ノスタルジーという感情が憎い理由

金木犀とか、夕暮れのあの駅とか。
昔よく行った味の濃い中華屋さんとか。
泣いてばっかりだった冬に毎日のように
羽織っていたアウター。
「死んでもいい」とおもったくらいしあわせだったあの日

五感から受け取る情報のすべてにおいて、
「懐かしい」の感情をすきになれない

たぶん、ずっとつづいてほしかったからだろうな。
その瞬間を、なつかしむ、時がくるなんて
信じたくなかったんだろう。
でも、過去になって、記憶になった。

そして、なによりも、「いま」が
ノスタルジーに感じられるときがいつかくるかもしれない、それが怖くて仕方ないんだろうな。
過去で、記憶。
それ以上でもそれ以下でもない。

懐かしい、って、暖かく聴こえるけど
本当はすごく、冷たい感情な気がする。

思い出したってどうにもならないけど、
どうにもならなくても別に良いから。

私のいまの感情が、この景色が、
隣で楽しそうに居る好きな人の愛おしい横顔が、体温が、そのせんぶが、
そういう扱いになるのが怖い。

永遠なんてないのは、嫌というほどわかってる。
わかってるひとほど、「ずっと」をずっと願ってる。

懐かしい、なんて一生思いたくない。
このままずっと続いて。全部。

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