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櫻坂46は1stシングル表題曲を「なぜ恋」にすべきだった

櫻坂46に「改名」して、再スタートを切った欅坂46

センター・平手友梨奈の電撃脱退や、様々なスキャンダルに塗れた欅坂46は「改名」という方法で再スタートを切った。

過去の憶測や揉め事に対する公式回答はなく、キャプテン・菅井友香に「出口の見えないトンネルを彷徨っていた状態」「グループの名前が1人歩きして、耳を塞ぎたくなるようなことに悩まされた」とまで言わしめた状態だった。

【コメント全文】欅坂46、5年の活動に幕…菅井友香が涙で語った“6分間の思い”「もっともっと強くなるための決断」

そんな状態を振り切り、欅坂46に染み付いた呪縛から解き放たれるには、改名をして新たな気持ちでグループを始動させるべきだ、という判断自体は理解できる。

新体制となった櫻坂46は、フォーメーションにも変化が見られた。表題曲へ参加するメンバーは14人と、「全員参加」が原則だった欅坂46とは違い選抜性を導入。カップリング曲も全て14人体制とし、メンバーを入れ替える構成となった。
その中でも1列目・2列目の8人はその全曲に参加することとなり、「櫻エイト」という名称がついた。

シングルリリース前には公式Youtubeにて表題曲を含む3本のMVが公開。

・森田ひかるがセンターを務める表題曲『Nobody's fault』
・藤吉夏鈴がセンターを務める『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』
・山崎天がセンターを務める『Buddies』

ここまでが、櫻坂46としての基本情報だ。

この記事では、ファンの中でも賛否が分かれている表題曲問題について、筆者の感想を記載する。

筆者はコアな欅坂46のファンではない。メンバー名も言えるし、過去のシングル表題曲も言えるが、ライブや握手会に参加したことはない。
運営しているファンサイトを見ていただいても分かる通り、姉妹グループである乃木坂46や日向坂46の記事がメインになっている。

それは、冠番組のつまらなさとか、鬱屈した様に見える楽曲の雰囲気だとか、スキャンダルが相次いだとか、そういった物が原因だったかもしれない。

それでも、欅坂46のメンバーが努力してもがいている様は理解していたし、櫻坂46としての再スタートを前向きに応援している。

だからこそ、思うことがある。
表題曲は、「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」にするべきだった。

改名してまで得たかった「脱却」を、達成できたのか?

Nobody's faultのテーマは「自由への渇望と絆」。MVの曲調や歌詞から、欅坂46を彷彿とさせる曲だ。

曲のテンポは遅く(BPM 110程度)、歌詞からはこれまでの欅坂46の活動での苦しみと、それを清濁合わせ飲んで先に進もうという決意が伺える。

問題は、この歌詞である。

上に書いたとおり、この曲の歌詞はあまりにも「欅坂46」を彷彿とさせる。
言い方を変えれば、「メタ」なのだ。曲自体がグループ活動の過去と未来を暗示しており、メッセージ性が高い。そしてそこには常に「欅坂46」が見え隠れする。

「自分が吐いた息と嘘で締め切った窓は曇ってるぜ」
「それでも夢を見たいなら No! No! No! 他人のせいにするな」
「生き方を改めようなんて できるわけないって逃げるのか?」
「洗っても洗っても落ちない泥だ それでも生きる 強さを信じろ」

歌詞としてのメッセージは前向きで、過去に囚われず前を向こうという思いが伝わってくる。(というより、いっそ秋元康を始めスタッフからメンバーへのメッセージのように聞こえる)
ただ、改名してまで振り切りたかった欅坂46(と、それに纏わる問題)というイメージを、何故これみよがしに彷彿とさせるのか?

結局この曲は、欅坂46を好きだった、それも一連の騒動やメンバーの苦しみ、葛藤を知っているファンに向けた曲なのだ。
櫻坂46としての曲ではあるが、欅坂46という過去を引き摺った曲に仕上がっている。
(もちろん、1stシングルで決別を表明し、先に進むという演出自体は理解している。)

「なぜ恋」が開いた新たな櫻坂46像

一方、「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」である。

筆者はこの曲を聴いたとき、「櫻坂46」としての決意を感じた。

一度MVを見ていただきたい。

BPMは152程度。アップテンポな曲調で、今まで恋をしたことがなかった少女が初めての恋に舞い上がる様を描いた曲だ。

しかしそこは櫻坂46。ただの浮かれた恋愛ソングではなく、欅坂の十八番だった「カッコイイ」MVに仕上がっている。

MVの中でも特に印象的なのは、メンバーに笑顔がある点だ。
鬱屈とした曲調で真顔が多かった欅坂46時代のMVとは一線を画す演出。それでいて、ただの天真爛漫な少女の笑顔ではない、どこか影を持った笑みは他の坂道グループでは表現できない表情だろう。

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センター・藤吉夏鈴。圧巻の演技力だった

歌詞に目を向けると、聴いているオーディエンス(ファンだけではない)に向けたメッセージが続く。

「幸せは敵作らない/幸せは自慢したいもの/幸せは 参加すること」
「近頃 私 盛り上がり中 だってこんな楽しい ラブストーリー
ドラマとか 見てる場合じゃない」
「もっと 早く気づけばよかったわ 恋は主人公になるべきよ」
「迷っている人たちよ すぐに告白しちゃいなさい」

これでもかというくらい、真正面から「恋愛」について語り、けしかける。
今まで恋愛をバカにしていたが、いざ自分が恋をしたら幸せだから皆も幸せになりなよ!!という、能天気で天真爛漫な恋する乙女の心情を描いている。

そもそも、「欅坂46」は真正面から恋愛ソングを扱うことはなかった様に思う。それが櫻坂46になり、こういった曲調・テーマの曲を歌えるんだということを知らしめることに成功している。

そう、改名をしてまでして欅坂46のイメージから脱却・新生グループを印象づけるのであれば
メタ的な要素を散りばめた「Nobody's fault」ではなく、グループ、ひいては坂道シリーズとしても新境地を切り開いた「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」であるべきだった。
筆者はそう思うのである。

なぜ恋個人的に無茶苦茶好きなシーン

色々理屈をつけて語ってきたが、結局言いたいのは「なぜ恋、むっちゃ良い曲だから一回聴いて!!!」である。

公式MVより、シーンを引用して語りたい。


冒頭、螺旋階段を登る夏鈴。くるくる回りながら笑みを浮かべる表情で「あれ、これまでのMVと違うな?」と思わせてくれる。

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ただただ綺麗なべりさ。

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無表情で見下ろしているメンバーの視線を受けて、この表情。
「幸せは敵作らない」の歌詞とマッチした素晴らしい演出。

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印象的な螺旋階段のシーン。アップテンポな曲調と早いカット割、早回しなど、ノリ良く聞ける仕掛けが散りばめられている。

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2番に入る瞬間のカット。タイトルが黒背景でドン!と出た後、メンバーがマネキンの様に固まったシーンにシフトする。無茶苦茶カッコイイ。

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無表情のメンバーが抜かれていく中での、小池美波のワンカット。表情が素晴らしい。

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ただただオシャレ。

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夏鈴のこの表情よ。髪のかかる感じ、ポーズ、小さな笑み。最高。

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「そばで見ている観客より 見つめ合って 抱き合って キスをしましょう」浮かれに浮かれた歌詞と、一人だけスポットライトを浴びて笑っている夏鈴がマッチしている。

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そんな彼女の熱に当てられたかの様に、メンバー全員に光があたり、踊りだすシーン。センター夏鈴の佇まいと、周りのメンバーの明るい表情が良い。

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皆笑ってる、笑ってるんだよ!!!アイドルを目指して芸能界に入ってきた少女が、MVで笑顔を見せている。当たり前のことに感動してしまう。

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ラスト。夏鈴の良い表情から。本当に、凄い表情が美しい子というか、表現力のある子だなと感じた。推せる。

終わりに

一応免責というか。
Nobody's faultは勿論、まったく触れてこなかったがBuddiesも好きである。
ただせっかくの新スタートを切るなら、なぜ恋を表題で押してみて欲しかったな、と思った1ファンの戯言でした。

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