくてしょうがない。自由なめいこはバリバリ働き、たくさん食べ、よく笑う。売れない小説家のソラオは今日もマイペース。そんな⻘葉家の家訓は「何をしてもいいから、夕食は家族そろって」。母と子、あるカップルが今⽇もテーブルを囲んで⾊んな話をする。”

これがYouTube版のあらすじで、ここに劇場版として、

“夏のある日、春子の旧友の娘・優子(栗林藍希)が美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家へ居候しにやって来た。そんな優子の母・知世(市川実和子)は、ちょっとした"有名人"。知世とは20年来の友人であるはずの春子だが、どうしようもなく気まずい過去があり…。”

というお話が描かれます。

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このポスターのデザインやタイトルロゴなんかを見ると「かもめ食堂」や「大豆田とわ子と三人の元夫」のような大人のユーモアが効いた“ゆるオシャレ系映画”かなと思いますが、その物語は青葉家に暮らすそれぞれを“わりとまんべんなく描いたお話”で、主人公とされている西田尚美さん演じる春子のシーン以上にその友達の娘、優子のシーンの方が多かったり、さらにその淡い恋模様なんかを描いていたりします。

レビューを覗いてみるとそこに好き嫌いか生まれているようでしたが、僕は全力で肯定したい。

「親」のことも「子供」のこともその日常にある出来事をとても丁寧に切り取っている。自分が高校生の娘を持つ立場なので余計になのかもしれませんが、登場人物全員に感情移入したくなるんです。なんていうか、僕が日頃仕事をしていて色んなことがあるけど、その一方で娘には娘の生活や青春がある。主人公!悪者!バーン!!なんてこの日常にはそうそうないもの。

そう、この映画には分かりやすい悪役なんて出てこないんです。生活の中にそんな勧善懲悪の悪者みたいな奴なんていませんもんね。争いも結局お互いの立場やタイミングでそうなってるだけっていう。

主人公なんて誰でもよくて、というか全員が主人公で、それぞれのキャラクターにそれぞれの人生が想像できる。全員それぞれを中心にしたスピンオフドラマが観たい。いや本当に(よかったらぜひお願いします)。

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10代の子達がバンドを組むという話が主軸になっているだけあって、いろんな音楽が随所で鳴っているのも素敵でした。

物語のキーにもなっているバンド「Chocolate Sleepover」を思わずApple Musicで探したのだけど架空のバンドでした(残念)。トクマルシューゴさんが作っているようなので彼の音楽を聴いたり、サントラを聴いたりしています。

エンディングテーマがサニーデイサービスなのも最高。

あと、お笑い好きとしては蛙亭の中野さんが脇役とはいえまぁまぁのボリュームで出ていたり、ラーメンズの片桐仁さんがバンド仲間の子のお父さん役(兼ギタリスト)で出てきたり、YouTube版にはラバーガールの大水さんが出ていたりと絶妙なチョイスに唸りました。

あとは役名だけなのだけど、ちょっと鼻につくデザイン会社の方の役名に「屋敷さん」と「嶋佐さん」って出ていて「おおっ!?」ってなりました。なぜにニューヨークのお二人の名前を使ったのだろう?二人のファンとしては気になるところです。

役者陣も脚本も演出も音楽も美術も全部好きな感じで本当に最高の映画でした。あの食堂「満福」、近所に出来てほしい。笑

「お耳に合いましたら」といい、松本壮史さんの作品に心をわしづかみにされている夏です。

今週末は「サマーフィルムにのって」を観に行こう☆



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