性的指向と性的流動性　～性的指向って固定的？～

そもそも、私って、「性的指向が先天的である」とか「性的指向が固定的である」ということを信じていないんですよね。

まず、アメリカ心理学会の見解は「性的指向は、早期に決定され、変化することは極めてまれ」だとしています。実は、コレには続きが存在し「自分がどの性的指向であるか、という自認」は生涯を通したライフイベントで変化する。ということです。（ぶっちゃけ、この部分が性的指向な気はしますが）そして、アメリカ心理学会も「性的指向と性的指向自認」は明確に区別できない、としています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Sexual_fluidity　（性的流動性：英語）

・アメリカ心理学会は「性的指向」は意思で選択できるものではなく、生得的な要因や環境の複雑な結果として現れるものである。
と述べている

・同時にまた「性的指向自認」は、心理療法、支援者、
ライフイベントで変わると述べている

・「性的指向」と「性的指向自認」は明確に区別できるものではな
い。両方とも性アイデンティティに大きな影響を与えるものの、
「性的指向」は変わらず「性的指向自認」その一生の中で変わるこ
とがある

・性的指向の固定性の中で、「性的指向自認(sexual orientation
identity )」は、特に女性の中で流動が起こることが確認されてい
る。

　つまり、「あなたが本質的に同性愛者かどうかは、先天的だけど、それを自覚できるかはライフイベントによるよ」ということだそうです。

　そもそも性的流動性はリサ・ダイアモンド博士による「人が同性愛に目覚めるときは、バイセクシャルを得て、同性愛になる」という理論の一つです。

　まず、そもそものこの研究は「同性セックスの経験者と、同性愛自認者が全く合わない」ということから始まっていました。

こちらに詳しい解説があります

https://www.luvze.com/debunking-myths-about-sexual-fluidity/
（性的流動性の神話：英語）

・Lisa Diamondはおもにへテロセクシャルだと自認している女性を調査士、彼らが一時期特定の女性に恋をしたにも関わらずストレートを自認したままである事に着目した。
そしてこれは彼らがバイセクシャルであることを意味しない

・継続的な調査によれば、
多くのそのような人々は時に彼らの性的指向自認を変える
(ゲイ、レズビアンからバイセクシャルに、バイセクシャルからストレートに、etc)

・レズビアンを自認している女性は、女性とセックスした事のあるゲイ男性と比べて、かなり高い確率で男性とセックスした事がある。

・刑務所の中では、刑務所の中の男性と比べて、ヘテロセクシャルの女性もかなり高い確立で女性パートナーと合意の上でセックスをする

・2006年の過去12ヶ月の性体験の報告の中で、男性とセックスした男性は高い確率でストレートであると自認し、バイセクシャルではないと自認した。（ぶっちゃけて言うと、これ真夏の夜の淫夢で有名になった多田野氏のことんですね）

・これが男性におけるセクシャル・フルイディティのサンプルであると思われる

・男性のホモセクシャリティ自認は、他のセクシャルマイノリティの自認と比べ比較的安定しているが、ヘテロセクシャルの自認と比べて安定していない

　つまり性的流動性が高い人は「同性愛　－　両性愛　－　異性愛」の順で行き来すること。
　そして、性的流動性は、男性より女性の方が高い。ということを明らかにしました。

　この研究で、リサ・ダイアモンド博士は、大きなセンセーションを巻き起こしました。

コレによると、
・ヘテロセクシャルの人が同性しかいない環境で同性に恋に落ちること。

はあり得るとし（コレは一般的な見解では「機会的同性愛」といって「本当の同性愛ではない」とされています）

　で、リサ博士は、このようなライフイベントを得て、性的流動性が高まる。としている訳ですね。

性的指向が変わるようになると何がマズいのか、というと、政治的に保守派とリベラルの両方にとって都合が悪いんです。

Why is the idea of sexual fluidity controversial?
何故、セクシャルフルイディティの考えは議論を呼ぶのか

・リベラル的立場の人は、性的嗜好が生まれつきで変更やコントロール出来ないように、セクシャリティが生涯にわたって変わらないものだと信じたがっている

・このセクシャル・フルイディティの研究が「元に戻す療法」を熱望するアンチ同性愛活動家によって曲解されるには十分である。

つまり、「変化するなら、第三者が何かの方法で制御できるだろう」という発想です。

　しかし、アメリカ心理学会は、過去の同性愛治療において、電気ショックやロボトミー手術など、治療は多くが失敗しています。

　そもそも、人の性愛は長期間に渡るものかつ、複雑なモノであり、他者が制御できるものではない、と考えるのが普通でしょう。
　（向精神薬とかで、一時的に性欲が強くなったり、弱くなったりはすると思いますが）

　固定的ならば、社会に対する政治運動に使えるとしたリベラルも、「普通の家族を作って欲しい」と思う保守派も、人の性愛をそう都合よくはコントロールできない、ということでしょう。