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OPEC減産決定はサウジとロシアによる米中間選挙への介入か?

OPEC(石油輸出国機構)にロシアなど非加盟産油国が加わるOPECプラス5は今月5日の閣僚級会合で日量200万バレルの減産を決定した。世界需要の約2%に当たる大幅な減産となり、記録的なインフレが続く米国内でさらなる物価上昇を招きかねず、1カ月後に迫った中間選挙を前にバイデン政権にとっての大きな痛手となりそうだ。このため与党民主党からは、このタイミングでの減産決定に、共和党とOPEC最大産油国のサウジアラビア、ロシアによる選挙妨害ではといぶかしる声が上がり、OPECカルテル解体やサウジからの軍事支援の引き上げなどを求める動きも出ている。

左派の重鎮であるサンダース上院議員(バーモント州選出)は、「もしサウジがロシアと組んで米国内のガソリン価格を上げようとするならばそれはプーチンの君主政治を助長することになる。我々はサウジからすべての米軍撤退と武器販売を中止し、石油カルテルを解体しなければならない」と即座にツイッターに投稿。また、ダービン上院議員(イリノイ州選出)も同じくツイッター上で「世界同時多発テロや(在米のサウジアラビア人記者)ジャマル・カショギ氏の殺害に関する未解明の関与から今回のプーチンとの共謀による米国の石油価格引き上げの企みまで、サウジ王室は我が国にとり決して信頼のおける同盟とは言えない。彼らとの同盟無しでの外交政策を練り直す時がきた」と非難した。

民主党内では他にもマリノフスキ下院議員(ニュージャージー州選出)らも同様の意見を主張し、米軍撤退を盛り込んだ法案を提案している。さらに世論の中には、トランプ氏の家宅捜索で明らかになった機密文書のうち見つかっていないとされる部分が、娘婿のクシュナー氏からサウジに渡った核兵器に関する情報だとの憶測も根強く、今回の減産はその見返りとの見方も飛び交っている。

最新の世論調査でもインフレは投票者の最大の関心事であり、野党共和党が攻撃の要とするポイント。特にガソリン価格の高騰は米消費者に直結する問題のため、これまでバイデン政権はこれまであらゆる手段で価格上昇を封じる手段を取ってきた。7月には冷え込んだ両国関係の改善で増産確約を取り付けたい大統領が自らサウジアラビアを訪問。また、石油大手に対し価格を抑えるよう再三呼びかけてきた。ガソリン価格は6月に12州でガロン当たり5ドル越えのピークを付けた後下落を続け、現在では3ドル台後半に落ち着いたが、再びの上昇基調を示している。今回の減産を受けてさらなる価格上昇、また冬を前に燃料費の高騰ともなれば選挙への影響は避けられず、バイデン政権にとって頭の痛い日々が続きそうだ。

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