濃厚接触者になりました(Day 14)

4/4(日) Day 14

体温:36.5℃

今日で丁度2週間が経った。
という訳で、この手記を記録するのもこれで最後となる。

朝8時に起床。
昨日の残りのコーンスープを温めて飲む。
台所が自由に使えるようになったのは本当にありがたいと思う。

午後からは雨の予想だったので、歩いて近所の洋菓子屋に赴く。
明日からの職場復帰の際、色々と迷惑をかけた同僚の皆さんへせめてもの気持ちとして配るお菓子を買うためだ。
外に出るのは保健所に行った時以来なので、実に10日ぶりとなる。

外は薄曇りながら暖かく、すっかり春たけなわだった。
自宅はコンクリ住宅ゆえ冷えやすく(夏は暑いが)、外気がよくわからないのでなんとなくヒートテックなどを着ていたところ、ものの五分で汗が額に浮かんだ。

暫くして、近所の桜並木に差し掛かる。
葉桜と、その足元に広がる薄汚れたピンクの絨毯を見てなんとなく溜息をつく。
ここの満開の様子を見なかったのは、初めてかもしれない。

洋菓子屋に到着し、「禊の品」の品定めをする。
要冷蔵の小さなチーズケーキと、個別包装のパウンドケーキに決定。
ついでに、これまた迷惑をかけた家族用にショートケーキも買うことにする。

「…あそこの、パウンドケーキを10個」
というと、店の人が慌てた様子で在庫を見てみます、とバックヤードに入っていった。
いや、ここ(店頭)にありますよ?
と訝しく思うと、
「ありましたお客様!」
と、フルサイズのケーキを幾つか抱えて来られたのでいや違います違います、と此方が慌てる。
「いやあそうですよね!びっくりしました!!」
「…ええ、私もびっくりしました…」
流石に、そこまでの禊は必要ないと思う。

ケーキ達を引っさげて帰宅。
ごはん少々、豆腐、納豆、フリーズドライ味噌汁という定番の昼食を認める。

それからは最後に服の整理を…
と思いきや、どうやら低気圧襲来による気圧爆弾を食らったらしく、ベッドに倒れ込む。

やっと起きだしたのは午後3時だった。
あーあ、また昼夜逆転だよ。
明日から社会復帰なのに…
とぼやきつつ、とりあえず冬物の最終収納を行う。
ヒートテック(タートル)も分厚いタイツも靴下もさようなら。
春夏物をカレントのクローゼットに移し、やっと明日からの(服装的)始動体勢が整う。
これが最終日にしかできないところが、なんというか私だ。
昔は7月中に夏休みの宿題を済ませるような子だったのに、ここ近年は劣化が激しい。

一通り済ませたあとで、先程買ったショートケーキと紅茶を食す。
甘いものは滅多に摂取しない人間だが、たまに食べると悪くないな、と思う。
そして食しつつ、タイのBLドラマ「Theory of Love」のスピンオフ「Stand by me」を見た。
甘い。
ショートケーキより、ずっと甘い。
このドラマは主人公の片割れ(所謂攻め)が本当に鬼畜で、前半は10秒ごとにこいつ殺せ、と騒いでいた私だったが(うるさい)、このスピンオフでは彼が別人28号のようにへろへろキャンディになっていてほえー、と思った。
私はゴールインした後のラブストーリーというものに興味ないんだな、ということをつくづく再実感した。

そして、最後に運動をこなし、風呂に入る。
折角運動を習慣づけたので継続していきたいところではあるが、明日からの仕事量を考えると、とてもじゃないが帰宅後に運動などできる余裕があるとは思えない。

夕飯は小松菜と帆立水煮の煮物、茄子田楽、昨日の残りの牛肉サイコロステーキ、そして大根おろし。
揚げ春巻きもいかが?と言われたが謹んでお断りする。
ビール、そしてその後の日本酒が美味い。

以上を以て謹慎の日々の記録を終了する。
以下、思いつくがままに感想をランダムに書き留めておく。

・私は一度「社会」をドロップアウトした経験を持つ人間であり、それから幸運にもなんとか社会復帰する機会を得、そのことを日々感謝していた。
…が、仕事につけばついたで面倒なことは多いもので(当たり前)、時折あー働きたくないなー、という愚痴を内外に漏らしていた。
(まあ、それが普通といえば普通なのだと思うが)

今回の経験は、「何にせよ、社会にコミットできることはありがたいものだ」という原点を再認識させてくれた。
そして、何もすることもなく、ただひっくり返って天井を眺めていた日々をもう一度繰り返したいのか?と自問自答する機会を与えてくれた。
という訳で、明日からはその反省(?)を胸に、粛々と「社会人」をやろうと思う。
(そんなこと言いつつ、明日からの地獄に即座に泣き言を言う未来しか見えないが)

・上述と連動するのだが、自分はもう少し引きこもり生活に耐性があると思っていた。
しかし、これほど長引くとやはりイーッとなるものなのだな、ということを思い知らされた。
人見知り人嫌い引きこもりの私でもそうなのだから、今色々と人との接触制限を余儀なくされている世の皆様のフラストレーションや如何ばかりか、と思う。

・ここ最近腹が出てきており、手持ちのジーンズの一つが入らなくなっていた。
体重は変わらない。
要は加齢による体型の変化、というやつなのだろう。
(書いていて凹むが事実には違いない)
だが、この蟄居生活の中で自分に課したエクササイズがどうやら功を奏したらしく、先程試してみるとすんなり…とまではいかずともなんとか入るようになっていた。
つまり、中年以降のダイエット、健康維持は摂食制限だけではなく、運動も行うべき、という至極当たり前の結論に改めて至った次第である。
同年代の皆様、共に運動に勤しもうではありませんか。
(そこはかとない上から目線)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?