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ブルガリアの素敵な春の伝統「ババマルタ」

Честита Баба Марта! (チェスティータ ババ マルタ!)

3月を迎えた春のブルガリアでは、街行く人々の腕に赤と白のブレスレットが付いている。
この光景はババマルタ、と呼ばれる伝統によるものだ。

今回はこの、ババマルタについてブルガリア人から直接聞いたことを参考にご紹介したい。

ババマルタとは?

そもそも、「ババマルタ」とは一体どんな伝統なのか。

3月1日
この日、健康と幸運を祈って友人、同僚や家族とマルテニッツァを交換する。

※この際、「Честита Баба Марта!(ババマルタおめでとう!)」というメッセージと共に、相手の腕に巻き付けてあげることが大切だそう。 

そして、自分の腕にマルテニッツァを巻き付けてもらう時は、お願い事をするのがお決まり。

ちなみに私の場合、「お願い事をして」と言われ、「素敵な彼氏ができますように」と声に出して言うと、「声に出す必要はない」と言われた。


殆どの場合、マルテニッツァは白と赤色の糸から作られるブレスレットであることが多い。

購入した”マルテニッツァ“。  最近では形態は様々。


しかし店ではブレスレットだけでは無く、バッチや指輪なんかも販売されていた。

このおしゃれな幾何学模様のようなものは、ブルガリアの伝統的な刺繍デザイン!
地域により異なるデザインを持つ。

マルテニッツァの持つ意味

形態は様々だが、共通しているのはご覧のように全てに「赤色と白色」が用いられていること。

この色にもちゃんと意味がある。

赤色が意味するのは「血、生命、誕生」
白色が意味するのは「喜び、高潔さ、綺麗さ」

赤と白がお祝いの意味で使われているのは、日本の”紅白“と共通している点でおもしろい。

では、このマルテニッツァはどう扱うのか。

人からもらったマルテニッツァは、「コウノトリとつばめを見かけた際に、近くの木に結びつける」だそう。

この2種類の鳥は、3月中旬になると遠いアフリカ大陸からブルガリアに渡ってくる。

その時期にブルガリアで彼らを見つけると、健康などを願いつつ近くの木にマルテニッツァを結びつけるというわけだ。

従って、大量のマルテニッツァが結ばれた木を見つけると「あ、ここに沢山コウノトリとかつばめが来るのかな」ということがわかる。

いつでも結びつけられる状態でいるために、もらったマルテニッツァは腕から外さないのが基本。 

これを知ると、冒頭で述べた「3月のブルガリア人の腕には常にマルテニッツァがついている」のも納得だと思う。

ババマルタの意味は?

Баба Марта(ババマルタ)を直訳すると「3月のおばあさん」

ブルガリア語で「ババ」は”おばあさん“、「マルタ」は”3月“を意味する。

では、この「おばあさん」一体誰なんだという話になる。

友人の話によると、ババマルタは「3月」そのものらしい。


というのも、ブルガリア人は3月を「女性」とする概念を持っているようなのだ。
一説では、ババマルタは1月「януари」と2月「Февруари」の姉とのされている。

この”兄弟“がしょっちゅう悪戯をするので、姉であるババマルタはよく怒っているらしい。

そして、このババマルタの「怒り」の状態を「3月の移り変わりやすい天気」に例えているのだ。

私が今まさに過ごしているブルガリアの3月では、天気が非常に変化しやすいのでこの話には大変納得がいく。

3月の雪のブルガリアの様子

暖かくなってきたな、と思った次の日には雪が降っていたりする。
ブルガリア人はこんな状態を「ババマルタがまた怒っているのかな」なんて表現するのだ。

友人は面白い慣用句を教えてくれた。

Баба Марта си тупа юргана
—「ババマルタが掛け布団を叩き出す」

埃のように空から雪が降る状態を表すときに使うらしい。

日本でも雷が鳴っていると「お天道様が怒ってるね」なんて言ったりするからそれと似ている気がする。

ブルガリアのババマルタ

ババマルタは、ブルガリア発祥だからこそブルガリア人はこれをすごく大切にしているな、とブルガリアに住んでいて強く感じる。

3ヶ月前の12月の時点で、スーパーにはババマルタ専用のコーナーが。

3月が近づくに連れて、どんどん大きくなっていた。

ブルガリア人の友人曰く、木に結ばれたマルテニッツァを見ると「清々しい」気持ちになるらしい。

大好きな友人と交換。
私の腕に1つしかないのは貰った分を綺麗に飾っているからです。 (重要)

マルテニッツァ自体がデザインとしてすごく魅力的であるのはもちろん、身近な人に感謝の気持ちを伝えることもできる文化、ババマルタ。

個人的には、ブルガリアの文化の中でダントツで1番お気に入りだ。

今年のうちに大量にマルテニッツァを買っておいて、帰国後の来春は、日本の友人や家族にマルテニッツァを渡そうかなんて考えている。

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