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【医学生・初期研修医向け】腎臓内科を回る前に読んでおきたいスライド4選

病棟実習や初期研修では腎臓内科を回る機会があります。腎臓内科は内科的側面を持ちつつ、シャント手術や腹膜透析といった小手術もおこなっている、キャリアとして魅力的な診療科です。

また別の診療科においても、腎不全や慢性腎臓病といった腎臓疾患を合併している患者を受け持つことがあります。その場合、他臓器と複合的に考える必要があるため、腎臓について正しい知識を持っておくことが必要です。

この記事では、腎臓内科を回る前に読んでおきたいスライドを載せています。今回ここで紹介する長澤@腎臓内科先生のスライドは、特に医学生・初期研修医にとってわかりやすい内容になっています。ぜひローテーション前にAntaa Slideで腎臓内科について復習をしておきましょう。

まず腎臓の基本的な生理学的機能を理解しよう

腎臓の生理学的な機能を理解しておくと、腎臓内科で扱う疾患の病態を理解しやすいです。また他診療科においても腎臓病を合併しているケースは多々あります。他臓器とあわせて複合的に病態を考えられるように、まず腎臓の機能をスライドで確認しておきましょう。

今回紹介するスライドでは腎臓の機能のうち、「水・電解質の調整」と「老廃物の排泄」に焦点をあてて解説しています。前半では生理学的機能とGFR低下による代謝異常、後半では尿細管性アシドーシスの本質と緊急透析の適応について述べています。「水・電解質の調整」と「老廃物の排泄」を踏まえて、病態を解説しているのでとてもわかりやすい内容です。

初期研修では救急外来で急性腎障害に遭遇することがありますが、腎臓の生理を理解すれば緊急透析の適応も理解しやすくなるそうです。腎臓内科に興味がある方はもちろんのこと、救急科のローテーションを控えている方もスライドをチェックしておきましょう。

腎性貧血、低Ca血症、高P血症について理解を深めよう

腎臓は内分泌機能も持ち合わせており、腎不全では腎性貧血や低Ca血症、高P血症を引き起こすことがあります。次に紹介するスライドで「エリスロポエチンの産生」と「VitDの活性化」といった内分泌機能について学習しましょう。

まず腎性貧血の診断と治療について確認しましょう。貧血はさまざまな原因からなる病態です。腎不全ではエリスロポエチンが低下して、腎性貧血となることがあります。さらに、エリスロポエチン濃度が基準値以上でも腎性貧血の場合があるそうです。貧血の鑑別の際に腎性貧血をあげられるように、また治療までフォローできるようにスライドで確認しておきましょう。

加えて、スライドでは低Ca血症や高P血症についても解説しています。腎性貧血、低Ca血症、高P血症はどの順番で発症するか決まっていません。原因が腎不全ではないこともしばしばです。しかし、この3つをマネージメントすることで腎予後の改善につながる可能性があります。各合併症をスライドで理解しておきましょう。

https://slide.antaa.jp/article/view/8de312593c844025?referral=note

尿検査の見方で抑えておくべきポイントを知っておこう

腎臓内科的疾患に対して、検尿をおこなうことは必須です。初期研修では検尿をする機会がありますので、尿検査の見方を知っておくことが必要になります。次に紹介するスライドで、検尿で特に抑えておくべきポイントを確認しましょう。

まず尿試験紙で尿蛋白を認めたら、尿定量検査をおこないましょう。蛋白尿、Alb尿は腎予後だけでなく生命予後にもつながります。また糖尿病では、試験紙だけだとAlb尿を見逃す可能性があるそうです。したがって試験紙で陰性を認めた場合でも、定量検査をおこないます。特に糖尿病におけるAlb尿は心血管イベントとも関係しているため、早期に気づきたいですね。

スライドではさらに詳しくAlb尿、蛋白尿について解説しています。腎臓内科紹介の基準・ポイントも載っていますので、ぜひ一読しておきましょう。

慢性腎臓病の生活指導、食事指導を具体的に行おう

最後に慢性腎臓病の生活指導、食事指導を解説している2つのスライドを紹介します。受け持ち患者が慢性腎臓病を合併していた場合、具体的な生活指導や食事指導もおこなわなければなりません。患者から慢性腎臓病について質問されることもあるかもしれませんね。したがって腎臓内科を専攻するか未定の方でも、読んでおくべきスライドです。

慢性腎臓病の治療として運動療法や飲水励行・制限をおこなうことがあります。運動療法も飲水励行・制限も、具体的に指示することが大切です。スライドには、運動療法や飲水励行・制限のエビデンス、適応の解説だけでなく、具体的な指示方法まで載っています。患者に指導する機会は非専門医でもあるので、ぜひ一読しておきましょう。

慢性腎臓病は食事指導も大切です。特に減塩は必須になります。食事指導においても、具体的な指示をする必要がありますね。食事制限ばかりするのではなく、適切な食事指導をおこなえるようにスライドで確認しておきましょう。

Antaa Slideを用いて、腎臓内科について学んでみよう

今回は腎臓内科を回る前に読んでおきたいスライドを紹介しました。腎臓内科の先生によると、腎臓内科は知識をアップデートできていれば一線での活躍が長い科であるとおっしゃっていました。

病院によってはシャント手術やシャントPTA、腹膜透析関連の手術など小手術をおこなうところもあるそうです。またコモンディジーズにも強いため、開業をすることもできます。将来の選択肢のひとつとして腎臓内科についてAntaa Slideで勉強してみましょう。

文責:ヒラメ筋@医学生