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青島もうじき「ロプノールとしての島」

◆作品紹介

人の眼はおろか、人工衛星にも映らない南国の楽園・ヌル島。そこで撮られた「私」と「あなた」の写真。遊歩する湖。届かない手紙——無数のモチーフによって、決して手の届かなくなったものたちの物語が開始される。テクノロジーによって地球上にくまなく磔にされた、わたしたちの存在と記憶。そこから零れ落ちたものだけが、いまや思い出と呼ばれるに値するのかもしれない。救いの手を離したことではじめて救われるものがあるとしたら? テクノロジーの隙間に感傷を嗅ぎ取ること、あるいは感傷をテクノロジーによって解釈してみせること。それはまさしくSFの想像力である。(編・青山新)

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