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全診療科の必須知識!ストーマと褥瘡の基本がわかるスライド3選

ストーマ(人工肛門)や褥瘡を持つ患者さんは、どの科でも診療する可能性がありますよね?しかし「今まではWOCナースがみてくれた」「皮膚科や外科にコンサルトしていた」などの理由で、実際に褥瘡やストーマに触れたことがない人もいるのではないでしょうか?
今回は、今まで何となく後回しにしていたストーマと褥瘡の基本を学べるAntaa Slideを紹介します。

ストーマの違いを期間、造設臓器、形態による分類で理解しよう

「実は、ストーマってよくわからない……」という人も多いと思います。しかし、ストーマを持つ患者さんからすれば、ストーマを知らない医師は少し不安になってしまいますよね。そこでおすすめしたいのがMelon先生の人工肛門の種類とケアの仕方を学ぼうのスライドです。
スライドでは、以下の違いを知るだけで理解が深まると解説しています。

  • 期間による分類

自然肛門が切除や閉鎖された場合は、その後ずっとストーマから排便をおこなうため「永久的ストーマ」といいます。それに対して、ストーマ造設後に時期を見てストーマを閉鎖し、元の自然肛門からの排便に戻ることを見込んだものを「一時的ストーマ」といいます。

  • 造設臓器による分類

ストーマは腸管の部位によって特徴があります。便は肛門に近いほど水分が吸収されて固形となるため「結腸ストーマ」は通常の便の性状に近くなります。一方で「小腸ストーマ」の便は液体状で、消化酵素を含むアルカリ性のため周囲の皮膚への刺激が強いです。

  • 形態による分類

「単孔式ストーマ」は排泄孔が1個です。一時的ストーマでは、閉鎖しやすく縫合不全が少なくなる排泄孔が2個の「双孔式ストーマ」を造設する場合があります。
ストーマの分類は理解できたでしょうか?スライドでは他にも、ストーマを作成する部位や方法、合併症などに関してイラスト入りで解説されています。一通りの知識を押さえられるためぜひご覧ください。

褥瘡の危険因子やリスクアセスメントツールを理解しよう

褥瘡治療は、コメディカルスタッフと一緒におこないますよね。そのためには、褥瘡に関する基本的事項の理解が必要です。褥瘡のポイントを押さえるには、太田幸將先生の褥瘡の評価と実践 リハビリ編のスライドが役に立ちます。

 入院時に看護師は、褥瘡の危険因子を評価して予防計画を立てます。この時にもし、褥瘡があれば治療が必要です。まず、褥瘡の危険因子とは何かというと、褥瘡が発生しやすい状態のことです。危険因子を知っていれば、事前に対策が立てられ、予防や早期発見に役立ちますよね。

たとえば、「自力で体位変換ができず、痩せて骨突出がある患者さんにはエアマットを導入しよう」「片麻痺があり車いすで姿勢が崩れるから、ポジショニングをリハビリスタッフと調整しよう」といった感じです。
評価方法は、危険因子の項目ごとに点数化するリスクアセスメントツールを使用します。代表的なものは以下の4つです。

  • ①Braden scale

  • ②OHスケール

  • ③K式スケール

  • ④褥瘡対策に関する診療計画書

聞いたことがない人はスライドをぜひご参照ください。ここでは、危険因子の項目を確認しておきましょう。

  • 活動性(ADL)、体位変換

  • 皮膚の状態:湿潤(多汗、尿や便失禁、脆弱性(浮腫、スキンテア)

  • 栄養状態

  • 病的骨突出

  • 関節拘縮

  • 摩擦やずれ

  • 基礎疾患 など

褥瘡の発生にはさまざまな因子が絡んでいるため、一つひとつ対策を立てることが大切です。スライドではこの他にも、褥瘡の深さやガイドラインの解説もあり、基本を押さえたい人には役立つ内容となっています。

褥瘡の外用薬を選べるようになろう

皮膚科以外でも褥瘡治療をしている人も多いですよね。中には「この軟膏の選択でいいのかな?」「皮膚科医の外用薬の選択方法が知りたい!」という人もいるのではないでしょうか。そんな人には、ボブ先生のシンプルに考える褥瘡外用薬の選び方のスライドがおすすめです。

褥瘡の評価方法は「DESIGN-R®2020」や「NPUAP分類」が一般的ですが、やや難しいですよね。スライドでは、外用薬選択に役立つ簡単な分類方法が紹介されています。

  1. 壊死組織や感染徴候の有無により「汚いorキレイ」にわける

  2. 創部の浸軟具合で「湿っているor乾いている」にわける

以上の方法で褥瘡を4つに分類します。その後はまず、傷が汚ければ外科的デブリが必要かどうかを検討します。4つの分類ごとに外用薬が提示されているので、もう外用薬の選択で迷うことはありません。

さらにスライドには、薬価や薬効、外用薬の細かい使いわけなど、知りたい情報満載ですのでぜひスライドをご覧ください。

ストーマや褥瘡はコメディカルとの連携が大切

今回は、ストーマと褥瘡に関するスライドを紹介しました。

ストーマの基本を理解していれば、患者さんと話す時もぜんぜん違いますよね。また、褥瘡の状態を評価して、体位やマットレスの改善、軟膏治療も提案できれば、コメディカルの信頼もより一層得られるのではないでしょうか。基本を押さえたら、コメディカルにもいろいろ聞いて連携しながら治療をおこなっていきましょう。

専門外の知識のアップデートには、Antaa Slideがおすすめです。他にもたくさんあるので、時間がある時にぜひチェックしてみてくださいね。

執筆:shun@形成外科