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2022/01/02

(日記・一年前の)


2022/01/02

また変な夢を見た気がするけど覚えていない。実家のベッドは過去のわたしと繋がっていて、背中つけて眠れば全部押し寄せてくる。さざなみなんかじゃなくてもはや大きな波みたいに。

今日は帰省の目的でもある撮影の日だ。成人式にも出ず、前撮りもしていなかったわたしに、アンジュちゃんが振袖を着せてくれることになった。撮影はアンジュちゃんがしてくれて、ヘアメイクはずっとお世話になっている地元の先輩がしてくれることになった。大好きのパフェみたいなお誘いに、数ヶ月前から心躍っていた。

すっぴんで家を出てアンジュちゃん家に向かう。アンジュちゃん家族は快く出迎えてくれて、「あったまらいん」てこたつに招き入れてくれた。着いてすぐ、お茶を啜りながら暖かい茶の間でメイクをした。人に化粧をしてもらうのが好きだ。先輩は、お絵かきしてるみたいで楽しいと笑いながら丁寧に紅をひいてくれた。髪の毛を結ってもらって、飾りに先輩が成人式で使った南天のかんざしと、アンジュちゃんが用意してくれた胡蝶蘭のかんざしをつけた。わたしの頭部は生花みたいになって、曲線を描きながら結ばれた水引が正月みたいだった。

ヘアメイクをしている時、アンジュちゃんのおばあちゃんがみかんを剥いて渡してくれて、2個も食べた。カステラと手作りのがんづきもくれた。がんづきが大好きなのできゃあきゃあ喜ぶわたしにおばあちゃんがレンガくらい重いがんづきをお土産にくれた。みんななんて優しいんだろう。

着付けはおばあちゃんがしてくれた。立っているだけのわたしに三人がかりで振袖を着せてくれて、もはや終わらなければ良いと思った。着物は洋服より何倍も魔法のような感じがする。だって脱いだらあっけないのに、綺麗だから。

アンジュちゃんの実家の庭で撮影をした。外は寒く、指先の感覚は消えたけれど、ずっと笑顔が止まらなかった。好きな先輩たちが髪型を直して、シャッターを切ってくれる そんな幸せな事ない。全ての時を瞬間冷凍して取っておきたいと思った。

その後海へ向かい撮影をする。海は広く、誰もいない。「落ちないようにしなきゃ」とはしゃぐ二人は可愛かった。大きなヒトデを拾った。本物の星だったから、本当は空から落ちてきたのかもしれないと思った。

最後の一枚、「とびきりの笑顔で終わりましょう」とシャッターを切ったアンジュちゃんの姿をわたしは一生忘れないと思う。わたししか見えてない綺麗な幸せだった。

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