「映像研」の良さを聞いてくれ

映像研に手を出すな!にハマった。前にマンガワンで試し読みして面白いな〜、好みだな〜と思っていたらあれよあれよとアニメ化してしまった。個人的に今期NHK最大の英断だと思う。

無限に設定画を描く空想の天才の浅草、「動き」に魅了されたアニメーター志望人気読モの水崎、2人をまとめる最強プロデューサー金森。3人が映像研を立ち上げアニメで『最強の世界』を作り上げる物語。

個性的なキャラクターのやりとりや、現実世界からいつのまにか浅草の空想空間に引き込まれるシーン等、色々なセンスある仕掛けが楽しい。あと舞台である高校の設定も立地がダンジョンっぽかったり、空調管理部や音響部(めちゃめちゃ設備が多い)など個性的な部があってロマンがいっぱいだ。個人的には浅草氏のオタク臭く古臭い話し方がツボ。

映像研の何が良いって、女生徒が本当の意味でなり振り構わずにやりたいことに熱中してる所だ。

そもそも女性が主人公の物語って何であんなに女性性に振り回されないといけないんだ?部活とかを主題にした漫画でも結局どっかで恋愛要素が出てくる。女性ならではの体型に対するイジりとか、男性から性的に見られる描写とか。そういう表現を見ると、まあそれを楽しむ気持ちが全くないとは言えないが、女性性を持ち合わせて生まれた自分はなんだかため息をつきたくなる。これは現実でも同じで、たとえば同じ1人のキャラクターでも、オスが「熱血系」「クール系」とか、本人の人格の傾向に分類されている間に、メスは本人の人となりがどうであれまず「女」という属性が先頭につけられる。うーん、説明しづらいな‥

その点、映像研の3人は女性としての自意識を一切出してこない。そもそも作中に、そういう性別に関するやりとり自体があまり出てこない。映像研は、本当に全てが『アニメをつくること』に終着する。アニメ作りの外部での問題として、水崎氏の親に映像研の活動を反対される、という一悶着があるんだけど、結局それも圧倒的なアニメを見せつけることで解決してしまう。

女子高生としてのキャラクター性が物語を動かしている訳じゃない。ただアニメをつくりたい若者がアニメを作り、結果その情熱で周りを捩じ伏せていく物語。女性性を持とうがなんだろうが、もがいてもがいて回りの目線も気にせず自分の求めることにひたすら向かっていく。そしてその結果生まれた作品が大勢の人をただ純粋に魅了する。それがすごく気持ちいい。どんな表現物を見ても結局、女性性を持つ限り、「ただ1人の人格」として物語を動かすことは出来ないのだな、とモヤモヤしていた僕にとって、やっと心からワクワクして観れる話だ。

色々と書き綴りましたが、映像研の魅力はこんな理屈くさい所ではないのでまずは是非皆さん観てください‥。観たらわかるから‥


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