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初期研修医を終えるのが心配な、アナタに贈るAntaa Slide

初期研修医のみなさん、専攻科は決めましたでしょうか。専門に進むのは楽しみでもあり、不安もありといったところだと思います。初期研修医を修了すると、急激に責任が増大するものです。また、初期研修医は学習者の要素が強く、いろいろな科の先生に質問しても快く教えてもらえると思います。ところが3年目になると、他の科の先生に気軽に勉強させてもらうことは難しくなることも。

今回は、初期研修医と上級医との「ギャップ」を埋めるのに役立つスライドを紹介します。トラブル予防や病状説明、治療方針の決断に関するAntaa Slideをみていきましょう。

■自分の中にある敵を知ってトラブルを予防する

救急外来において、上級医は当直帯の最高責任者です。救急外来は緊迫した状況も多く、トラブルのリスクも高くなります。今までは常に相談相手がいましたが、3年目以降は自分の判断が最終決定となる局面ばかりです。そこで救急医学教育のトップリーダーである坂本壮先生によるスライドERでのトラブル予防をおすすめします。

診断エラーの好発疾病やその原因、ミスを起こしやすい心理状況をエビデンスと共に紹介しています。自分の中の問題を直視でき、トラブル回避につなげることが可能です。



■病状説明に必要なのはお互いの視点を近づけるスキル

実は病状説明ってなかなか教えてもらえませんよね。医師の必須スキルのひとつに病状説明が入ってくることは間違いないのに、勉強方法はあいまいです。

天野雅之先生のスライド病状説明 ハートとスキルで注目する点は、病状説明の根幹となるコンセプトのわかりやすい解説です。私は病状説明で大切なのは、医療側と患者側のみえているものを近づけることだと考えています。このスライドでは、医学的正しさと患者側の事情をすり合わせるのに役立つ「CUP SOUPモデル」が紹介されており、とても共感しました。

症例ベースの説明や講義動画もあるので、とってもわかりやすいです。特に動画は必見の内容ですよ。

■難しい治療方針を決断するスキルを学ぶ

学生から初期研修医にかけて、治療方法を一生懸命勉強してきたと思います。しかし、実際にその治療をおこなうべきか?治療をいつ終えるべきか?という判断は次の学習段階です。

特に超高齢者や、病状が悪い人の治療は悩ましい場面が多くあります。症状緩和治療を重視するという選択は、がん緩和ケアではすでに浸透しています。非がんの急性疾病でも、根本治療のみならずもっと緩和ケアの視点を取り入れようという動きがホットです。ここでは、治療方針の決断スキルにつながる3つのAntaa Slideを紹介します。


①最重要事項だけをピックアップした入門編

は急性疾患の治療方針に悩める方を対象に入門 急性疾患の患者中心のケア 人工呼吸器は一度つけたら外せない?をアップしました。ボリュームは比較的少なめにしており、時間がない方や全くの初心者におすすめですよ。とにかく最低限これだけは、という内容になっています。


②緩和ケアの視点から抗菌薬治療について深掘り

友田義崇先生によるスライドいつまで続ける?終末期の抗菌薬は、終末期患者への感染症治療にフォーカスを当てたものです。抗菌薬の開始や継続が患者にとって最適かどうか?を患者ごとに考えるヒントをくれます。感染症治療には、常に唯一解があると思いがちですが、死期が近いほど個別性が高く難しいものです。

培養検査にも侵襲がある、抗菌薬が症状緩和につながることがある、耐性菌への感染対策がよい死別を阻害する、といったことに言及されています。安易な治療方針の決定は、慎まないといけないと感じました。


③急性疾患の緩和ケアに関する最重要スライド

最後は、救急緩和ケアのメッカである麻生飯塚病院の石上雄一郎先生によるスライド救急医が本気で緩和ケアに取り組んでみたです。考え方の基本だけでなく、明日から実践できるスキルを多く教えてくれています。

家族との合意形成が困難な場合の対処法も書かれており、とっても勉強になり必見です。1時間の講義動画もついておりボリュームがありますが、上で紹介した2つのスライドを読んだあとであればスラスラ内容が入ってきます。

■大きな責任を支える知識を獲得しよう

初期研修医はすごく大変です。しかし上級医にもまた種類の違う大変さがあります。個人的な経験でも3年目になった途端、責任と緊張に戸惑ったという記憶ばかりでした。

仕事に対する情熱はとても大切です。しかし知識に支えられた冷静な判断も重要になります。Antaa Slideを通じてなら、生きた知識を仕入れることが可能です。Burning heart but cool headでがんばっていきましょうね。

執筆:ゆっくり救急医 @Yukkuri_991