見出し画像

トレンド?早く廃ってほしい・・

ある時、友人が何気にこう言った。
「流行るなら流行って、早く廃ってほしい」と。
自分が好きで何十年と着ているモノが巷でいきなり流行り出した光景を見てのことだ。
昔はそんなことにも優越感を感じていたときもあったかもしれませんが、今はそんなことは微塵もないらしい。
そうこうしているうちにまた次がくるだろうとし、その時を待つだけだと。
まさに台風が去っていく時の感覚に近いのかもしれない。
確かに廃った後に名品たちが中古市場に散乱している光景を何度か見た気がします。

長い間、こういう業界に入るとそんな経験は数えきれないほどあったし、そんな土俵があったからお商売をさせてもらえたことは否定できません。
現在、プライベートはもちろん、仕事でも‟トレンド”なんて意識することはありません。それが年齢なのか、経験値なのか、はたまた時代なのか、それはわかりません。
誤解のないように言えば、大きなリズム(流れ)のようなものはどうしても存在し、自分自身の中だけのリズムもあります。
ここで言いたいのは「今年のトレンドアイテム」的なニュアンスで取り上げられることです。
言っては何だが、こんな恥ずかしいキーワードはない。
近頃はそんな言葉も少なくはなりましたが、未だに耳にすることがある。
十年も前ならまだしも、誰もが情報を瞬時に取得できる時代にそこには何の価値もない。

トレンドを生み出し、作り出すことは致し方ない。
しかし、昔から世界で愛され続けているものを使い捨てかのように消費していくことはいかがなものだろう。
友人が言ったことの真相にはきっとそんなことへの憤りがあったのかもしれません。

音楽にも同じことを感じるのですが、人は本当に自分の心地良いと思うモノを追い求めて生きているのだと思う。
たくさんのモノに触れ、感じ、選び、模索し、戸惑い、惑わされ、行ったり、戻ってきたり・・。
辿り着く時間は人それぞれかもしれないが、そこに「自分」がないことに気付けない人は、ずっと迷路から出られないのかもしれないですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?