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Madagascar⑨

Day.9 なもなき島〜モロンダバ

朝5時に起きて起きたままの状態でテントから飛び出し、カヌーに乗って薄暗い中バードウォッチングに出る。
朝焼けの中、鳥の鳴き声とカヌーを漕いでくれる波の音だけが響き神聖な儀式に向かうような静けさだった。
特に珍しい鳥を見たいわけではなかったが、マングローブ木々と颯爽に飛び立つときの鳥のバタバタという羽の音がより静けさを強調した。

朝の2時間ほどカヌー旅が終わり島に帰ってきた。
みんなで島の中の朝の風景を見せてもらう。
なんか衝立があってのぞいてみると、ドーナツ屋さんのようだ。
揚げたてをひとつずつくれたのだが、沖縄のサーターアンダギーみたいで美味しい。素朴の味で島の朝食にぴったりなのか、たくさんの島人たちが入れ替わり立ち替わりで朝食を求めていた。

わたしたちもお腹が空いてきた頃なので、朝食をいただき、しばらくお昼過ぎまではフリータイムとのこと。


わたしは島の学校を覗かせてもらったり、散歩に出かけた。
するとなんだか胃の調子がおかしい。。
最初はキリキリ痛んであっという間に痛さで歩くのが辛くなった。これはダメだと胃薬と鎮痛剤を飲んでしばらく日陰で横になってみる。
しかし暑さのせいか眠れないし、とにかく気持ち悪い。
今日またカヌーに1時間ほど乗ってカニ釣りをしてさらに1時間カヌーに乗ってカニ釣り、それからまたあのオンボロ車でモロンダバまで帰る。そしてそのまま次の日の朝4時起きで長距離バスに1日乗って、首都まで帰りその次の日はそのまま帰国だ。。。
怒濤の移動スケジュールが頭の中で駆け巡る。
調子崩しての長距離移動の辛さは地獄絵図である。
なんとかここで持ち堪えたいのでせっかくの島の生活を写真に収めたいという気持ちをぐっと堪えて、ひたすら寝るに徹する。

しばらくするとみんなも戻ってきた。
ちょっとだけ回復したわたしにハジャがココナッツミルク飲みたい?って聞いてきたが、正直あんまり生のココナッツジュースを散々いろんな国で試したけど好きじゃないのでお断りした。
けどBさんがすごく美味しい美味しいと言いながらあまりにも美味しそうに飲むので、「じゃあ、わたしも」ということでお願いした。
すると少年がすいすい6メートルちかく大きなココナッツの木に登り、ポトンとひとつココナッツの実を落としてくれた。
フレッシュもフレッシュ!とりたてココナッツだ! 
まさかのフレッシュココナッツは今上って取るとは思ってなかったので衝撃!!
ハジャがオノみたいなので上手にカットしてくれて飲んでみると、ほどよく甘くて爽やかな味。今まで飲んできた生ココナッツジュースはなんだったのだろうと思うほど、味が全然ちがう。
美味しいすぎて、暑さと胃腸がおかしいその時のわたしの身体に染み込んでいった。

それからしばらくしてメインイベントカニ釣りへ出かける。荷物を詰め込んで、一つのカヌーに2人づつ乗り込んだ。

最初はなんとか持ち堪えた私も、しばらくするとやっぱり気分が悪い。座っていることもままならずせまいカヌーの中でなんとか横になれるようなスペースを探して横になりながらカニ釣りポイントまで進んでもらう。
蟹好きのBさんの熱望でオプションで追加されたカニ釣り、一体どうすんだろうと見ていると、日本のように釣り道具見たいのはなくて、糸と木の棒と木で作られた網みたいなのを使うそうだ。
これはサバイバルだな、なんて思いながら朝に仕込んでくれていた仕掛けをひとつずつ丁寧に上げていく。
マングローブの木々の木陰に蟹はよくいるらしく、静かに静かに仕掛けに向かい、テグスをたぐりよせる。なかなかあたりはなく、小さな蟹だけがいくか入っていた。
小さな蟹はまだ食べれないのでまた放流してあげ、マダガスカル式漁となるものを少し体験し、道具とかではなくても漁が成り立つことに感動した。

この日は風がとても強く気持ちのいいカヌー旅だった。
手作りの帆を上手に立ててぐんぐんスピードを上げてカヌーが進んでいく。速度は手漕ぎより3倍ほど早く進むようで予定よりちょっぴり早く到着した。
その頃には少し体調も戻った。

そしてあの問題児のドライバーがニコニコ笑顔で待っている。
帰りは問題なく、スムーズに走行してくれた。

またバオバブ街道に泊まり、今回はバオバブの木の置物を本格的に大量に買い込んだ。Bさんもわたしも家の玄関にバオバブ街道を作ろうとかテンションあがっちゃって、東京行ったらBさんちのバオバブ街道見に行くね、関西に来たらうちのバオバブ街道見に来てね。なんて言いながら2人とも結局20個くらい買い込んだ。今のわたしの家の玄関は見事に綺麗なバオバブ街道になっている。

そして、最後の最後バオバブ街道を後にして、いつのまにか、マイホーム化したホテルマナベに戻る。

最後の日のホテルマナベの部屋はいろいろ大変だった。手のひらサイズのゴキブリが出て、大きな声で叫んでフロントの人呼び出しに行っている間に見失って結局一晩ゴキブリと一緒に眠ることになる。
さらにシャワーをひねったら水しか出てこず、昨日のキャンプでシャワー浴びれてないからゆっくり入ってないのでゆっくりシャワーしたいところだったが、激さむの中急いでシャワーを浴びる羽目に。
さすがに一部アフリカなだけあって日中は暑いのに、夜になると寒いという不思議な気候だ。そして寒い時の水シャワーって本当に拷問である。
でも慣れたもんでまずは頭だけ洗ってタオルで拭いて、身体はあとで部分的にダッシュで洗うっていう方法を以前に編み出していたので、なかなか上手く水シャワーもこなせるようになった。
これを自慢していいかわかんないけど、こういういかに臨機応変に対応していくかっていう術を見つけた時嬉しい。
いろんな機械に頼っているのに、自分でやっている感を出してしまうのはダサい。生ぬるい日本の甘やかされている自分のサバイバル能力が少しだけ成長することに喜びを感じる。
変人だなとよく思うけど、正直見た目のカッコよさなんてどうでも良くて、どこでも生きていけそうな武井壮さんの方がよっぽど人間力として高くて魅力的だ。
なので発展途上国に行くと「あれがないと、これがないと」ではなく、あるもので作ってしまう人たちに溢れていてそういう人間力を見せつけられた時、自分の甘さに仰天する。

Cさんも明日同じバスで帰るので2人でバス乗り場までどうやって行くか話し合って、明日の朝4時のバスに備えて早めにベットで眠りのついた。

ほぼマダガスカル旅終わりだけどまだもう少し続く。


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