★「面白くない/おもんない」というコメントについて:まいにち100字【57日目】

▼「ネタ披露⇒コメント」システム

*テレビだけでなく、YouTuberの企画でも良くある形式。基本的には、ボケに対するツッコミ、写真で一言的な大喜利、と類似したものとして考えられるように思える。目の前に現れた「へんなもの」に対して、どのような創意工夫のある言葉を付けれるか、という営為。
(※ゲーム配信におけるリアクション、配信におけるコメント欄も、似たような瞬発力が必要とされると思われる。)

*しかし、創意工夫のあるコメントばかりではない。テレビの場合、コメントに良いアイデア(発想・観点)が含まれなくても、知名度や人気、または権威(この人は「お笑い」を判定できる、というコンセンサス)によって、笑いになってしまう場合がある。
(※ただし、極端なことを言えば、こうした権威のある(箔の付いた)ネタにしか反応できない人たちはいるだろう。笑いに関する自分の価値観を持てない人たち。)

*こうした傾向が強まると、ネタは面白いのに、その間に挟まるトークが面白くない番組が完成する(録画のとき、トーク部分だけ早送りしちゃう番組)。

*こうした創意工夫のないコメントのひとつに「面白くない/おもんない」があるのではないか。


▼「面白くない/おもんない」

*目の前にあらわれた「へんなもの」に対して、「面白くない」あるいは関西弁で「おもんない」と返す場合。バラエティ番組を観ていれば、似たような言葉を1、2ヶ月に一回は聞くだろう。

*面白くないことがボケの意図通りであり、ツッコミとして正しいこともある。たとえば、ボケが「面白いことを言います」などとハードルを爆上げして、スベりに行くパターンなど。
(※くりぃむしちゅーのANNでは、有田がリスナーに対して「そこは違うでしょ。**で大爆笑だったでしょ」と言い、上田が「いや、さほどだよ」というパターンがある。)

*やりとり自体が、完全にパターン化されている場合も考えられる。つまり内輪ネタ=ローカルネタ。関西圏では良くあるノリなのかもしれない。
(※「つまんない」の方が優しく感じる。筆者は東京育ちなので、これは関東的な感性なのだろうか。)

*「面白くない」という単刀直入なコメントに対する、ボケ/ネタ側のリアクションを引き出している場合もある。ただし、このやり取りはその場でする必要があり、録画をみてコメントする場合では、成立しない。

*コメントする側が、真に面白くないと思っている場合もある。つまり、どのような言葉を使って良いかわからないため、とりあえずのアンパイである「面白くない」を言ってしまうパターン。つまり、逃げ。

*面白くないというコメントは、あらゆる可能性や創意工夫を破棄して、匙を投げているように聞こえる。そういう意味で、基本的には最終手段的なツッコミであり、あまり使うべきではないと思うのだが、連呼していることがある。ここまでいくとシュールになり、ちょっと笑えることもある(嘲笑気味だが)。

*「面白くない」というコメントがボケ化してる場合。たとえばブーメランになっているとき:「いや(面白くない)お前が面白くないって言うのかよ」。

*面白くないというコメントに、観客として筆者が感じる不快は、次の通り。
「いまの面白くなかった……?めちゃめちゃ面白かったのに……(こいつセンスないな or 俺ってズレてるんだな)」。
「面白いか面白くないかは、観てるこっちが決めることであって、あなたに言われる筋合いはありません」。
「いや、誰かにとっては面白いかもしれないしれないじゃん」という想像が頭をよぎる。
どれもネタから視線が逸れてしまっている。ネタの面白さを発見するのが、コメントの役割ではないか。


▼ちなみに……
「気ぃつかうわ」も同様に、めちゃめちゃ微妙な言葉づかいだと思うのだが、これは最早「煽り」「露悪」「感情の逆撫で」まで含めた言葉なのかなあ、とも思う。また別の機会に考えたい。


おわり❗️

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