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santec的企業の条件


この記事は無料公開しますので興味のある方だけお読みくださいませ✨

5/10のsantecの決算は最高の内容でした!

短期的な値動きにはあまり注目していなくて、私が見ているのは10年先・20年先の会社の資産です。

投資とは会社の一部を所有し、その一部を「時間をかけて温めていく行為」だと私は認識しています

そう考えた時に、〝複利的〟に会社の利益が増大し、資産が積み上がっていくところに早期のうちに投資したいですよね。そういう会社を〝santec的企業〟と私は呼んでいるのですが、その特徴は特殊です。

条件は9つ。全て詳しく解説します。

① 時価総額が低い
時価総額が低いということは流入資金が少なくても株価が上がりやすいということです。テンバガーに必要な条件の筆頭でもありますね。最低でも500億円以下。できれば200億円以下くらいが良い感じです。野村マイクロサイエンスは私が投資した時は500億円でした。


② 極めて高い業績成長率を誇る
売上高成長率10%以上、営業利益成長率15%以上で成長を続けている会社です。このように長期間高い成長を続けられるのには、必然的な理由があるからです。人間の能力はそれほど高くないので、優れたビジネスモデルでなければ会社は長期間成長できません。そのような長期間成長していく会社に「割安なうちに投資して企業の成長を見守っていく」というのが私の投資の本質です。会社がどんな発表をしようが、株価が下がろうが会社の中身だけを見ていきましょう。


③ 株価が上がっていない、あるいは業績の割にPERがとても低い(=潤いバリュー株)
時価総額が低くて業績成長している会社は他にもたくさんありますが、配当を多く出し、割安に買える会社は少ないです。私が探しているのはこのような潤いバリュー株です。グロース市場の銘柄は割高過ぎるのと、業績成長に天井が見えてしまっているところが多くてダメです。特に天井が見えているところは致命的です。例えば市場規模が100億円しかないところで10年かけて100億円売上達成しても、2年で達成しても、長期的にはどちらも同じ会社です。そういう天井が見えている市場で戦っている会社はいかに成長力があろうが、投資に値しないと考えています。投資すべきは〝市場の天井〟を自力で押し上げられる力を持つ強い企業であり、現在でも割安な会社です。仮に会社が全然成長せず、目論見を外しても、大きな損をしない会社です。


④ 業績成長しているのに配当性向に非常に余裕があり、時間の問題でどんどん増配していく企業
現在でも割安で、長期的にどんどん割安になっていく潤いバリュー株最大のカタリストは『増配力』です。例えば2014年のMicrosoftに投資していれば、今頃配当利回りは10%でした。配当だけでも超高配当株なんです。それなのに業績は衰えるところを知りません。そんな会社はこれからもどんどん配当を増やしてくれるでしょうし、そんな会社の株価が買値より下がることなどほとんどあり得ません。業績に裏打ちされた配当による株価の下支えというのが最大の強みとなります。


⑤ ニッチトップ、あるいは他の企業が真似できない高い〝堀〟を備えている
②③④で説明したところに繋がるところですが、市場規模を自力で押し上げたり、高い業績成長を保証する根本は『参入障壁』です。電気ガス水道鉄道、航空事業や通信事業といったインフラ系はどれもそのような参入障壁がありますが、〝santec的企業〟はそのどれとも違います。〝santec的企業〟とは、世界のどこも真似できない技術を持つ街の小さな工場で、大企業が欲しがる製品を作っていたり、人々に必要不可欠な商品を提供しているところです。時間の経過でその会社の需要が高まってくる、そんな小さな会社に投資したいのです。


⑥ 創業者、あるいは経営者が大株主
⑤に付随する内容です。インフラ系は確かに高い参入障壁があり強いビジネスを持ちますが、創業者が亡くなっていて、経営者が株を持っていません。こうなるとライバル不在の怠慢経営になりがちで、事業を拡大させようという意思が無くなります。こういう会社が事業成長するには、「日本政府の補助金」や「大企業の成長投資の一環で恩恵に預かれる」といった運頼みの事業内容になってしまいます。TSMC恩恵の九州電力やJR九州、ラピダスの北海道電力や北海道瓦斯などはまさにそういう幸運な会社です。私も北海道瓦斯に投資しているのでそういう会社を否定したいのではありません!
しかし〝santec的企業〟は外部要因だけでなく自力で事業成長させられる力を持った会社です。言い換えると、「外部要因」という一つのエンジンだけでなく、優秀な経営者が自力で事業を拡大させる二つ目の推進力を持っているところです。
〝santec的企業〟は創業者あるいは創業者一族もしくは叩き上げの経営者自らが会社の大株主となり、株主と同じ方向を向いています。安易な増資もしませんし、保守的な配当性向で還元を緩めることもしません。逆に〝santec的企業〟の還元が少ないということはそれだけ事業投資に回したいという意味であるので、株主も好意的に受け止めることができます。『なんとなく不安だから』という理由で内部留保を蓄えることも、『なんとなく株主に喜んでもらいたくて』という理由で無理な還元をすることもしません。本質的に株主の利益を最大化させるにはどうしたら良いのか?を現在・将来の二つの目線で考えてくれるところです。


⑦ 需要が無くなりづらい主力事業を持っている
⑥で語ったような参入障壁を持ちながら高い成長力を誇る会社というのは人の力だけでは不可能です。そこには需要が無くなりづらい主力事業を持つことが多いです。例えばsantecは光関連装置というライバルがたくさんいる業界で、ライバルが真似できないオリジナルの製品を作って半導体のNVIDIA、通信のHUAWEI・NTT、医療分野でアルコンに製品を販売しています。santec無しでは製品を作れないという強い事業をもっているからこそ、年間37%という高い営業利益成長力を保てているわけです。しかしsantecの強みはそれだけでなく、市場の成長に伴った『交換需要』が発生します。例えばNVIDIAの半導体の技術革新に合わせて、santecもオリジナル製品の改良を重ねています。そのような改良製品が取引先の技術革新に合わせて必要となってくるため、時間の経過で需要が再度復活するようになっています。それを主力事業にしている限り、企業は利益拡大→研究開発→製品改良→利益拡大のループに入ることができます。


⑧ 事業分散が効いている
ここも非常に重要です。また例に出しますが、santecは光関連部品や光装置が半導体・通信・医療といった全く異なる3つの分野で使われています。つまりどこかが不調でもどこかが好調になることで、毎年の利益が安定しやすくなります。企業にとって利益の安定はとても大切です。研究開発費は利益の一部を回しているため、毎年定期的に利益が発生しないと将来の成長ドライバーが弱まってしまうからです。また、複数の事業を展開するのではなく、一つの製品が複数の分野に利用されるというのが理想的です。作っている製品や使われている技術は一つなのに、市場規模が広がっているからですこれが③で書いた、『自力で市場の天井を押し上げられる』ということです。santecが半導体単体の会社あれば「心中銘柄」にはなりませんでした。
santecの技術は『光』だけです。つまり研究開発も光だけに集中できます。しかし需要は3分野あるのです。たった1つの研究開発で3分野に投資できる。リスク1でレバレッジ3倍というわけです!このような効率の良い事業分散が効いてくると、利益が大きく下がったり上がったりといった景気サイクルに飲み込まれることが少なくなります。

⑨ 従業員一人当たり営業利益、営業利益率、従業員平均給与の3点が右肩上がり
最後に優良企業が優良企業たる基本的なところです。〝santec的企業〟だけに当てはまらないのですが、特にsantec的企業は『技術力』がその成長の根幹にあります。技術者1人が企業に与える影響が大きいため、その技術者1人を採用することでどれだけ会社の利益に貢献しているか、会社はその技術者にどれだけ還元できているかが、会社が長く存続する上で大切なことだと思っています。それを見る指標が営業利益率、従業員1人あたり営業利益の伸び、従業員の平均給与です。全てが右肩上がりになっていることが理想です!人を多く採用して、一時的に平均給与や従業員一人当たり営業利益が下がったとしても問題ありません。株主に還元しないシー・エス・ランバーのような保守的な企業も良くありませんが、任天堂のように従業員ばかり優遇して株主に還元しない企業もよくありません。
利益を出してくれる従業員を大切にしながら、長期的な業績成長と配当を出し続けてくれる会社が〝santec的企業〟です。



このような特徴を全て備えた企業が〝santec的企業〟です。そういう企業は本当に滅多にありません。私が見つけられた企業は過去3社だけです。

その3社についてnoteで詳しく分析しています。
ちなみに、3社目の分析記事は来週土曜日か日曜日に公開予定です✨

お楽しみに🥰

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