今日の反省

うちの父親は頑固で自己中である。
そういう固定概念が自分の中にある。
50代の頃好き勝手やってきた父親は『俺は人生を全うしてきた。いつ死んでもおかしくない。』太く短く生きてきたつもりなんだろう。

そんな事を度々言ってきた父親だが、既に80歳を過ぎている。
自分も50歳を過ぎている。
今はお互いのためになろうかと二世帯で住んで既に10年近く。
色々言いたくない事も言ってきた。
自己中である故の他人がどう思おうが嫌みな事を言ってしまう父親と
話し合っても『うるせぇ!』と片づけられてきた。

でも、自分も性格が強いが故、相手に負けじと意見を押し付ける?
理解してもらおうとする?傷つけて印象付ける?
相手が負けを認めると満足する?
分からないが、遠回しな言い方は性に合わない。

父親は自分より姉の方が好きだった。
姉は20数年前に事故で亡くなっている。
太く短い人生を全うしたのは彼女の方だった。
頑固な父親を『可愛い』と表現していたのは娘が故のことだろうか。
自分は高校の時に頑固おやじ人形を父親の誕生日にあげた事がある。
紐を引っ張ると『てやんでぇ~』としゃべる人形だ。
そんな昔の人間だから苦労していたのは母親だといつも気にかけていたのは
息子が故の感情なのか?
今はアルツが入ってしまって、父親の悪口を長く言い続けていた事もあった。それは長年言いたいことを相手に伝えられなかった人間関係が故の
脳の反応なのか?

今年に入り、父親に色々な体の危険信号が鳴り出した。
先ずはワクチンを2度打っていたにもかかわらず(おそらく血栓症状からの)コロナにかかり、尿路感染、肺炎、動脈硬化、動脈瘤、ステント手術、肺気胸手術、大腸の問題、心臓ステント手術、足のカテーテル手術、と既に5‐6回の入退院を繰り返して既に半年が過ぎた。
鼻に酸素チューブを付けて生活している日々。
世話役は全て自分がやっている。
医者の言っている事もいい加減な父親はちゃんと理解できていない。

そんな入退院を繰り返す中、長年一緒にいた金魚3匹が死んでしまった。
5-6年前ぐらいに町会の祭りで子供たちがもらってきた金魚が、数年で鯉のサイズに成長してしまった。まじで金魚だったの?と思うぐらいのサイズである。
父親がずっと面倒を見ていたのだが、父が不在の間水槽を掃除する事を
していなかった。その為、一番小さいオレンジ色の金魚が横泳ぎするようになった。病気が原因だ。父親曰く、水槽の水が汚くなったせいだ。という。
なので、それ以来一週間に一度大きなタンクの掃除をするようにした。
そうすると不思議に横になっていた金魚が普通に泳ぐようになったのである。

その後父親が帰ってきて、暫くまた家に入れる事になったので、水槽を自分で洗っていた。数日後一匹が死んだのである。その前に病気になっていたオレンジのものでなく、中ぐらいのサイズの白だという。
親父が掃除してから、死ぬのだからもう年なのかもしれない。
その数日後また死んで、今度は一番大きかったのが死んだ。
その後父親はまた入院。
入院中、最初に病気になった魚が死んだ。それは自分が処理した。

最近になって退院してきた父親が庭に出ていると、ある近所のおしゃべりなおばさんと話をしていた。空になっている水槽を見て不思議に思ったのか?
親父にどうしたのか?と聞いたのだろう。
恐らくその後父親は『息子がちゃんと水槽をキレイにしなかったから、しんでしまった。』と告げたと予測する。
その会話が終わった後に、自分が2回のベランダに出たときにそのおばさんと目が合ってしまった。距離があるにもかかわらず、そのおせっかいでおしゃべりなおばさんは『ちゃんと面倒見なかったんだね!全部死んじゃったね!』なんて近所の人が聞こえるように言うのである。

翌日父親を検査のため病院に連れて行く車中で、
なんで、おしゃべりなおばさんに話をする必要があるのか?
一匹が病気になってから自分は何度となく、水槽をキレイにしていた。
それから金魚は治った。
お父さんが退院してから、水槽を再度洗ってから金魚が死に始めたんじゃないか!
もしなんどきまた倒れるかもしれないんだから、金魚とか庭の茂りすぎている植木や植物の面倒を見るのは大変だから処分をする方法を教えてくれ。
というような会話をして、
ちょっと言い過ぎた感があった。

正直母親は認知症ではあるが、ちゃんと自分の食事の支度、お風呂にも一人で入れる。ただ外出がままならないし、小物等無くしてしまう傾向があるぐらいでそれほど面倒見る必要はない。
しかし、父親は血管の問題から脳梗塞になっていつ倒れるかわからない。
またいつ長い入院になるかわからない。
そうなると入院の手続きや入用なものを持って行ったりとか、
心配して電話したりとか、保険の請求をしたりとか、色々と大変である。
それに加え庭の植物の処理なんかたまったもんじゃない。
以前、庭の植物を手入れしたり、処分したりする人は町内にいるというのを聞いて安心はしていたもののいつになっても紹介してくれるわけでもないから、その辺も再度車中で促した。

病人を結構追いつめてしまった。
まして金魚は自分の子供たちがお祭りで持ってきたものを良かれと思って
今まで育ててくれた父親に対して、結構強い事を言ってしまった。
逆に感謝しなければいけなかったのはうちらの方だった。
病院に送った後『いつまだかかるかわからないから、帰っていい。』と
追い帰されたその家路でふと反省をした。

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