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才能ないな 恥晒して

「いや〜実はジャンプの新人賞取ってね…」

当時バイトしていた漫画喫茶の同僚、池田さん(仮)は漫画家を目指すフリーターだった。

この人は「仕事中に漫画が読める!」という理由で漫画喫茶のアルバイトを志望し、何度もそれで怒られているにも関わらず、勤務中にはずっと漫画を読んでいる“漫画読みキチガイ”だった。
ちなみに描くのは自宅でないと集中できないらしい。
とにかく漫画が大好きで、読んで描いてという“漫画のすべて”が好きな男だった。

さて、その号を手に取って見ると、確かに池田さんの名前がでかでかと載っている。
それを話す様子はとても誇らしげで、それを聞いてるこっちまで嬉しくなった。
現在、担当編集がついて連載のネームを切っているらしい。

「池田さんが有名作家になったら久兵衛奢ってくださいよ〜w」
「じゃあフェニくんがバンドで売れたら俺も奢ってもらおうかなw」

なんて会話を交わしたのを覚えている。

彼とも連絡が徐々に取れなくなって数年が経った。ジャンプを手に取って目次欄を見ても、彼の名前は載っていない。

その後、俺も音楽で金を稼ぐことはなく、飯を食ってはクソを捻り出す“ふくろ”と化した。

「僕らには自殺なんてドラマティックな事件に関われる資格はありません。どんなに落ち込んでも、苦しんでも、いつもの馬鹿馬鹿しい日常に帰ってくるだけです。もし帰ってこれなくても、どこかで馬鹿馬鹿しく死ぬだけです」

彼は今どこで、何をしているのだろうか?

ある火曜日、1日遅れでジャンプを手に取って、もう一度目次欄を見てみる。やはり彼の名前はどこにもなかった。

https://soundcloud.app.goo.gl/oJJZX8n6AZhHewZf9

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