★「文学理論」への準備的メモ

▼動機や関心
*文学理論本を読んでいくための準備。以下の記述はすべて仮説。
*批評の理論として(批評からみて)、いわゆる文学理論がどういう位置にあるのか考えたい。
*文学理論の納得できない感じをもう少し明確にしたい。
*文学理論で紹介されている理論が、他のメディアで用いられる際の理屈を考えたい。


▼因果主義:因果的な説明を認める立場

(A)作者の意図の存在を予想する(仮説的な意図):
ex.作者には、隠された・無意識な・限りなく小さな意図があった

(B)文化・社会・共同体から作者への影響:
ex.作者は(云々の特徴を持つ)**文化における教育を受けていた、作者は暗黙的な共同製作を行っていた、など

(C)作者がすでに理論を知っていた(知識をもとに作品をつくった):
①作品理論や哲学:ex.夏目漱石、筒井康隆、京極夏彦……etc
②政治・宗教:ex.政治活動家や宗教家の作品、政治的なメッセージを込めるなど

(D)人間の持つ普遍的な能力を作者は行使した:
ex.人類の共有する無意識や普遍的なイメージ、認知心理学や行動経済学の挙げる人間の非合理性など


▼反因果主義:因果的な説明を認めない(考慮しない)立場

(E)あらゆる文脈に依存せずに読む:
チェックシート型、文脈・歴史・プロセスの無視、現実との対応の無視、普遍性の重視(読み手によって解釈がブレない:検証可能性、など)

(F)個々の因果主義の否定:
①反意図・知識:作者は自律しておらず、常に大きな存在によって操られている。作者は弱い意図や弱い知識しか持たない
②反文化・社会・共同体:独我論的な立場
③反普遍(相対主義):因果(論理)の相対性がある(文化や時代によって因果は異なる)、人間が共通して持ちうる能力などない
(⇒①と③は(B)の立場と類似する)

(G)反因果性を強く主張する:
①この世に因果など存在しない、すべては偶然的であり、出来事に説明など付けれない/無限に説明は可能である
②因果(・因果的説明)は、ある権力によって作られたものである(権力一元主義)。権力より前に因果など存在しない。反因果というよりは、特殊で極端な因果主義。

(H)作る-読む、という因果を無視する:
ex.読みに絶対的な重心を置く(読みによってすべてが作られる的な主張)、読み手の独断など


◆反因果主義のねらい

*とにかく解釈を増やす:解釈が多い=良い、という立場

*発見的な解釈を産み出す:単に面白い、イノベーションや創発を狙う、など

*挑発し、不安感・不快・怒りを引き出す。既存の秩序を攻撃する
ex.作者という権威を攻撃する、など

*ねらいの優先度として、因果性のチェックは、何かのついでで良く、重要ではない(優先度が低くて良い、どうでもいい)

*(E)は教育に取り入れやすい、検証可能性があるので研究も評価もしやすい、基準があるので解釈について議論もしやすい


▼反因果主義の弱点

*恣意的なチェックリストを作成できる、チェックリストが明示的でない

*陰謀論などの低級な理論と区別が付かない(というか区別を付けるための基準が別に必要になる)

*秘教的になる:日常的語彙からかけ離れているので伝わりにくい


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